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中正記念堂のすぐ近く。旧日本統治時代の日本建築を小粋にリフォームしたレストラン『楽埔町/Leputing(ラプティン)』。
台湾、日本、フランス料理のテクニックを使いながらも、根本にあるのは食材の良さと活かし方のみ。
ささやかに自然に寄り添っていく、そのスタンスに、台北の新たな世代の進化を感じました。
平均予算:ランチ 5,000~7,000円、ディナー 10,000~15,000円
素材に徹底的にこだわることで、フュージョン料理のイメージを超越
台北には、日本統治時代の日本建築が結構残っていて、最近では商業施設にリフォームして使われることが多くなっています。
レストランでは、最も良い状態の日本建築を使っているのが、この『楽埔町(ラプティン)』でしょう。
・日本人にはグッと来る和の雰囲気は、台北っ子には最先端のオシャレ?
場所は、中正紀念堂の近く。メトロで行くなら、「古亭站」駅から10分弱のところにあります。良い感じにレトロな門をくぐると、そこには現れる古民家。
入り口の引き戸を空け、小上がりを進んでいくアプローチに、日本人ならちょっとグッと来るでしょう。
料亭や、田舎の蕎麦店などではありますが、こういった雰囲気を持つのは、レストランだと武家屋敷を改装した京都の『MOTOI』くらいでしょうか。
玄関を上がって右側の部屋は個室。この日も団体客らしい楽しそうな声が響いていました。
4人席が6テーブルほど並んだメインダイニング。床の間が、テキスタイルを使ってモダンなショーケースに使われていました。
全体的に、ただ建物を見るだけでも訪れたいくらいのリフォームの出来です。
・基本メニューは1コースのみ。旬の食材を活かした少量多皿
建物の話から入りましたが、気が利いた料理が注目を浴びている店です。
ジャンルを強いて言うなら、台湾料理と日本料理、フランス料理を横断するミクスチャーなのですが、こういったカテゴリー以上に焦点を当てているのが素材。
その良さを出すことが最優先で、調理法は後からついてくるというようなスタンスが興味深いレストランです。
この古文書のような書物が、建物の説明とともにメニューにもなっています。コースで出てくる料理が、産地などとともに丁寧に解説されています(中国語&英語)。
基本メニューは1コース。季節によって、2-3ヶ月に1度変わるそうです。メインの肉料理がセレクトでき、それによって多少値段が変わってきます。
この日は、ダックの胸肉(2,000台湾ドル)、ショートリブ(2,500台湾ドル)、台湾牛のサーロイン(2,800台湾ドル)でしたので、日本円にすれば約7,500~10,500円。
ランチも同じスタイルで、メインによって1080~1,680台湾ドル(約4,000~6,200円)。
ドリンクはワインとビール。おそらく料理の繊細さを殺さないように、さっぱり系のラインナップ。
アミューズ「干貝のタルタル」。
「カツオ わさびクリームとオレンジジェル」。上り鰹が良い季節なので、そのフレッシュさを満喫できます。
「牛タンの炭火焼き」。
外側はかなり炭だらけですが、中はちょうどよい塩梅。炭火焼きの場合、これくらいに焼き込んでも美味しいものです。
このあたりで、メニューの食材の並びから、ドリンクは赤ワインに変更。ロワールのビオでした。
「うなぎのコンソメスープ」。日本では味わえないうなぎの楽しみ方。
どちらかと言えば、鱧などの使い方に似ているかもしれません。
外国語での予約が面倒な方は、代行サービスなどが便利です。
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・メインは、力強い肉料理
「ウズラのロースト」。ローゼルと菊芋のピュレとともに。
メインは「鴨胸肉のグリル」。
先にも書いたように、牛など3種から選べます。直前の皿が英語で「Quail」が「ウズラ」だとパッと理解できず、まったく気にしてなかったので、出てきたときは「カブったか?」と思いましたが、そもそも鳥獣好き。
ウズラの繊細なテクスチャーと鴨の力強さと食べ比べられて、良かったのだと思います。
・〆はシグネチャーの土鍋ごはん
メインが終わった後は「土鍋ごはん」。炊きたての土鍋が、保温のふきんに包まれたままテーブルに運ばれ、その場でサーブしてくれます。
具は旬のタケノコです。
中国醤油なので、和食の醤油だしとは少しニュアンスが違いますが、それでも食べ慣れた美味しさにホッと一息。ほんのりと香る生姜が良い具合に利いています。
チェーサーの水を頼もうとしたら、ソムリエールから「どうせならお茶をどうぞ」と、サービスで烏龍茶。
透き通った、きれいな味の凍頂ウーロン茶でした。
デザートは「チョコレート、バナナのムース、ヨーグルトアイスクリーム」。
「ゴボウ茶と小菓子」でラスト。しっかりと滋味が入ったお茶でしたが、消化を助けるゴボウを最後に持ってくる気遣いが心憎いです。
・自然に寄り添うことのささやかな幸福感
それぞれの料理は、かなりハイレベルで、店がやりたいコンセプトもしっかり伝わってきたコースでした。
台湾料理、日本料理、フランス料理をミックスさせていると言えば、フュージョン料理とカテゴライズされるのかもしれませんが、かつてのフュージョン料理に顕著だったシェフなどの創作性へのエゴは微塵も感じさせません。
自然(食材)に寄り添おうとしたら、結果こういうかたちになったというようにアプローチがまったく逆。そこにほっこりとした、ささやかな幸福感を抱きます。
ただ、一つだけ挙げるなら、全体の流れには改良の余地があるかな?ということでした。「土鍋ごはん」のインパクトが強すぎるのかもしれません。
それまでウズラ→メインの肉(鴨)と、フランス料理寄りのメニューが続いたので、唐突な印象が拭えなかったことだけが気になりました。
コースの中で、意味だけではなく、味のストーリーがピタっとくるようになれば、台北では、他と比べようがない、かけがえのないレストランになるのかな、と。
店の雰囲気、細かいところまでに気が利くスタッフのサービスなどは既に完成されていますので、
気遣いと言えば、お腹いっぱいで、土鍋ごはんを食べきれずにいると、テイクアウトにしてくれました。それぞれの皿は少量とはいえ、全体ではかなりのボリュームでしたから。
何も言わずに、こういったささやかなサービスができる店は心地よいですし、店を出た後も余韻に浸れます。
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『楽埔町/Leputing(ラプティン)』店舗情報
平均予算:ランチ 1,200~1,500TWD(4,400~5,500円)、ディナー 2,500~3,000TWD(9,200~11,000円)
営業時間:11:30–14:30、18:00-22:00 定休日:無休
電話番号:+886 2 2395 1689
住所:台北市大安區杭州南路二段67號
オフィシャルwebページ(中国語)はこちら
ドレスコードと店の雰囲気
カジュアルな店ですが、いわゆる「スマートカジュアル」が無難でしょう。食事の間も含めて、中国語が話せる方ならもちろん問題ありませんが、多くのスタッフの方は英語も大丈夫でした。片言の日本語は通じますが、細かなコミュニケーションは難しいと考えた方がいいでしょう。
予約の仕方
ネット予約サービスは見つからなかったので、電話かFacebookのメッセージで(中国語、英語)。
日本語で予約したい方は、代行サービスなどが便利です。
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店の地図
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