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ペイレ氏が率いるモダンビストロ『Mr & Mrs Bund』とは?
日本人にはポーションが大きめだと聞いていたので、コースではなくアラカルトで注文。
流暢な英語を話す若いサービススタッフからお勧めを聞きながら、4皿ほど頼んでみまいた。
「鶏のレバーパテ」。アミューズなのに、鯖缶くらいの大きさ。味は、濃厚。
そして、もりもりのバゲット。そこはビストロ流でした。
これらが出てきた時点で、「多すぎた」と悟ります。普通の胃袋の持ち主なら、2~3皿がオススメです。
前菜には『フォアグラのムース』。
散りばめられたナッツなどがオシャレ。前菜のフォアグラも、トーストされたパン・ド・カンパーニュが付き、結構なボリュームです。
ただ、アミューズは缶詰でのプレゼンテーションに頼ったアイデア勝負で、料理自体には個性を感じなかったのですが、この「フォアグラのムース」でなるほどと納得しました。
ムースの上に散りばめられていたナッツ類の味や食感、量など、計算されていることがうかがえます。
そして、スペシャリテの「トリュフ・トースト」。
フレッシュなトリュフに慣れていたので、火が入ったトリュフの姿に一瞬不安を感じてしまったのですが、食べて、また納得。
フォーム状のトリュフとスライスされたトリュフ、そして外はパリッと、中はフワッと仕上げた堅めのパンケーキのようなトーストの香りと食感は、意外やこれまで体験したことのないものでした。
プレゼンテーションが楽しいレモングラスでスモークされた「海老の燻製」。
メインの肉料理「子羊のグリル、イスタンブール風」。
パンチ力満載中近東的なハーブを利かせたかなりパンチのあるテイストが印象的。
アジア・中近東と駆け抜けるあたりは、世界中で仕事をしてきたシェフのキャリアが反映されているのでしょう。
ここではないどこかへ(Now here & Nowhere)は、クリエイターの宿命
一通り料理を食べ終わった後に、オープンエアのテラスでカフェオレを飲み一服しながら、今日の料理を振り返ってみます。その答えは、やはりここは普通のビストロではなかったということです。
中国でありながら、西洋の石造りの建築。クラシックとモダンが混在したインテリア。
トリュフ、フォアグラ、子羊などビストロ料理としてオーソドックスな食材を使いながら、テイストはインターナショナル。過去と現在と未来、西欧と中近東とアジアのエッセンス……このごった煮感は、上海そのものなのかもしれません。
そして、時間も空間も味覚も縦横無尽に駆け巡る料理から感じたのは、むしろ「ここは、どこでもない」ということです。
以前パリで仕事をしている建築家やデザイナーに取材を重ねていたとき、彼らは「この街の風景の中で暮らしていて感じるのは、歴史が重すぎることだ」と口々に語っていたことを思い出します。
何かを創造する際に、その時間からも空間からも逃げ出したい気分と闘っている、と。
その気持ちを振り返ると、至高の味を探求する職人とはまた別の世界ですが、料理の世界でもクリエイター的な指向を持ったシェフが、上海に惹かれるのは非常に合点がいきます。
今もかつても中国でありながら中国でないような上海、そしてその歴史を集約したこのバンドというエリアと、フランス料理という重い歴史(もちろん、それはそれでかけがえのない貴重なものでもあります)から逃げ出したいと言っているかのような『Mr & Mrs Bund』の世界観はリンクしているのでしょう。
冒頭で上げた『Ultra Violet』はどうなったか? そりゃ、「絶対にいつか行かなくちゃ」という気持ちを強くしました。
『Mr & Mrs Bund – Modern Eatery by Paul Pairet』店舗情報
営業時間:ブランチ(土・日曜)11:30~14:30(L.O.) ディナー(日~水曜)17:30~22:30(L.O.)、(木~土曜)17:30~2:00 (L.O.) 定休日:無休
電話番号:+86 21 6323 9898
住所:Bund 18, 6/F, 18 Zhongshan Dong Yi Lu (near Nanjing Dong Lu), Shanghai
外滩18号6楼,中山东一路18号 (靠近南京东路),上海
オフィシャルHP(英文)はこちら
ドレスコードや店の雰囲気
VIPも多いハイエンドなお店ですが、あくまでビストロですので、それほど気を遣う必要は感じませんでした。男性なら、トップは襟付きで。ボトムは半ズボン、ビーチサンダルでなければOKくらいの感覚でいれば大丈夫だと思います。ただ、ディナーはムーディーな雰囲気の中、デートや接待などでドレスアップしたゲストも多いので、場の雰囲気を壊さないように、清潔感はマストで。
予約の仕方
HPからの予約は、日本語対応はしていないので、英語あるいは中国語で。即時予約ではなく、専用フォームから希望日・人数を入力して送信すれば、中1日くらいで返信がきました。
食後のバータイムや喫煙休憩に使える眺めの良いテラス(TOPの写真参考)もありますが、やはり上海の絶景を眺めながら食べる食事は各段に満足度が高くなるので、ご希望の方は早めの予約で窓際の席をキープすることをお勧めします。
外国語での予約のやり取りが不安な方は、日本語の予約代行サービスがおすすめ。
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