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伝統的なネパール料理を追求しつつも、コース料理として、プレゼンテーションをアップデートすることによって、一躍2020年にもっとも注目すべきニューフェースの一つとなった『オールド ネパール トーキョー』。
平均予算:ランチ 1,000~2,000円、ディナー 7,000~10,000円
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店の特徴
なかなか海外に渡航できる日が来るイメージが持てないでいることもあるせいか、2020年ではもっとも印象的だったお店が、この『オールド ネパール トーキョー』。
大阪で、人気を博している『ダルバート食堂』の本田シェフが東京進出!とも言えるのですが、カジュアルな食堂ではなく、コース料理を主体とした少しハイエンドなアウトプットに昇華。
何でも、ネパールに出店することが一つの目標で、そのためにも、東京で評価を上げたいという計画だそうで、なかなか面白い道のりをたどろうという計画にも、興味津々です。
趣のある商店街に現れたシックなネパール料理店
場所は、小田急線「豪徳寺駅」から連なる商店街の一角。
住宅街を選んだことも、ベターな選択だったかもしれません。
店ができたのは、コロナの影響真っただ中の2020年7月でしたので。
昔ながらの昭和の空気が漂う商店街にあって、ポツンとシックな雰囲気のお店が現れます。
夜のコースが出色
ランチタイム「ダルバート」のみですが、夜はコースが中心です。
今回は、ディナーの「Nepal Tasting Course」¥ 6,000(税別)をご紹介していきます。
ドリンクは、ワインがメインで、ナチュラルワインもオンリスト。
アジア料理にはとりあえず、オレンジワインということでボトルで頼みます。
カジャ
「ガジャ」とは、白ごはんを食べない食事全般という広い意味を持つのですが、ここでは、ざっくりと「おつまみ」のようなものだと思えばいいでしょう。
「Wo/ウォー」
「Sanyakhuna/サンニャクナ」
「Alu Chop/アルーチャップ」
「Mix Achar/ミックスアチャール」
アチャールとは漬物のことです。
「Haas Ko Choila/鴨のチョエラ」
基本的な味は、あくまで正統なネパール料理の味を追求していることがうかがえますが、プレゼンテーションに工夫を凝らしているので、ガストロノミックにも捉えられます。
例えば、フレンチではないイノベーティブ系だとアミューズブッシュに当たるものは「スナック」とメニューに書かれることが多くあります。
そう考えると、「ガジャ」≒「おつまみ」は、こういったコース料理に相性はいいのかもしれません。
これ自体が新鮮な発見でした。
ダルバート
ダル=豆とバート=ご飯で「ダルバート」なわけですが、日本でいえば、ご飯とみそ汁のような食事の基本形とでも言えばいいでしょうか。
「ダール(Daal)」「ライス(Bhat)」
この基本形に、様々なおかずが付いてきます。
定期的に入れ替わる皿もあるようですが、この日は以下のようなメニューでした。
「水牛カレー(Raag Ko Masu)」
「チキンカレー(Kukhuna Ko Masu)」
「本日のタルカリ(Tarkari)」
「本日のサーグ(Saag)」「Achar(本日のアチャール5種)」
デザート
「Juju Dhau/ジュジュドウ」
まとめてみれば
他国の料理に関して、伝統的な味を追求しつつ、ハイエンドにアップデートするというのは、ネパール料理に限らず、日本ではなかなか存在しないスタンスだと思います。
けれども、ルーツを貫けば貫くほど、一周まわって新鮮に感じるということは、これまでに何回かは経験してきたことがあります。
例えば、忘れ去られていたタイの古典宮廷料理を発掘していたデヴィッド・トンプソン シェフ時代の『ナーム』。
バリ料理の伝統を甦らせた『ヌサンタラ バイ ロカフォーレ』。
料理では、「革新的な」という意味の「イノベーティブ」は一般的ですが、「もうひとつの選択、代わりとなる」という意味の「オルタナティブ」という言葉はあまり使われません。
音楽の分野で、90年代以降に現れた「オルタナティブロック」は、1970年代後半以降に隆盛を極めた産業ロックへの反発から1960年代ロックへの回帰を志向するアーティストたちも、この「オルタナティブ」に含まれています。
新しいものは、過去の伝統からも見つけられる——この『オールド ネパール トーキョー』から感じられる哲学は、そのようなことでした。
メニュー
【ディナーコース】 (税抜)
「Nepal Tasting Course」¥ 6,000
【アラカルト】 (税抜)
「グンドゥルック(発酵青菜)のカレー」(1,300円)、「チキンカレー」(1,200円)、「骨付き羊肉のカレー」(1,500円)、「週替りカレー」(1,200円~)、「2種」(1,500円~)など
*メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください。
予約方法
ディナーのコース料理は予約可。電話またはInstagramのDMでの受付、Web予約はTable Checkで扱っています。
「ダルバート」のみは当日来店での案内。
ランチタイムは記帳制。
店の地図・アクセス
小田急「豪徳寺駅」、世田谷線「山下駅」より徒歩3分
『オールド ネパール トーキョー(old nepal tokyo)』店舗情報
営業時間:ランチ 11:30~L.O. 14:30、ディナー 18:00~L.O. 21:00
定休日:火曜、月曜の夜
電話番号:03-6413-6618
住所:東京都世田谷区豪徳寺1-42-11
本田 遼シェフの著作
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