大阪・心斎橋『KOBAYASHI(コバヤシ)』イノベーティブ

Osaka-Restaurant-Kobayashi

現在のグルメシーンのミッシングリンクのような摩訶不思議なレストランを大阪で発見!
それは、心斎橋の片隅に佇む『KOBAYASHI』。
宇宙を感じさせるメッセージや、現代アートのような知覚をズラすことでものの捉え方が変容するアイデアなどを内包する料理、それでいて一つひとつがちゃんと美味しいという、“欠けたピース”のような世界を堪能してきました。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

平均予算:ランチ 30,000~40,000円、ディナー 30,000~40,000円 

googleマップで場所を見る

現代アートの感覚さえ取り込んで、5感、いや、6感さえ刺激するガストロノミー

日本もアジアだと言いながら、海外に目を向けるほうに気を取られ、日本でも面白いものが出てきているのに気づいてなかったのかなぁ。

最近では、最もそんな気分にさせられたのが、この大阪・心斎橋にある『KOBAYASHI』。

と言っても、これまでほとんどメディアからの取材は断り、つい先日まで住所や電話番号も非公開、昼夜1組のみの完全予約制となったら、引っかかってこなくても仕方ないか?と自分を慰めてみたり。

それはともあれ、連絡先などが一般公開され、その存在を知る機会があったので伺ってみました。

・心斎橋の片隅にある隠れ家

場所は心斎橋駅と長堀橋駅のちょうど真ん中あたり。

どちらからも徒歩5分程度で、小さな飲食店が軒を連ねる、ビルの1階。

看板というより、小さな表札があるのみ。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

・昼夜1組限定、メニューはもちろんおまかせコースのみ!

ランチ、ディナーとも1組のみ(2~4名)で、コースは1種おまかせのみ。

コース料金は25,000円となかなかですが、実際に体験してみたら納得感はある設定です。

なんとコースは20~22皿。

しかも、実際はもう少し料理を用意しているようで、その日のゲストの反応を見ながら進めていくスタイルです。

・「イノベーティブ」のその先へ

敷いて言うなら、「イノベーティブ/フュージョン」のレストランなのでしょうが、アミューズからそれらとは一線を画した考え方のもとで料理を生み出されていることが、プンプン匂います。

まず、特筆すべて点は、味がしっかりしていること。

コンテンポラリーでクリエイティブということを表現しているレストランで、プレゼンテーションやアイデア優先で、味が置き去りにされている料理をいくつも経験していますが、その心配は不要な店でした。

そして、プレゼンテーションやメッセージも、さらに予想の先を行くものだったことに驚きも隠せなかったのですが。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

チェコのアンティークショップで購入したというキッチュな器で出てきたのは、玉ねぎのムースの上にキャビア載せ。散らされたのは、金箔ならぬプラチナ。

「プラチナは、もともと地球には存在しなかったかもしれないと言われているので、宇宙を感じてもらいたくて」とはシェフの弁。

レストランの魅力は非日常にありとも言われますが、非日常感極まれりといった感じ。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

シェフと話していて、印象に残ったのは「自分がいまやっていることを、“イノベーティブ”というジャンルで括るのが、本当はしっくりきてないんです」ということ。

それを聞いて、この人、この店は信頼できるんじゃないかと思いました。

当サイトでも便宜上ジャンル名としては使っていますが、そもそも「革新的」という意味を持つ言葉であれば、それは一部の本当の先駆者のみに与えられる称号であるべきです。

例えば、実際に革新的な料理に学んだフォロワーが革新的かというと、それはまた別の話なので、この「イノベーティブ」という概念がもはやインフレ状態になっていて、かえって本当に革新的なものが見つけにくくなるという矛盾を抱えてしまうわけです。

おそらくお店サイドもそうですし、私みたいな食べ手/書き手も、そんなもやもやを抱えながら、この言葉と付き合っていかなかれば仕方ないというか。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

さらに、興味深かったのは、この小林シェフは、『エルブジ』のような分子ガストロミー(モラキュラ―)や『ノーマ』を始めとした新北欧料理のレストランなどで経験を積んだわけではないこと。

関西のイタリアンレストランでキャリアを始めた彼にとって、一つのターニングポイントとなったのは、トスカーナの郷土料理の名店『Il Tufo Allegro』での仕事。

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トスカーナの中でも、ユダヤ系の影響が強いマレンマ地方を代表するこの名店で美味しさの基本を固めつつつ、現在にも通じるクリエイティブな料理に開花したのは、在ケニア日本大使館に公邸料理人として勤務していた後半、2015年頃からだそう。

当初はイタリア料理や日本料理を中心に提供していたのですが、現地での生活に慣れてきた頃、「未来のケニア料理」と題して現地の食文化や食材を活かしながら、コンテンポラリーなテクニックで表現するシリーズをやり始めたんだとか。

昨年暮れ、ナイジェリア料理をツールにコンテンポラリーな表現で仕上げるロンドンにあるレストラン『Ikoyi(イコイ)』が、アフリカ料理のカテゴリーで初めてミシュランの星を獲得して話題になりましたが、同時期にケニアでも同じようなことをやっていたとは!

「それ、食べてみたい!」と思ったのですが、そんな気持ちを抱く人は当然多くいて、大使館での会食に訪れる現地のVIPたちにも大好評だったのは当然でしょう。

・現代アートにも通じる知覚の実験的な要素も

前半で紹介した料理は、実はまだ序の口。

もっとぶっ飛んでいる料理も間に挟みこまれます。

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レストランで、鏡に写った自分の顔を眺めながら食べる経験も滅多にありませんが、2人分を合わせ鏡にすると、永遠に遊べたり。

と思ったら、料理が浮いてました!

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そんなギミックに加えて、この料理には、甘み→旨味→辛味の要素が入っていて、一口で食べると、それらが時間差で感じられます。

つまり、脳の知覚伝達速度の違いを、料理から実感できる一品。

そんな料理を体験していると、液体窒素を使った料理でさえ、どこかホッとする懐かしものに感じられてしまうのも、摩訶不思議な体験です。

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とはいえ、この料理も液体窒素を使った演出はBGMのようなもので、本当のテーマは「香り」。

料理はリゾットなのですが、普段あまり意識しない「米の香り」を体験できます。

相当な天才もいるのでしょうが、ふつう人間の知覚や、それに対する満足感は相対的なものなのかもしれません。

既知感のあるプレゼンテーションとちょっとズラしただけでも、こうも料理に対しての感じ方が変わるのか?ということを改めて実感しました。

・まとめ

この『KOBAYASHI』で体験した料理が、現代のグルメシーンにおいて何を意味するのか、そして、この店がどこへ行き、どんな存在になっていくのか?

正直なことを言うと、それらのことを、私なんぞではまだ掴みきれていません。

けれども、これからも注目しておいて絶対に損はないでしょう。

一つだけ確かなのは、その事実だけだと思います。

Osaka-Restaurant-Kobayashi

 

『KOBAYASHI(コバヤシ)』店舗情報

営業時間:ランチ 11:30〜L.O.13:30、ディナー 18:00〜L.O. 21:00 定休日:不定休
電話番号:06-6120-5152
住所:大阪市中央区東心斎橋 1-14-21 川村ビル1F
オフィシャルwebはこちら

予約に関して

完全予約制。予約は、電話かオフィシャルwebから。

店の地図

 

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