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世界で最も安いミシュラン2つ星店が上海にある——この噂を聞きつけ、つい来てしまった『喜粤8号/CANTON 8』。
結果から言えば、そんなネタがなくても、単純に素晴らしい店でした。
透明感のあるモダンな広東料理を、お手頃価格で堪能できます。
「世界で最も安いミシュラン2つ星」と言われる上海の広東料理レストラン
ちなみに、ミシュラン星獲得店で現在もっとも平均予算が安いのは、シンガポールにある1つ星『香港油鶏飯麺』です。もっとも安い料理の最低価格は300円程度。
このわかりやすさから比べると、「世界で最も安いミシュラン2つ星店」というのは、いささか中途半端な気もします。
そもそも3つ星店なら、本当にすごいんだろうなとイメージできますし、1つ星でも星があれば、世の中では一定の水準を超えたグループにいることとわかります。でも、その間の2つ星って意外や存在感が薄いんですよね。どれくらいすごいんだ?というのが、いまひとつイメージがつかないのは、私だけではないのではないでしょうか。
・観光客があまり行かないエリア「西蔵南路」駅にある名店
場所は、市の中心部の南側。「西蔵南路」駅から徒歩10分ほどの汝南街に、この『喜粤8号』はあります。辺鄙なエリアではないですが、観光客はほとんど立ち寄らない地域ですので、ローカルな雰囲気が漂います。
『喜粤8号』が入っているのは、インテリア・プロダクト系のオシャレなテナントが入るビル。コスパ最高の2つ星ということで、安旨を勝手に想像していたら、モダンな佇まいに肩透かしな感じでしょうか?
ランチの開店は11:00。地下鉄の乗り換えに手間取り、5分すぎに店に到着。それが失敗でした。この店は、事前の予約を受け付けていず、店に行ってウェイティングリストに記入するシステムです。
・事前予約は受け付けない潔いシステム
月曜日のランチでしたが、着いたらすでに満席。「13時ころだったら、席が空くと思う」ということだったので、ここまで来たら違う店に行く気もしなかったので、待つことにします。
ウィンドウショッピングをしたり、スタバでカフェラテ飲んで時間をつぶしていた12:45頃。「もうすぐ席が空きそうだ」と電話が鳴りました。
・「チャーシュー」「くらげのサラダ」と前菜のクオリティで圧倒
メニューは単品でも注文できますが、テイスティングコースもあります。300中国元(約5,000円)と500中国元(約8,000円)の2つ。
最初なので、300元のコースを頼んでみました。お茶は、鉄観音、龍井、ジャスミンなど5元でワンポットです。ほとんどサービスだという価格設定ですね。
まずは運ばれてきた前菜は、「チャーシュー」と「くらげのサラダ」、「揚げ春巻き」。もうここでノックアウトされました。
何といっても叉焼がたまりません。日本の感覚からすれば、トンローポーとチャーシューの間くらいのイメージですが、甘辛ダレの外カリッ、中トロッな絶妙な味。
くらげも肉厚で、ちょうどよい食感。固すぎず、柔らかすぎず。
個人的には、これまで食べていた中でも最高ランク。
次来るときには、アラカルトでこの2品だけ頼み、ビールを飲み続けてみようと心の中で誓います。
ビールは20元。これもちょっと良い定食屋並みの価格設定。
中国語・英語で予約をするのが面倒な方は、代行予約がおすすめ▽
・スープ、メインと安定感抜群の広東料理
続いては、「Seafood Hot & Sour Soup」。酸辣スープですね。
そして、「Steamed Grouper with Ginger & Soya/白身魚の蒸し物」と続きます。
このあたりは、安定の味ですね。
メインの魚介には「ボストン・オイスターのチ-ズグリル」。
通常の日のランチですが、結婚式か?という気分になってきます。
肉には「Stir- fried Beef with Broccoli in Oyster Sauce/牛肉のオイスターソース炒め」と王道料理が続きます。
締めのご飯は「Robster Rice in Lobster Broth/ロブスターから取った出汁のおじや」。
中にはスチームド・ライスが潜んでいますが、仕上げに揚げた米を散らし、2つの食感が楽しめます。石鍋に入れられアッツアツ。
やはり中華でも、ご飯ものが美味しいと、コース全体の満足感が高まります。
デザートは、アーモンドと卵白のクリームスープに、伝統的なブランシュガーの蒸しケーキ。
最後までぬかり無しといった印象です。
・確かな食材選び、的確な調理技術から生み出される安定の味
コース全体を通して、あからさまな奇抜さはないですが、きちんとした食材を選び、しっかりとした技術で料理されていることが、口に入れれば納得できる料理ばかりでした。
値段を差し置いても、確かに1つ星ではもったいないクオリティであることは食べてみれば誰もがわかるでしょう。
コース料金はビブグルマンでもおかしくありませんし、単品でチャーハンなどをメインに頼めば、1人2,000円程度で収めることも可能です。
料理だけでいえばもっと上に行けるポテンシャルもあると思うのですが、グランメゾンではありません。
オシャレな内装や雰囲気ですが、高級すぎずカジュアルからはみ出ないバランスで落とし込まれているところに、むしろ好感を持ちました。
当日の予約しか取らないシステムもまた然りです。
アジアのミシュランの選択基準に関しては、ことあるごとに私もつい突っ込みをいれてしまいましたが、この店は無条件で納得。
いや、そういった基準とはまったく関係なく考えても、純粋に名店だと思います。
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『喜粤8号/CANTON 8』店舗情報
平均予算:3,000~5,000円
住所:上海市汝南街63号
営業時間:11:00-15:00 17:00-22:00
電話:+86 21 3165 8198
予約の仕方
事前の予約は基本的に受け付けていません。日本の地方の蕎麦店などでみられるような、ウェイティングリストに記入し、空きができたら入店できるシステム。ランチの受け付けは11:00から、ディナーは17:00からです。
店の地図
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