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「ザ・ペニンシュラバンコク」のダイニング『メイジャン』。
率いるエグゼクティブシェフは、香港、北京、深圳、マカオなどの地で食通たちを魅了してきた、ボール・ヤウ氏です。
バンコク随一のチャイニーズレストランという座に甘んじることなく、広東料理を新しい視点で楽しむことを追求する彼の現在地は?
点心ランチでも、その真髄がじゅうぶん感じられました。
平均予算:ランチ 3,000~5,000円、ディナー 10,000~15,000円
バンコク随一のチャーニーズで、点心ランチ
バンコクは、王宮エリアのすぐお膝元のダウンタウンがチャイナタウン(ヤワラート)になっているような街の構造からもうかがえるように、食も含めて中国文化と深いつながりがある街です。
ですので、『S.B.L.』や『Sanyod (Sathon-Bang Rak)』などのカジュアルチャイニーズが、ミシュランのビブグルマンに入ってきていたり、香港スタイルの焼物『Prachak Roasted Duck』が人気を博していたりと、そもそも中国料理の地力は高い都市だと言えるでしょう。
とはいえ、ハイエンドな店は少なめで、フーディーでも満足できるチャイニーズと言うと、バンコクではこの『メイジャン』一択かもしれません。
存在を知ったのは、BKマガジンの中国料理特集やリバーサイドのレストラン特集などで必ずセレクトされていることでした。
けれども、メディアのおすすめに頼るまでもなく、この『メイジャン』は「ザ・ペニンシュラ」のダイニングであることを思えば、そのクオリティは想像できますね。
香港の名店『スプリングムーン』などの系譜にあると言えば、間違いのない店であることはわかります。
・現在注目のエリア、チャオプラヤー川左岸にある「ザ・ペニンシュラバンコク」
「ザ・ペニンシュラバンコク」があるのは、チャオプラヤー川沿い。
シーロムなどからは橋を渡った対岸になりますが、大型ショッピングモール「ICONSIAM」 オープンなど再開発が進み、注目を集めているエリアです。
宿泊者などには、BTS「Saphan Taksin」駅あたりから渡し船で移動するサービスも利用できるので、単なる移動がプチ観光になる楽しさもあるでしょう。
正面エントランスから入ると、「ザ・ペニンシュラバンコク」はこんな感じ。
タクシーやGrabなどでも「ペニンシュラ」と言えば通じますので、いずれにせよ迷うことはないでしょう。
『メイジャン』はロビーがあるフロアから1階降りたガーデン階にあります。
階段を降りて、左手側が店のエントランス。
ダイニングには、川沿いのパティオに面した格子窓から差し込む陽光。ランチだとエレガントかつ温かな雰囲気を醸し出しています。
また、人数にあわせて利用できる個室や、キッチンの隣にシェフズテーブルもあるそうなので(8名まで)、特別な日なら、そちらをリクエストするのもいいでしょう。
・ランチは、点心メニューがおすすめ
アワビなどのバリッバリな広東料理も楽しめるので、アラカルトの満足度も高そうですが、ランチにおすすめなのは「点心メニュー」。
「慶 Prosperity」「財 Wealth」にベジタリアン向けの「健康 Wellness」の3種があり、どれも980THB(約3,600円)。
今回は、もっとも王道な「慶 Prosperity」セレクトしてみました。
オーダーを済ますと、テーブルのセッティングをしてくれましたが、「ザ・ペニンシュラ香港」が発祥だとされる「XO醤」がこちらでも出てきたのが嬉しいですね。
・広東料理の粋を印象づけるコース前半
最初に出てきたアミューズ/コンプリメンタリーが、予想以上に凝っていた「車海老のトリュフソース」。
海老の火入れやソースに優雅さが表れていて、一口サイズのものですが、広東料理の高級感を感じるにはじゅうぶんなインパクトです。
ティーペアリングをお任せで付けてもらったのですが、一杯目は「杭州明前龍井(ロンジン)」。
杭州郊外の龍井村を発祥とする緑茶ですが、ダージリンティーのような高貴さが特徴。
日本の中国料理店ではなかなか見かけないですが、たしかに食事前半のスタートにはうってつけのテイストなので、このあたりのセレクトも、さすがです。
そして、前半の山場は、やはり「シェフおすすめの点心5種」。
前からカレーパイ、海老、豚肉、豚と海老・野菜のミックスのシュウマイとこのあたりは鉄板なクオリティ。
新鮮だったのは、一番奥にある「タロ芋の白鳥」。
蒸したタロ芋をガタイフのようにフリットで包み、顔と首が付けてあります。
ルックスもキュートですが、タロ芋を点心に落とし込むセンスに感服。
後半の料理にも期待が持てます。
外国語での予約が面倒な方は、代行予約が便利です▽
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・中国とタイの食文化の共通点をクローズアップするようなメニューも登場
コースは中盤にさしかかり、「広東式本日のスープ」。
以前、広州の知り合いから、ささっと数時間で出汁を取ったスープなんて、単なる水だという話を聞いたことがあります。
その言葉を思い出すような、非常によく煮込まれたスープ。
素材の良さでしょう、限りなく甘いニンジンや豚肉などのほか、パパイヤや生落花生などが独特なアクセントになっています。
ティーペアリング後半は、「プーアール茶」。
最近様々なジャンルでティーペアリングが増えてきましたが、基本はワインなどと同じなのでしょう。
前菜などには、すっきりとしたテイストのお茶を。
そして、ガツンとしたメイン料理などには、パンチのあるテイストのお茶を合わせていくことで、料理もドリンクもより高め合う
そのプーアール茶と合わせるメインは「牛肉入り平打ちライスヌードル」。
牛肉柔らかいな、いいコクの味付けだなと、食べ進んでいたのですが、ふと思えば、バンコクでこの平打ちライスヌードルを食べるのも意味深いことかと
タイ料理店などでも、この平打ち麺(クイティアオ)はたまに出てくるのですが、発祥は広東省潮州市付近から伝わった河粉だと言われています。
さり気なく出てきましたが、これはタイと中国、その両者をつなぐ代表的な食文化の一つということです。
デザートは「タピオカとグレープフルーツ入り冷製マンゴースープ」。
このデザートのレシピも中国にもあるのかもしれませんが、個人的にはグレープフルーツやタピオカなどの使い方はタイらしさを感じます。
ソフトクラブシェルだったり、付け合せにグレープフルーツやはっさくなどの柑橘系がよく使われますので。
・香港、北京、深圳、マカオなどの地で食通たちを舌を唸らせてきたシェフ、ボール・ヤウ
どちらかと言えば、カジュアルなランチセットではありましたが、その中にも文化的なストーリーが織り込まれているところにセンスがうかがえます。
単なる本場・広東の焼き直しではなく、バンコクにある中国料理という意味を消化しようとしているスタンスに感服しました。
エグゼクティブシェフに就任したボール・ヤウ(Ball Yau)さんは、香港の広東料理店『Lei Garden』でチーフシェフを務め、ミシュラン2つ星を獲得するまでに育て上げた凄腕。
その後、「ベネチアン マカオ リゾート」の『Lei Garden Macau』を経て、北京で最もスタイリッシュなレストランと言われた『1949 Jin Bao Street』のチーフシェフなどを歴任し、香港、北京、深圳、マカオなどの各地で食通たちを舌を唸らせてきたそう。
彼の真骨頂は、伝統を継承しつつ新しい創作を試み、昔ながらの点心から斬新な料理まで幅広いメニューを手がけること。
たからこそ、その土地に合わせた進化を表現できると、この点心ランチにもにじみ出ていました。
『MEI JANG(メイジャン)』店舗情報
営業時間:ランチ 11:30~14:30、ディナー 18:00~22:30
定休日:無休
電話番号:+66 (2) 020 2888
住所:333 Charoennakorn Road, Klongsan, Bangkok 10600
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予約は電話か、オフィシャルwebから(タイ語・英語)。
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