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感度の高い大人たちからの絶大な信頼を誇る「W HOTEL」。
そのバンコク店に併設するレストランが「ハウス・オン・サトーン」です。
トルコ出身のシェフ、ファティ・トゥタク氏のマルチ・カルチャーな料理が真骨頂。旅をコンセプトとすることで、ホテル・レストランというスタイルにも新たな風を吹き込んでいる存在だとも言えるかもしれません。
平均予算:ランチ 5,000~7,000円、ディナー 10,000~15,000円
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マルチ・カルチャーを“コロンブスの卵”的に解釈。旅をテーマとするホテル・レストラン
バンコクの中心地シーロムにある築120年の歴史的建造物
場所は、現在のバンコクの躍進を象徴する中心地、シーロム。かつては大使館として使われていた築120年の由緒ある洋館がレストランとして生まれ変わったのが、2015年のこと。
博物館であってもおかしくない建築が、レストランとしてオープンしたことも話題でしたが、その料理のクオリティも折り紙つき。
2017年3月に発表された「アジアのベストレストラン50」では、開店1年余りで、No.36にノミネートされています。
今回はランチで訪れたので、基本的には、コートヤード(中庭)での食事になりますが、あまりに暑い日だったので、ダイニング・ルームに変更してくれました。
一歩、そこに足を踏み入れると、異空間が広がっていました。
建具やインテリアの一つをとっても、当時の面影が残されながら、野暮ったさがない設えはさすがの一言です。
オリジナリティ溢れるカクテルが魅力
手仕事によるアールヌーボー期の装飾は、現在では実現が難しいんだよな、などと思いながら、まず食前酒を選びます。
ワインリストは妥当なものだったのですが、東南アジア諸国では酒税が高いため、日本と比べるとコスパが悪くなるのは、仕方がありません。
となると、南国ではカクテルがおすすめでしょうか。ここ『ザ・ハウス・オン・サトーン』でも、カクテルの種類は豊富で、シグネチャーの一つ「ザ・ガーデン」をオーダー。
ジンベースのカクテルで、キュウリとタイムの青酸っぱさで、フレッシュな気分になったところで、パンも登場。
パン自体もタイで食べた中では最上級のものだったのですが、付け合せのペーストも秀逸。基礎力の高さをうかがわせます。
外国語での予約が面倒な方は、代行予約が便利です▽
日本語可!『ザ ハウス オン サトーン』をグルヤクで予約する
ユーラシア大陸を駆け抜けるような、多様なバッグボーンを持つ料理
アラカルトで選んだのは、2品。
最初に「マグロのタルタル」。ハーブの使い方がタイ風です。
メインには「子羊のグリル」。
シェフの故郷トルコのテイストかと思いましたが、カレー・スパイスの使い方は、どちらかと言えばインド風です。
デザートには、「パンナコッタ」。こちらはイタリアンですね。薄く二層になっているという変化球が少し入ったタイプ。
カフェオレも、どことなく“東”のテイストが入っているような。
具体的に表現できないのですが、ギリシアあたりで飲んだテイストに近いような気がします。
と、何料理の店なの?と訊かれると、簡単に答えられないところが、この店の面白さなのでしょう。
公式には「CUISINE: Modern Turkish Influenced(モダントルコ料理の影響が入った料理)とされていますが、人によっては「Innovative Asian with a Turkish twist(トルコ風のイノベーティブなアジア料理)」とか、単に「Asian Fusion(アジアのフュージョン料理)」と呼ばれている場合もあります。
けれども、私は「イノベーティブ・ユーラシア」とでも呼びたくなっています。
シェフ、ファティ・トゥタク氏によれば、この店のコンセプトは「旅」です。出身地であるトルコや、彼が世界を旅してきたなかで感じてきた味や香り、色彩といったインスピレーションが渾然となった料理。
それが時にターキッシュであったり、インドであったり、タイであったり。アジア大陸だけではなく、フレンチやイタリアンへのリスペクトも忘れてはいません。となると、これはもう「ユーラシア大陸」を横断しているような感覚になってきます。
「旅」というテーマに託された、ホテル・レストランの一つのスタイル
冒頭に「ホテル・レストランというスタイルにも新たな風を吹き込んでいる」とも書きましたが、それも同じことです。
例えば、どこかの街を訪れて、ホテルに泊まる度に、こんなことを思います。ホテル・レストランを運営するのは、簡単じゃないな、と。
高級ブランドの大規模ホテルで、各ジャンルの一流店を集めることもできれば、まだいいかもしれません。「マンダリン・オリエンタル」や「ザ・ペニンシュラ」のレストランではたいてい感動した経験しかないですし、若干コンサバ寄りになりますが、「インターコンチネンタル」、「フォーシーズンズ」などレストランで外した経験はほとんどありません。
けれども、そこまでの規模がない場合、どうしてもある種の「ファミレス化」とのせめぎ合いになってしまうものかもしれません。客がコンビニエントに使える「食堂」としての機能が求められてしまうからです。
世界各国から客が訪れるなら、なおさら。現地の雰囲気を味わってもらうためにローカルフードは用意しつつ、欧米系にパスタや肉料理を、はてはハラル対応もしておかなくちゃと、とりとめがなくなっていきます。そんな中で、店の味、個性を出そうなんてことは、かなり難しい所業なのでは、となかば同情してしまうことが多いのです。
一方で、『ザ・ハウス・オン・サトーン』では、その問題を軽々とクリアしているように思えました。
それは「旅」の中では、地域を移動していっても、一つのストーリーとしてちゃんとまとまるというような解決法です。料理の技術としては、さほど難しいことではないでしょう。つまり、「コロンブスの卵」的なアイデアの勝利。
そんな料理の説得力を感じたランチでした。
天候の良い日には心地よいコートヤードでの食事もおすすめ。アフターヌーンティーも提供されています。1人1,350THB(約4,500円)〜。
『The Dining Room at The House on Sathorn』店舗情報
営業時間:ダイニング・ルーム 18:00~L.O.21:30、コートヤード 12:00~L.O.22:30、バー 12:00~24:00
定休日:無休
電話番号:+66(0)2 344 4025
住所:106 North Sathorn Road, Silom, Bangrak, Bangkok
オフィシャルwebページはこちら
ドレスコードと店の雰囲気
ドレスコードは、「スマートカジュアル」で。ホテルレストランらしい開放感に溢れたお店ですが、ビジネスに使っているゲストも多いので、雰囲気を壊さないように。
食事の間も含めて、コミュニケーションは英語かタイ語が話せる方なら、まったく問題ないでしょう。日本人客も多いので、ある程度スタッフも慣れているようですが、日本語での細かな対応は難しそうです。
予約の仕方
予約は電話かオフィシャルHPの予約フォーム(英語)が便利。
外国語での予約が面倒な方は、代行予約も便利です。
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