岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴(さかな)』郷土料理

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

 

大雑把にカテゴライズするなら郷土料理のジャンルに入る岐阜・高山の名店。

ただ、その徹底的に現地主義な食材調達や、和食のクリシェにとらわれない調理法など、一回転して、時代の最先端にいるとも思わせます。

日本の未来の食文化を見つめるためにも、食べておくべきお店の一つ。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

平均予算:ランチ 15,000~20,000円、ディナー 15,000~20,000円/「ミシュラン岐阜 2019」1つ星獲得、食べログ100名店 

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※リンク先から「飛騨季節料理 肴」で検索してください

 

店の特徴 

レオナルド・ダ・ヴィンチは、「凡庸な画家は画家に学び、優れた画家は自然に学ぶ」という言葉を残したとされています。

この考え方は、料理にも当てはまる部分があって、「普通の料理人は料理人に学び、優れた料理人は自然に学ぶ」とすると面白い風景が見えてくると、とあるイタリアンに対して書いたことがあります(サイト内にあるので探してみてください)。

そして、ふたたびこの言葉が頭をよぎる店に出会うことになるとは。

それが、ここで紹介する岐阜・高山の『飛騨季節料理 肴』です。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

この『飛騨季節料理 肴』は、店名の通り、飛騨地方の自然に根付いた料理を提供するお店。

季節の料理とは、春は山菜、夏は川魚、秋はきのこ、冬はジビエになりますが、山に囲まれた環境にある店であれば、日本全国だいたいの地域で同じです。

ならば、結局は、それぞれの食材がどれくらいの質か、どう仕入れ、どう捉え、どう仕立てるか。

料理人の知恵や技術、そしてセンスが、特別なものになるのか、凡庸なものになるのかの分かれ道ということです。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

なんでこんな話から始めたかというと、高山中心部から10分弱、車を走らせ、カウンターに座ったときに、別のお客さんと大将が「感化されてしまうので、よその店を食べ歩くことは滅多にない」と話していたことが妙に引っかかったのです。

そして、出てくる料理がすべからく、野趣に溢れていながら、上品さもあわせ持っている独自性の高い料理で、これは誰かに習ってできるものではないな、と。

だとしたら、飛騨の自然、その自然の一部分である食材から教わった料理としか思えなくなったのです。

 

季節や予算によって変わるおまかせコース主体の構成

前置きが長くなってきたので、そろそろ店のレポートに話を進めます。

メニューは、おまかせコースのみで、山菜にしろ川魚にしろキノコにしろジビエにしろ、本当の旬の時期にはそれぞれの「堪能コース」も出ます。

私が訪れたのは、4月下旬。

この時期に獲れる川魚や山菜、飛騨牛をまんべんなく配した「店主おまかせコース」13,000円を予約時にお願いしておきました。

ただ、5月上旬から6月上旬は、本格的に山菜の季節になるので、期間限定で「山菜料理堪能コース」16,000円が出てきます。

「今日出している山菜も美味しいですけど、正直に言えば、旬の山菜はさらに1つレベルが上がった感じ」と大将。

飛騨牛や岩魚抜きで、この値段なので、お値段もワンランク上がっていますが、その価値はじゅうぶんにあるでしょう。

 

「店主おまかせコース」13,000円

まずは、季節の山菜からコースは始まります。

前菜の山菜

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

最前列はフキ、真ん中の列はウド、奥は天然もので統一。

奥は、コゴミ、ふき味噌など。

皿のセレクトを含め、このモダンアートのようなルックが大好物ですし、それぞれの味の個性が立っています。

かつ、車で来たことを後悔しました。

お酒があったほうが、より美味しく食べられる

次は、タクシーで来るか、徒歩圏内の「ホテルアソシア」に泊まります、絶対。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

というわけで、ノンアルコールのスパークリングから始めます。

 

山菜の水餃子

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

豚肉とともに、山菜のアンで作られた餃子。

ニラや白菜の代わりに山菜を使っているイメージです。

こんな食べ方もあるんですね、へえ。

 

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

奥がニジマスの冷燻。

左下のタンは味噌漬け、ローストビーフはストレートに。

 

山菜の天ぷら

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

ふきのとう、コシアブラ、タラの芽、コゴミ、あずき菜など。

鉄板。

美味しくないわけがありません。

 

花わさびの食べ比べ

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

右から酢、塩、醤油で仕上げたもの。

 

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

ノンアルのお代わりは、ライムソーダ。

 

アマゴの塩焼き

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

その日に、大将が釣ってきたものだと言います。

今年は、まだ養殖のアマゴしか食べていなかったので、引き締まった身にうっとり。

 

山菜のサラダ

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

これも、コロンブスの卵というか。

山菜は結構食べているほうだとは思うのですが、サラダで食べたことは初めてです。

 

飛騨牛 食べ比べ

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

左がランプ、右がサーロイン。

火入れに関しても様々な方法をためしてみたそうで、その結果、石で焼くのがベストだったとか。

熱した御影石で焼いているそう。

タレの味ではなく、肉の味を堪能する薄めの味付けも抜群のバランス感。

 

鰆のあんかけ

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

 

モズクとホタルイカの沖漬け

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

この時期の定番、ホタルイカの沖漬け。もちろん自家製。

そして、富山と新潟の県境くらいで獲れるモズク。

細めで、コリっとした、今までに食べたことのない食感のモズクでした。

 

山家鍋

〆は、鍋とうどん。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

骨酒にインスパイアされたという鍋で、岩魚の良い出汁が出ています。

各種、山菜が入ります。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

出汁を出し切ってお役御免というわけではなく、岩魚もきっちりと成仏させます。

 

デザート

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

濃姫と飛騨牛乳で作ったアイスクリーム。

 

まとめ

私自身、奥飛騨に2年ほど住んでいた経験があるので、個々の素材に関してはなじみがないわけではありません。

ただ、それがこういう形で出てくるんだ?と、「なるほど」と「へえ」の連続。

食事中、目の前に繰り広げられるスペクタクルに付いていくのが精いっぱいで、テーブルの上から目を離せなかったのですが、デザートを食べ、ふーっと息をついて、後ろを眺めると、なんとも魅力的なアナログレコードが並んでいました。

岐阜・高山市『飛騨季節料理 肴』郷土料理

聞けば、その数2000枚以上。

大阪や京都での修行時代、DJなどの友人などが多く、勧められたLPなどを入手して行ったら、かなりのコレクションになっていったとか。

ただ眠らせておいても仕方がないので、聴く時間も作ろうと、定期的にロックバー的な営業もやっているそう。

このクリエイティブな料理が生まれるバックボーンには、こういった志向性も関係していたんだと、膝を打ちます。

私事ですが、大学在学中に就職したのは、音楽系出版社でした。

カルチャー誌の所属でしたが、その会社には、社内全体にロックスピリッツが前提。

例えば、「カメラマンでもデザイナーでも、強烈なロック体験がない人間に、クリエイティブな仕事なんてできない」という上司の言葉が刷り込まれています。

もちろん年を重ね、別にロックでなくてもいいと思える分別はついていきましたが、要はカウンターカルチャーのスピリッツがあるかどうか。

既にある正解を疑い、自分なりにもっといいものとは何かを考え抜き、それを実践すべく行動すること。

和食の世界で、そんなスピリッツを感じたことは、滅多にありません。

グルメ業界に責任はない立場なので、これからはロック好きのシェフの店だけ行こうかな?とさえ思えてしまう、心地よい衝撃を高山のはずれで感じた夜でした。

 

 

メニュー

【おまかせコース】
「店主おまかせコース」11.000円/13.000円/16.000円

【飛騨牛コース】
「飛騨牛石焼ステーキ コース」10,000円
「飛騨牛すき焼き コース」11,000円
「飛騨牛しゃぶしゃぶ コース」11,000円
「冬限定!ジビエコース」20,000円

メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください

 

予約

3日前までに要予約。昼は2名から、夜は1名から。

予約は電話か、web即時予約はヒトサラで受け付けています。

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※リンク先から「飛騨季節料理 肴」で検索してください

 

店の地図・アクセス

JR高山本線「高山駅」より車で約8分
中部縦貫自動車「高山IC」より車で約10分

 

 

『飛騨季節料理 肴』店舗情報

営業時間:ランチ 12:00-15:00(L.O.13:00)、ディナー 17:30-22:00(L.O.20:00)
定休日:不定休

電話番号:0577-36-1288
住所:〒506-0033 岐阜県高山市越後町1126−1
オフィシャルHPはこちら 食べログの情報を見る

オフィシャルinstagramページはこちら

 

 

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