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マニラのグローバルシティで「次に来る店」として注目を浴びるジャパニーズ・フュージョン『Mecha Uma(メチャウマ)』。
店名はさておき、日本料理を独自に解釈し突き詰めるスタンスを堪能。
日本では味わえない日本料理という楽しい店に突撃してきました。
平均予算:ディナー 7,000~10,000円 /「La Liste 2020」No.509
グローバル・ジャパニーズの萌芽を実感させる、自由で楽しい日本料理
メチャウマ?!
まずはこの店名へのツッコミは入れなくちゃいけないでしょうね。
マニラのグローバルシティに、面白いジャパニーズ・フュージョンの店があると、なんとなくアンテナには引っかかってきていたものの、このチープな居酒屋のような語感が邪魔していて、結局は後回しにしていたのです。
けれども、現地の知り合いから、「まだ『メチャウマ』には行ってないのか?」とあまりにしつこく言われていましたし、国際的なレストランランキングサービスの一つ、OADのアジア部門でも2019年度はNo.80にランクインしていたので、単なるおちゃらけた店ではないと、ついに重い腰を上げたのです。
で、結論から言うと、はい、私が間違っていました。行っておくべきお店です。
まあ、ラテンアメリカのベストレストランにノミネートされているペルーの日本料理店が『Maido』だったり、マニラでB級日本料理の人気店に『Motto Motto』という店があったり、日本語の店名の語感は選択基準にしないほうがよさそうです。
そう考えると、日本でも美味しいという言葉を表す英語で「Yummy」とか「Yum Yum」みたいな言葉が浸透しつつありますが、ネイティブからするとどういうニュアンスなのでしょうかね?
インスタのタグにはいいけど、店名にまですると砕けすぎみたいなこともあったりするのでしょうか?
話が回りくどくなりました、マニラの日本料理店『メチャウマ』です。
場所は、グローバルシティの中央を貫く遊歩道から、700mほど南のブロックの銀行のビルの1階。
外からはきらびやかな内装が目に飛び込んできます。
・アラカルトとおまかせスタイルの2本立てのメニュー
メニューはアラカルトとコースがあるのですが、ここはもう開き直って、おまかせコースをオーダー。日本円にして約7,500円。
おまかせにしたのは、こうなったら出されるものを何でも食べてやるよという開き直った気分でなかったと言えばウソになります。
アラカルトでは、寿司や刺し身などのが中心。
洗練された客層からもすると、おしゃれなIZAKAYAバーとしても定着しているようです。
料理の前に、ドリンクをオーダー。
日本酒や焼酎の品揃えも十分だったのですが、面白そうだったので、芋焼酎のカクテルを。
その名も「芭蕉」!
レモンとジンジャーの入ったフィリピンらしい組み合わせだと思ったのですが、よくよく考えてみれば、ほぼレモンハイですね。
これ以外にも、「大名」「式部」「座頭市」というネーミングのカクテルが揃っていましたが、意味はなさそう。
でも、ピックアップのセンスは良いと思います。「座頭市」にすれば良かったかな。
とか思いつつ、アミューズのスナックが出てきます。
このあたり、イノベーティブ系なコース構成のようです。
1皿目。まずは、せんべいの上に乗った北海道産のホタテ。
2皿目。ゴマのビスケットに挟まった、漬け。パイナップルで酸味を出してます。
・日本産食材を駆使し、創作性をプラス
3皿目。続いて刺身盛り。鯛にマグロの赤身、〆鯖。しっかりと脂ののった魚を選んでいました。
4皿目。「茶碗蒸しみたいなもの」と言って出されたのですが、確かに茶碗蒸し「みたいなもの」でした。具にはイカとキウイ。
酒粕みたいな感じもありましたが、茶碗蒸しと言うよりカスタードっぽいかな。
5皿目。このあたりから手の混んだものが出てきますが、広島の牡蠣。
牡蠣の身は、外サクッ中フワッといい感じで火が入っていますが、パンの上に載っているところが興味深いですね。
なんとなく寿司をイメージしているのかもしれませんが、ご飯とパンを替えてしまうのは、日本人じゃできないですから。
さてはて、この後はどんな料理が続くのでしょうか――。
・再構築? いや新たな日本料理の構築です
前ページで紹介した、これまでの料理をみる限り、近いセンスを感じた店を強いて挙げるなら、新北欧料理を経由したことで新たな日本料理のありかたを提示している東京・目黒の『kabi』などでしょうか。
まったく反対のアプローチからたどり着いた結果で、全然違うといえば違いますが、ポジション的には同じようなところにカテゴライズされるかな、と。
この後もコースのレポートを続けます。
6皿目。何かわかりづらかったのですが、おそらくザリガニ。
アボカドのクリーミーさと、身のプリプリ感のコントラストが◎
7皿目。穴子の天ぷら。
そして、ミニトマトの天ぷら。
え?!って思ったのですが、最近は日本でもトマトの味噌汁が出てくるところもありますし、京都の老舗中の老舗な料亭『瓢亭』でもトマト醤油がシグネチャーだったり、和食ともトマトは相性がいいのですが。
天ぷらは初めてでした。
8皿目。そして、「卵焼き」。これも面白かったです。
卵焼きといいつつ、スライスされた卵焼きが乗ったタルトです。
上に散らされたイクラと、間に挟まった黄身の燻製がアクセントになっています。
・メイン&飯ものは、フィリピンスタイル
9皿目。メインの肉料理は、フィリピン産のダック。
カウンターの目の前で1時間くらい焼いているのを見ていて、まだか、まだかと思っていたのですが、ついに登場です。
仕上げに炭火で煽っていることで、香ばしさも加味。
10皿目。メインのダックの端肉と、しめじの炒飯。というか、フライドライスと言ったほうがニュアンスは正確ですね。
醤油を始めとした調味料のニュアンスは、日本っぽい米料理というより、フィリピンの家庭の味ですね。
〆のデザートは、ココナッツのアイスクリームで。
おまかせコースの内容も事前に確認せず、言葉とおり「おまかせ」で楽しみましたが、全11皿のコースだったということです。
・新たな日本料理として、外国人が手がける“グローバル・ジャパニーズ”に注目
それにしても、面白い料理でした。
日本料理だと意気込んで食べると肩透かしを食らうような、日本人じゃやらないような料理がたくさん散りばめていましたが、先入観をなくせば、じゅうぶんクオリティの高いイノベーティブ料理だったことはたしかです。
とともに、外国人がつくる日本料理というのに、改めて興味が湧いてきました。
香港の『RONIN』のように、日本人よりも日本への愛情を感じる店もありますが、アプローチはいろいろあっていいでしょう。
覚えている方もいるでしょうが、「カリフォルニアロール」が日本に紹介されたとき、「あんなものは、寿司じゃない、日本料理じゃない」という意見が多く聞かれたものでした。
そういう意見があってもいいとは思いますが、多くの人が抱いている寿司はこういうものだという「概念」とは違うということだけで否定してしまうのは、もったいないですよね。
和食がユネスコ文化遺産に登録されている現在、こういった「外からの視点」が活発になればなるほど、和食や日本食が世界中で定着していくのだと思います。
その中で、伝統を追求するものがいてもいいですし、勘違いが新たな発見を生んでもいいですし。
古典的な日本料理とは別のグローバル・ジャパニーズが確立しても、全然良いことだと思います。
そもそも逆の立場で考えてみて、自分が日本で舌鼓を打っているフランス料理やイタリア料理、中国料理がどれだけ「本物」かというと、確信はありません。
最初は、こんなんパチもんだよと思われていた料理でも、あれ、意外といいんじゃない?っていう料理も出てきます。
我が故郷・名古屋の名物「鉄板ナポリタン」は、決して本物のイタリア料理ではないでしょうが、イタリア人の多くも認める美味しさには変わりはないと思っています。
もっとハイレベルで、国際的にも認められている店でも、日本ツィストが入っている店がほとんどです。
料理人の一人が、「次は寿司も食べてってね。うちの大将の寿司は美味しいよ」と見送ってくれました。
今日の料理のクオリティや、料理人の所作などを見ていると、じゅうぶん美味しい寿司を出してくれそうですが、日本に住んでいる限り、さすがに寿司は日本で食べるかな。
あれ、言ってること違うか?!
『メチャウマ』のインスタ最新投稿をチェック
『Mecha Uma(メチャウマ)』店舗情報
営業時間:18:00~22:00 定休日:日曜
電話番号:+63 2 964 9605
住所:G/F RCBC Savings Bank Corporate Center 1634, 25th St, Taguig, Kalakhang Maynila
オフィシャルFacebookページはこちら
予約に関して
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