フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

フィリピン・マニラ『オールドマニラ(Old Manila)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

 

世界のVIPたちをもてなしてきた、マニラきっての由緒正しきホテルレストランで感じる新たな風とは?
マニラのトップホテルで初となるフィリピン人シェフをフィーチャー、現地の食材と輸入食材を使い分け、オーセンティックなゲストも新しもの好きも納得させる技術とセンス。
伝統の「ザ・ペニンシュラマニラ」のメインダイニング『Old Manila(オールドマニラ)』の現在を体験してきました。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

伝統と革新を股にかけ、ホテルレストランに新風を吹かせる『オールドマニラ』

「マニラのへそ」というと、やはりマカティになるのでしょうか。新興のグローバルシティもいいですが、マカティは、東京で言えば銀座のような歴史と風格が魅力です。

マニラ最大のショッピングセンターであるグリーンベルトをはじめレストラン、ミュジアム、映画館などが密集し、金融と商業の中心地でもあるこのマカティで、1976年のオープン以降、長い歴史を刻んでいるホテルが「ザ・ペニンシュラマニラ」であることをご存知の方は多いでしょう。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

実はこの「ザ・ペニンシュラマニラ」、現在では世界10か所にある「ザ・ペニンシュラホテルズ」のなかでは香港に続き2番目に古い歴史を持つそう。

確かに、一歩館内に入ると広がっている「ザ・ロビー」にも風格が漂っています。伝統的なアフタヌーンティーやブッフェで知られているスペースですが、品の良さと、ほどよい賑やかさが共存した心地よい空間に、南国のコロニアル文化の名残も感じられます。

しかも、マニラの「ザ・ロビー」は、24時間営業だとか。ビジネスや政治の社交の場として愛されてきたことが伺えます。

・「ザ・ペニンシュラマニラ」のシグネチャー・レストラン

さて、このページの本題は、「ザ・ペニンシュラマニラ」のシグニチャーレストラン『オールドマニラ』。ホテルのエントランスから入ると、1階の左側奥にあります。

店内はフィリピンのアーティストによる作品を鑑賞できるインテリアが特徴的で、ホテルとの歴史と共にここで多くのVIPたちをもてなしてきた由緒正しきメインダイニングです。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

 

一方で、この店に興味を引いたのは、歴史あるホテルのメインダイニングでありながら、シェフが変わるごとに店のコンセプトも変わるという臨機応変さを併せ持っていること。

さらに2016年に就任したシェフ、Allan Briones(アラン・ブリオネス)さんは、長い歴史を誇る『オールドマニラ』のなかで、初のフィリピン人だとか。

いったいどんな化学反応が起きているのでしょうか? 興味津々で、3月末に伺ってみました。

・トップホテルとしてフィリピン人初となるシェフは、マルチカルチャーを地で行く国際派

件のアラン・シェフは、アメリカの料理学校で学び、ゴードン・ラムゼイを始めとした著名なシェフを育てたロンドンの伝説的なシェフ、マルコ・ピエール・ホワイトのもとで研鑽を積みます。

その後、ドバイの「インターコンチネンタル・アブダビ」のレストランで腕をふるっていたというキャリア。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

そもそも幼少期をナイジェリアやハワイで過ごした国際派で、料理の道に入ってからも、フランス料理やイギリス料理だけでなく、各国のアジア料理や日本料理まで経験してきたという、ダイバーシティを地で行くバックボーンを持っていることが特徴でしょう。

そんなシェフが、2016年にフィリピンに帰国したのは怪我の治療のためだったそうですが、久々に帰ったマニラに対して「グルメシーンが活気づいていることを感じた」と言います。

まだまだグルメ先進国ほど発展しきってはいないとはいえ、母国のレストランシーンが進化することを確信したシェフがたどり着いたのが、この『オールドマニラ』だったのです。

・季節の素材を取り入れ、そのポテンシャルに合わせて調理法を駆使

多彩なキャリアが示すように、「何らかの料理ではなく、季節の食材をベースにしたメニューを作る」というのが、彼の信条。

その考えを実現するには柔軟性が必要ですが、自ずと革新的なものが生まれる可能性もあるというのが、面白さかもしれません。

それは、最初に出してくれたアミューズ「フォアグラのカナッペ」からも感じられました。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

 

カルパッチョを足しているところが肝でしょう。こんな小品にまで、肉と魚、それらの旨味をうまくミックスさせるというセンスを発揮しています。

続いて出してくれたサラダも大胆。

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軸がついたまま、くし型切りにしたロメインレタスを下に起き、緑菜、ハーブ、アボガドのピュレ、ナッツなどを乗せた一品。

サラダですが、野菜のステーキといったイメージにも映りました(肉じゃなくても、焼かないとステーキではないのですが、なんとなくのイメージです)

そして、冷菜は「スズキのカルパッチョ」。

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こちらも、様々な食材をあわせた複合的な一皿。

酸味を感じるのですが、調味料を足すのではなく、パイナップルやしめじなどの素材から引き出しているそう。

「私はいつ、どのように食材を使うのかを、料理の種類に応じて決めます」というシェフの言葉が裏付けられています。

シェフ自身は「フレーバープロファイル」という言葉をよく使っていますが、そのプロファイルを研究しているからこそ生み出せる味の組み合わせは、彼ならではの個性だと理解できます。

 

・ステーキ専門店に引けを取らない肉のクオリティ

実は、ここまでに紹介した料理は、メニューには載っていない料理だとか。コースやパーティなどで出される季節の一品のようなものだそうで、まさに「素材の入荷次第」。

そして、メイン料理に向けては、定番メニューを出してくれました。

まずは「和牛のコンソメ」。

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コンソメの透き通った味の深みに、きちんとフレンチをやってきた方なんだなと感じさせつつ、和牛を使うところに現代的な感覚もうかがわせます。

具ではキャビアが主役なのでしょうが、個人的には、その下に添えられたマッシュポテトのテイストに感心しました。

少し繊維が残っているようなシャキッとした食感から、じゃがいもそのものを感じられるようなマッシュポテトは、これまで味わったことのないもの。

・日本への食材探しの旅で見つけた佐賀牛

そして、メインは「佐賀牛のグリル」。

ここまでの生鮮食材は、レベルが上っているフィリピン国産食材を多用していましたが、和牛は日本産。

昨年、わざわざ現地の生産者のところに訪れ、使うことを決めたと言います。

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ちなみに、ソースは、ボルドレーズやフォアグラから取ったジュ、Old Manila’s BBQ、トリュフ・クリームなど8~10種から好みに合わせて選べます。

肉好きの国民性からか、アメリカ文化の影響か、マニラでは、ハイエンドなレストランとしてステーキハウスが人気がありますが、それらにも引けを取らない肉のクオリティとバリエーションを誇っていますね。

・カクテルやモクテルも充実

話は少し変わりますが、この『オールドマニラ』はドリンクについても秀逸。

国賓級をもてなしている実績からもワインリストに抜かりはありませんし、カクテルやモクテルにも力が入っています。

新たに就任したビバレッジ・マネージャー、Federico Deangさんが手がけるカクテルは、トライしてみる価値大です。

オーソドックスなカクテルもいいですが、南国のフルーツフレーバーを活かしたオリジナルカクテルは、旅情もそそります。

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アルコールを飲まない方でも楽しめるモクテルは、いまや必須のアイテムと言えるかもしれません。

 

・ホテルレストランに加えられた個店の軽やかさ

話をレストラン自体に戻すと、『オールドマニラ』に対する率直な感想は、紛れもなくホテルレストランだなということです。

けれど、少し新しい感覚が加わっていることが、興味深く思えたのです。

オーセンティックな志向を持つゲストを満足させる料理やサービスを提供しなくちゃいけないし、アルコールが大好きな人も飲めない人にも満足させなくちゃと、抑えておくべきポイントが多いのが、ホテルレストランの楽しさでもあり、難しさでもあると思っています。

難しさとは、以前、バンコク「Wホテル」の『THE HOUSE ON SATHORN(ザ・ハウス・オン・サトーン)』のところで書きましたが、長所が最大公約数的になってしまうケースもなくはないからです。

けれども、この『オールドマニラ』は、オーソドックスな力強さに個店の軽やかさも内包しているところが、新鮮でした。

つまり、きちんと王道は抑えつつ、アクセントとしてのびのびした創作性も織り交ぜる懐の深さを感じたとでも言えばよいでしょうか。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

メインのステーキを食べた後、アラン・シェフに、将来どんな存在になることが目標?と訊くと、国際的な評価を得ることへの野心も隠さない正直な方でした。

一方で、「日々の料理の進化は、私自身の思考がどういうプロセスをたどっているかを反映しています」と真摯な職人気質も漂わせるところにも好感が持てます。

個人的な予測でしかありませんが、今後のアジアにおけるインターナショナルなグルメシーンは、これまでのようにアイデアやコンセプトだけではダメで、オーソドックスな美味しさという説得力とどちらも併せ持つ店やシェフが注目を浴びてくるのではないかと考えています。

そう思うと、今の料理に磨きをかけていけば、この『オールドマニラ』も、フィリピンのトップレストランからアジアのトップレストランになる日も近いのかもなと。

そんな思い馳せながら、デザートに出された南国らしさ溢れるマンゴーのソルベに舌鼓を打つのでした。

フィリピン・マニラ『Old Manila(オールドマニラ)』ヨーロピアン・キュイジーヌ

 

 

Old Manila(オールドマニラ)』店舗情報

営業時間:11:30~14:30、18:30~23:00 定休日:日曜、土曜のランチ
電話番号:+63 2 887 2888
住所:Corner of Ayala and Makati Avenues, 1226 Makati City, Metro Manila
オフィシャルwebページ(日本語)はこちら オフィシャルwebページ(英語)はこちら

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予約に関して

予約は電話か、オフィシャルwebから(英語)。
外国語での予約が面倒な方は、代行予約が便利です。
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店の地図

 

 

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