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2022年9月15日オープンした「森と火と食をつなげるラボ」を標榜するレストラン。
平均予算:ランチ 1,000~2,000円、ディナー 5,000~7,000円/「新潟ガストロノミーアワード」受賞
店の特徴
佐渡島で唯一の五重塔がある妙宣寺前にあることから、「仏塔」という意味の仏語で『パゴッド』(英語だと「パゴダ」ですね)。
佐渡で逗留先の家主さんから、新しいレストランがオープンしたという話を聞いて、早速インスタのDMから予約。
オープンが9月15日で、行ったのが9月17日。
腰が重い私にしては、珍しいフットワークの軽さです。
薪焼きを主にした欧州料理
佐渡では、ほかにも行っておかなくちゃとリストアップしていたお店もたくさんあったのですが、このお店、薪焼き・熾火焼を主体にした料理を提供するとのこと。
ご存じの通り、トスカーナのTボーンステーキやスペインの『エチェバリ』で薪火で焼いた肉の美味しさに感激し、後者の系譜であるシンガポールの『バーント・エンズ』で熾火の可能性の広さに感銘を受けた身ですので、薪焼き・熾火焼と聞いたら、とりあえずは行くのです。
「森と火と食をつなげるラボ」というコンセプトからも窺えるように、この『パゴッド』のシェフ、ジル・スタッサールさんも薪料理に魅了された一人。
パリでキャリアを積み、その後、中国の重慶や東京などでも腕を振るってきたそうですが、マダム曰く「私が知っている限りで、一番楽しそうに料理してますね」とのこと。
なにしろ都会の物件ではなかなか設置するのが難しい薪窯を、念願かなって導入。
それも、保温効率の評価が高いフランスのlepanyol製の窯があるのです。
そんな現在のシェフから、どんな料理が生まれてくるのでしょうか。
2種のコースとアラカルト、どちらも有り
コースは、6品5,400円と3品2,700円の2種。
アラカルトメニューもありますが、夜は要予約です。
このページでは、ある日の5,400円のコースから。
まずはドリンク。
良いラインナップのワインが揃っているとのことですが、しかし…。
いや、揃っているからこそ、困ったものです。
1人で車で行くのが、間違っているとは思うのですが、公共交通機関で生きづらい店で、お酒がいい場合、皆さん、どうしてるのでしょう?
2人で行ったとしても1人は飲めないわけですし、3人で行ったとしても1人は飲めないわけですし……持つべきものは、下戸の食べ友?
やっぱタクシーか代行で行けばいいのか。
というわけで、料理に合いそうかな?と、「赤しそソーダ」。
「ミントソーダ」や「自家製ジンジャエール」などもありましたが、ご近所で採れた紫蘇ということで、テロワール感はもっとも高いかな?と。
Mise en Buche:Potage à la Citrouille
アミューズは、「佐渡産有機栽培カボチャと真野湾のムール貝のポタージュ」。
カボチャは、佐渡のイタリア人農家さんが有機で栽培しているそう。
Entre:Tako Salsa
前菜は、「佐渡産タコのサルサソース」。
Poison:Takanabatchime Roti
魚料理は、「佐渡産タカナバチメの薪窯ロティ」。
一尾丸ごと出てきました!
皮目は、パリッと熾火で仕上げていますが、中心部はほとんどレア。
いわゆる「ミキュイ」ではあるのですが、これだけコントラストの高いミキュイも、日本のフレンチではなかなか見かけないような。
日本料理ですが、似たような方向性の火入れは、京丹後の『縄屋』くらいでしょうか。
Onght a la Thai, Puree Citron
メインの肉料理も、当然窯焼きで「タイ風牛肉のステーキ 自家製マスタードとじゃがいものピュレ レモン風味添え」。
キイチゴのソースに、山椒入りのマスタードとあわせて。
レモンの香りをまとったポテトピューレが付け合わせ。
忘れていたのか、おまけなのか、パストラミ(写真右側)も後追いで。
これまた美味。
Fromage de Garcon Cheesse Kobo
群馬の『ギャルソン・チーズ工房』から取り寄せているという山羊チーズを使った「山羊チーズと自家製薪窯パン」。
このチーズだけでなく、ハチミツ、クルミ、パンの小麦とそれぞれの素材の香りがぶつかった強め味です。
パンチ力あります。
ドリンクは、料理も終わったことだしと、気になっていた「赤しそのラッシー」をプレデザート的にオーダー。
と思ったら、「西三川産りんごのクラフティ」をおまけで出してくれました。
なので、自分の中では、今晩はトリプルデザートです。
トンカ豆とモッツァレラチーズなどを織り交ぜ、少しスパイシーに仕上げています。
その意味があったのかどうかわかりませんが、最近多いコースの流れで言えば、口直しの濃いぃやつと捉えておきます。
Dessert:Moelleux au Chocolat
デセールのメインは、「モワルー オゥ ショコラ」。
チョコの柔らかさを目指すか、溶け具合を目指すかで呼び名が違うそうですが、日本ではフォン・ダン・ショコラと言ったほうが伝わりやすいかもしれません。
が、その2つの違いがわかる仕上がりです。
Espresso
食後に別注で、エスプレッソ。
これも濃いぃです。
ローマの空港に降り立って、とりあえず駆けつけ一杯でバールで飲むエスプレッソくらい濃厚です。
ランチはタルティーヌ中心、時にはピザも
昼は、フランス式オープンサンドの「タルティーヌ」中心ですが、日曜など、日によってはピザが出ていることもあるそう。
ちょうどその日に当たったので、佐渡と言えば海鮮でしょ?と、旅行者気分で「海の幸のピザ」。
佐渡産のイカと、加茂湖で採れたムール貝。
メニューにはなかったデザートをいただいたのですが、洋梨と日本の梨のコンポートで、「日欧の融合みたいな一皿」とのこと。
さらに、チョコレートに添えられたフェンネルが、なんとも中東なテイストを醸し出していました。
勝手な解釈ですが、ユーラシア大陸制覇みたいな壮大なテーマと受け止めました。
ヨーロッパの味でしかありえない「何か」があるレストラン
それにしても、何なんでしょう、この濃縮感は?
昼と夜、少し雰囲気は違ったものの、そこは共通しています。
有り体に言えば、本場の味ということなんでしょうが、フレンチにしろ、イタリアンにしろ、「本場の味」が食べられるレストランは、日本にもごまんとあります。
でも、やはりどこか違うんです。
美味いかどうかとは別軸なのですが、ヨーロッパで食べる、あのギュッと詰まったようなミネラル感とでも言えばいいでしょうか。
これは、欧州出身のシェフだからできるというわけではないと思います。
日本やアジア各国に来ている欧州系の料理人で、好きなシェフはたくさんいますが、これまでアジアでこの感覚を体験したのは、香港の『ネイバーフッド』くらいしかありませんので(香港人シェフですけど)。
あとは、上海の『Bistro 321 Le Bec』でも、多少は感じたかな。
なぜその違いが生まれるかを解説できるほどの知識を私は持ち合わせていないので、「何か」としか言えないのですが、その「何か」を久々に体験できたレストランです。
メニュー
【ディナー】
「6品のコース」5,400円
「3品のコース」2,700円
【アラカルト】
「自家製ハムの盛り合わせ」1,000円
「佐渡産オーガニック野菜プレート」900円
「自家製パテの盛り合わせ」1,000円
「タイ風牛肉のステーキ」2,200円
「自家製パストラミの盛り合わせ」1,000円
「佐渡産サーモンフュメ盛り合わせ」1,500円
「モワルー・オゥ・ショコラ」900円
「ヌガー・グラッセ」500円
【ランチ】
タルティーヌ *季節のサラダ付き
「自家製パテとピクルスのタルティーヌ」900円
「自家製ベーコンと卵のタルティーヌ」900円
「野菜のコンフィのタルティーヌ」1,000円
「自家製ハムとピカリリのタルティーヌ」1,000円
「佐渡産サーモンフュメのタルティーヌ」1,000円
「ギャルソンチーズ工房の山羊チーズのタルティーヌ」1,100円
*スープ・ドリンクセット +400円
「季節野菜のスープ」250円
*メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください。
予約方法
電話かwebから。 web予約は、インスタグラムのDMから。
店の地図・アクセス
バス「竹田橋」バス停から徒歩約12分。
フェリー「両津港」から車で約30分。
『ラ・パゴッド(LA PAGODE)』店舗情報
営業時間:9:00-21:00、ディナー 17:00-21:00(※予約のみ)
定休日:月・火曜
電話番号:080-6551-5033
住所:〒952-0302 佐渡市阿佛坊18-1
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