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目黒通りに突如現れ、瞬く間に東京でも最も尖った店という評判が立った『kabi(カビ)』。
発酵というキーワードを軸に、デンマークと日本料理の共通性に気づいたからこそ生まれた、新しい日本料理とはどんなもの?
30歳前後では最も注目すべき料理人の一人と目される安田シェフのスタンスに共感。
平均予算:ディナー 15,000~20,000円
新北欧料理を経由したからこそ生まれた、新しい日本料理
もう何度もグローバルな感覚で日本料理をやる店って日本には少ないねと書いてしまいがちでしたが、「なーんだ、あったじゃん!」と思わせてくれたのが、この『kabi』です。
たとえば、フランス人が日本の和食店に修行に来たとしても、その人自身が和食の店を開くかといったら、必ずしもそうではありません。
和食のテクニックを使いながら、自分の故郷の料理であるフランス料理に加味したり、さらにハイブリッドな独自の表現へと進化させたりというシェフが、かなりの数います。
もう少し身近なアジアを見回してもそうです。
ソウルの『Mingles』のミングー・カン・シェフはスペインの美食都市サン・セバスチャンの3つ星『マルティン・ベラサテギ』をはじめ、マイアミやバハマの『NOBU』で研鑽を積んだと言いますが、現在やっているのはスペイン料理も日本料理でもなく、あくまで「ニューコリアン」と称するものです。
あるいは、バンコクの『Le.Du』。ニューヨークの名店『ジャン・ジョルジュ』で研鑽を積んだトン・シェフにしても、そこで培った技術やセンスを使いながら、タイ料理を発展させた新たな表現を追求しています。
と、例を挙げればキリがないのですが、じゃあ、日本は?と考えたときに、言葉に少し詰まります。
フランスやイタリア、北欧などで研鑽を積んだシェフだからといって、現地の料理を日本でもそのまま提供しなくちゃならない決まりはありません。
日本人の料理人ならそれらのエッセンスを咀嚼して、日本流に、自分流に築き上げた料理が、もっとあってもいいと思っていました。
まあ、そういったタイプの店の萌芽は始まっているのかもしれません。私の勉強不足で知らないだけで。
この『kabi』にしても、開店は2017年11月。東京の店なのに、1年ほど出遅れてしまいました。
「発酵」をキーワードに、北欧を経由したからこそ生まれた、新しい日本料理
話を『kabi』に戻すと、シェフの安田翔平さんは、白金のフレンチ『tirpse』でスーシェフを務めた後にデンマークに。1つ星レストラン『Kadeau(カドー)』でシェフを務め、2016年末に帰国。
キャリアとしては、コンテンポラリー・フレンチも、ニューノルディックキュイジーヌも通っているわけですが、出している料理は、新しい日本料理とでも言えるものです。
伝統的な和食ではありませんが、自分が暮らしていて、現在店があるのは日本なのだから、というような、彼らなりの日本料理。
安田シェフが、そこにたどり着いたのは、デンマークでもよく発酵食材が使われていたことはよく語られています。
日本にも漬物や味噌など発酵料理はたくさんあるのに、その自分が生まれ育った場所の料理のことを知らないと気付かされたことだ、と。
そもそも「ニューノルディックキュイジーヌ」のマニフェストでは、「(北欧という)地域を思い起こさせる、純粋さ、新鮮さ、シンプルさ、道徳を表現する」という一文があるのですから、
欧米などに修行に行って、技術やスタイルを持ち帰るのではなく、そのスピリッツを学んできたというのは、日本では、今のところ珍しいことなんでしょう。
メニュー:12皿のおまかせメニューとドリンクペアリングで
基本的に、おまかせコースのみ。12皿で12,000円(税サ別)です。
ドリンクは、グラスやボトルでも頼めますが、ペアリングが楽しいでしょう。
ワイン、ビール、カクテル、日本酒などコースにあわせたアルコールペアリング(8杯)」か、モクテルなどを中心にした「ノンアルコールペアリング(8杯)」で。
また、期間限定のランチやイベントなどが頻繁に開催されていますので、facebookなどをチェックしておくといいと思います。
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『kabi(カビ)』店舗情報
営業時間:ランチ 11:00~13:30(L.O)土・日、ディナー 19:00~22:00
定休日:不定休
電話番号:03-6451-2413
住所:東京都目黒区目黒4-10-8
オフィシャルwebはこちら
予約に関して
ディナーは完全予約制。原則的にweb予約のみ。
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