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2018年度「アジアのベストレストラン50」でNo.18。
地元の食材を使うことに徹底的にこだわり、クリエイティブな料理に昇華するスタイルをアジアでいち早く確立し、いまやバリ島を代表するレストランになった『ロカヴォール』。
その築き上げた世界観は、一筋縄ではいかないアーティスティックなものでした。
平均予算:ランチ 7,000~10,000円、ディナー 10,000~15,000円 /「アジアのベストレストラン50 2020」No.37
バリ島のグルメシーンを、アジアレベルに押し上げた名店
この『ロカヴォール』で食べたくて、わざわざバリ島くんだりまで来たんです。ただ、最初に言っておくと、万人を満足させるお店ではありませんね。賛否両論、その振れ幅がどんどん大きくなってきているような気がします。
こんなサイトをやり、レストランを紹介していると、ときどき「美味しいってなんだろう?」と思ってしまうことがあります。そもそも「美味しさ」って必要なの?とか。
多くの人に求められる美味しさを、ハリウッド映画のようなものだと考えてみます。
映画だったら、アートフィルムだってあります。例えば、NYノワールとでも言うべきスタイルを確立し、インディペンデントでありながら後世の作家に多大なる影響を与えたジョン・カサヴェテスという映画監督がいます。彼の映画を何度観ても、理解できないのですが、でもなんか良いとは思えます。
あるいは、作家の中上健次の代表作に『千年の愉楽』という小説があります。
土着の世界を描きながら、どこかコンテンポラリーな宇宙感も醸し出しているのですが、やはり読みやすい小説ではありません。『もののけ姫』のようなカタルシスを簡単に得られてなくても、やはりすごい作品だと思えます。
そうやってクリエイティブということを考えていくと、じゃあ、味覚は進化しているの?と思ってしまったりするのです。多くの人が美味しいと思う料理だけが、正しいレストランの楽しみなの?と。
『ロカヴォール』に来て、そんなことを思ってしまったのです。
・バリ島を代表する名店であり、アジア最大の問題児?
場所はデウィシタ通り。いまや、ウブドの中では名店・人気店が軒を連ねるストリートです。
2013年11月にオープン。手の込んだクリエイティブなフレンチを食べられる店として、一躍人気店に。TripAdvisorのウブド・エリアのTopをひた走っていた時期もありましたが、2018年5月現在ではNo.27。
一方で、アジア全域を網羅する「アジアのベストレストン50」では2016年にNo.49に初登場し、’17年にNo.22と一気にジャンプアップ、’18年はNo.21をキープと、いまやアジアを代表するレストランの1つと言っても差し支えないでしょう。
個人的には、このギャップにたまらなく興味が湧いてきます。“最大公約数”を狙っているのではなく、攻めているから反対意見も出てくるのものですから。いずれにせよ、わかりやすいレストランではないのかもしれません。
まずは、店名の「Locavore」という言葉から。これは21世紀に入って生まれた新語で、「local (地元)」と「 vore(~食動物)」が組み合わさり、「地元で取れた食物を食べる」というような意味です。
英語読みするなら「ロカヴォア」、フランス語読みなら「ロカヴォール」。旧宗主国オランダ語の「ロカフォーレ」やアルファベット読みした「ロカヴォーレ」などが混在していますが、オランダ出身のシェフではありますが、そのキャリアなどからすれば、フランス料理を出発点の一つにしているのは間違いないので、「ロカヴォール」という表記にしています。
入り口の看板には、「Modern Cuisine, Local Product」と補足されています。平たく言えば、地産地消のモダン・キュイジーヌというのがコンセプトと思って差し支えないでしょう。
・コースは5皿か7皿。実際はいくつ料理が出てきたか数え切れないほどのバラエティ
コースは、基本的に通常メニューとベジタリアンメニューの2パターン。それぞれ5皿と7皿のボリュームを選べます。
お値段的には、ランチでもディナーでもコース料金が約6,000~7,000円、ワインペアリング付きでディナーだと約10,000~12,000円に税サが乗ってくる感じです。
安めのワルン(食堂)であれば300円程度、ツーリストが多めの一般的なレストランでも3,000円程度を見ておけばいいバリ島の物価に対しては、破格ではあります。
ただ、日本でも牛丼300円と3つ星店の3万円超のお店があるわけなので、そんなものでしょう。むしろ、これが1万円で食べられると考えると、日本の半分以下だと捉えるべきかもしれません。
今回はランチなので、5皿のほうにしておきます。
1人だったので、カウンター席。めちゃくちゃ厨房と近いです。基本的には皆さん、楽しそうに仕事をしているのが好印象。
まずはアミューズから。たくさんあるので、説明は省いて一気にどうぞ。ソーヴィニヨンブランをあわせ、おつまみ感覚で楽しむことにしました。
この種類の多さ! アミューズというかスナックでコースの前半を連ねていくのは、アジアの名店では、なかばスタンダードになってきています。
正直、流行りだからやっているなと思う店もないわけではないのですが、バンコクの『ガガン』やシンガポールの『ティップリング・クラブ』などと同じく、出したい料理、やりたいことがいっぱいあるのだな?と感心します。
調理を担当した料理人の方がそれぞれの料理を出し、説明もしてくれるというスタイルが、そう思わせたのかもしれません。「ねえ、ちょっとおもしろい料理を考えたから食べてみない?」とでもいうような距離の近さが心地よいです。
英語などでの予約が面倒な方は、代行サービスが便利です。
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