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2019年度版のタイのミシュランで1つ星を獲得。
タイの文化や食材にインスピレーションを受けながら、インターナショナルなテイストを貫くスタイルが、バンコクでは意外や斬新かも。
アメリカ・テキサス出身のライリー・サンダース・シェフの手による無国籍な料理と、オープンな雰囲気が魅力の注目店です。
平均予算:ディナー 10,000~15,000円/「ミシュラン バンコク 2021」1つ星
おしゃれエリア、トンローで人気急上昇中のインターナショナルなイノベーティブ
2019年のミシュランタイ版で一つ星を獲得し、気になっていたこの『キャンバス』。
アメリカ人シェフが率いるイノベーティブで、タイの食材などを積極的に駆使しているという触れ込みです。
外国人シェフによるコンテンポラリーな欧州料理としては、バンコクにも『Mezzaluna(メッツァルーナ)』、『Elements at The Okura Prestige』、『Savelberg at The Oriental Residence』など定評の高い店がありますが、今ひとつ食指が伸びなかったのも事実。
でも、タイ食材を意識したという一点に期待して、予約してみました。
最寄り駅は、BTSの「トンロー」。
ご存知の通り、日本人在住者も多いエリアで、『Bo.Lan』や『Supanniga Eating Room』など名店・良店が揃うエリアでもあります。
『キャンバス』は駅から北側に徒歩約10分のところにありますが、おしゃれなストリートで店の入れ替わりも激しいので、久々に歩いてみると、バンコクの活気を肌に感じます。
1人ディナーだったのでカウンターに通されると、メニューを見せながら、シェフ自ら簡単に店のコンセプトを説明してくれました。
「タイの国産食材や文化からインスピレーションを受けているけど、レシピはタイ料理じゃないよ」とのこと。
Riley Sandersシェフは、アメリカ・テキサスの出身です。
本当に個人的なことなのですが、テキサスは、私が生涯食べた中でもっとも美味しくなかったレストランがある街なのですが、それも20年前の話。
時代は変わったんですね。
地元オースティンのトップシェフであるTyson ColeやPaul Quiのもとでキャリアを始め、シカゴで3つ星を獲得していたシェフLaurent Grasのもとで研鑽を積みます。
その後は、プライベートシェフとして世界中を旅しながら腕を磨き、バンコクの食と人と街が気に入り、2016年に準備を始め、2017年にこの『キャンバス』をオープンしたと言いいます。
メニューは、6皿と9皿のテイスティングコースのみ
最初にウェルカムドリンクとしてお茶。チェンマイ産の烏龍茶です。
メニューは、「テースティングコース」のみで6皿が2,900THB(約10,500円)、9皿が3,600THB(約13,000円)。
この日は、食後にバーをはしごする予定だったので、若干控えめに6皿のコースを頼みましたが、「ロブスター」と「タイ和牛」などシグネチャーが入っているので、しっかり堪能したい場合は9皿のコースのほうがオススメでしょうか。
ワインのペアリングコースもあって、それぞれ2,400THBと2,900THB。
ワインペアリングの最初はジュラ地方のスパークリング。
「このワインは、ぼくにとっては、ワイルドかつ東洋的なイメージなんだ」とはソムリエの弁。
この方も、英語のイントネーションからすると、アメリカ出身っぽいですが、その後のグラスもなかなか野心的なセレクトです。
やはり、もう出身地とかはあまり関係ない時代になってきていますね。
料理は、まずスナック3連発。
「snacks」
「marian plum, red chili, borage」
「river prawn, kaffir lime, coconut」
「thai wagyu, anchovy, mah kwan」
ワインだけでなく、料理も野心的でした。
小さめのマンゴーとチリ、和牛のタルタルにアンチョビとあまり食べ慣れない組み合わせなので、直感的に美味しいとは言いづらい部分もありましたが、やりたいことは理解できます。
「toasted rice bread」
「brown butter, salted egg, yellow chili」
前菜扱いになるのか、米粉のパン。燻製の卵とブラウンバターのふわふわ感で、こちらは素直に美味しい一品。
「king mackerel」
「ant egg, cucumber, soy, dill」
前半のハイライトは、ここなのでしょう。
低温で火入れした鯖に、上に載っているのは蟻! 一応「!」とつけてみましたが、僕自身は三回目。
慣れてくると、ふつうに「いい酸味付になっているな」と冷静に食べている自分に笑えました。
大豆(ほぼ豆乳)のまろやかさにディルの香りが入ったソースも、なるほど!という感じ。
鯖&蟻に合わせられたのが、なんと日本酒。
生酛づくりの日本酒推しのようです。
日本人としては、焼鯖のレモンがけ(蟻ですが)に豆腐とだったら、日本酒が合わないわけはないのですが、現地の人はどう思っているのかが気になりました。
外国語での予約が面倒な方は、予約代行サービスなどが便利です。
日本語可!『キャンバス』をグルヤクで予約する
カエルから豚足。でも、美しいプレゼンテーション
続いて出てきたドリンクも、生酛仕込みの日本酒。
そりゃ、美味しいですよと思いながら、酔いも少し回ってきて、今どの国で食事をしているのか、頭が少しこんがらがってきます。
追い打ちをかけるように、続けて出てきたのが、カエル……。
「frog」
「sticky rice, holy basil, finger root」
グリーンカレーの隠し味に味噌が入った泡の下に隠れているのは、もち米のリゾット。
ホーリーバジルのフリットも泡の下から顔をのぞかせます。
カエルは、イタリア料理などで何度か食べたことがありますが、ここでは身のみリゾットに混ざっているので、鳥のささ身とか言われれば気づかない状態ですね。
むしろ残念だと思う自分がいます。
「pork knuckle」
「winter melon, pickles」
冬瓜の中には豚足の煮物。
ダイコンやニンジン、パパイヤ、ミニトマトなど7つの食材がきれいに盛り付けられています。
合わせてくれたのは、オレンジワイン。
このあたりもツボを得ています。
「duck breast」
「strawberry, leek, sesame」
鴨胸肉のロースト。
肉自体はシンプルな旨みが出ています。
でも、私見ですが、付け合せのイチゴとゴマ、ネギの合わせたものは、ピンとこなかったです。
日本のイチゴのイメージに慣れていると、甘みでなく酸味が前に出る海外のイチゴはどう捉えていいのか、まだ迷います。
南国の雰囲気を活かしたスイーツ
メニューになかったジャックフルーツのスイーツ。
口直しではないので、おまけしてくれたのでしょうか?
「pumpkin」
「pineapple, palm sugar」
スイーツはかぼちゃベース。
パイナップルやヤシ砂糖がアクセントになっています。
〆の小菓子も、期待通りの南国テイスト。
まとめ
他のお店の記事で「タイ料理の進化がすごい」と書いていますが、この『キャンバス』を体験すると、バンコクのグルメシーン全体が急激に変化していることを実感します。
タイ料理ではなく、あくまで欧州料理の範疇にありながら、新たな境地を目指すレストランなんて、シンガポールや香港、日本などの専売特許と思っていたのですが、そんなレストランが具現化しているんだなぁ、と。
ホテルレストランでは訪タイ客向けの欧州料理のレベルが高かったのは事実ですが、しかも地元の食材にこだわって表現しているレストランなんて、日本や韓国くらいだと思っていたら、バンコクにも根付き始めているということでしょうか。
『Canvas(キャンバス)』店舗情報
平均予算:1600 and 2400 THB(約10,500~15,000円)
営業時間:18:00-22:00
定休日:不定休
電話番号:+66 2 069 3067
住所:113/9-10 Soi Sukhumvit 55, Bangkok
オフィシャルHPはこちら
予約の仕方
電話か、オフィシャルHPからも予約可。
日本語で予約したい方は、予約代行サービスなどが便利です。
店の地図
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