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芸術・食文化・歴史を軸に、想像力と出逢い五感を満たす旅を演出するホテルとして注目を浴びている群馬・前橋の『SHIROIYA Hotel』。
そのメインダイニングは、アジアを代表するシェフになった『フロリレージュ』の川手氏の監修による『the RESTAURANT(ザ・レストラン)』です。
コンセプトとして追及する「上州キュイジーヌ」とはどんなものか、現代的なプロデュース店のあり方とは?などなど、実に示唆に満ちたお店でした。
平均予算:ランチ 10,000~15,000円、ディナー 20,000~30,000円/「ゴ・エ・ミヨ 2023」3 tok
店の特徴
東京・青山『フロリレージュ』の川手寛康シェフが監修するということでうわさには聞いていた白井屋ホテルのメインダイニング。
「フロリレージュ」をはじめとする国内外の名店でも研修した群馬出身の片山シェフが、キッチンに立ち、群馬の食文化や食材を駆使し、時に独自の解釈で再構築するスタイルを追求しているよう。
レストランからの切り口だとそういうことなのですが、私がこの場所の存在を知ったのは、ホテル自体のリノベーションプロジェクトからでした。
藤本壮介がデザインを手がけ、建物の内外には、ローレンス・ ウィナー、リアム・ギリック、杉本博司などの現代アート作家の作品が点在、また、ジャスパー・モリソン、レアンドロ・エルリッヒなどが客室のインテリアのデザインなどで参加。
もはや、美術館ですね。
建物の入り口に着くなり、『ブレードランナー』の架空のアジアのようなファサードのデザインテイストに、ついほくそ笑んでしまいます。
カッコいいのか、そうでないのか、ここはどこ? 今はいつ?と迷子になってしまうようなこの微妙な違和感がたまりません。
レストランのスペースに移動すると、また違ったイメージだなと思えば、このエリアは『フロリレージュ』と同じデザイナーが手掛けたそう。
なるほど、な空間です。
上州キュイジーヌを標榜したコースを堪能
メニューは、ディナー・ランチともおまかせコースのみ。
ただし、ランチタイムに、ディナーコースも頼めます。
地元群馬・前橋の食材に焦点を当て、ワールドクラスのクオリティで世界に向けて発信していく。LocalからGlobalを見据えた強い想いを込めて「上州キュイジーヌ」を掲げております。
というのがコンセプト。
今回は、ちょうど新潟・越後湯沢から長野・軽井沢への移動の途中に寄ることができたのですが、あまり時間をかけられなかったので、通常のランチコースで。
車移動なので、ノンアルコールのペアリングを付けてみました。
ちなみに、伺った数日後に秋メニューに変わったそうですが、こちらは夏メニューです。
ナスとチーズのタルティーヌ
アミューズブッシェのタルティーヌ。
赤城山麓のチーズ工房「Three Brown」で作られた2種のチーズを使われ、隠し味にはカレー。
最初のペアリングドリンクは、桃をベースとしたモクテル。
糖度が高い桃だったそうで煎茶で甘さを調整、金萱茶をミックスして仕上げています。
枝豆のスープ
香りが豊潤な「味緑」という品種の枝豆を使った冷製スープ。
スープ自体はアサリのだしで味を決め、下には枝豆のムースが潜んでいます。
沖縄の農園から送られてきたパッションフルーツの実と酒蔵で作られる麹とをミックス。
虹鱒のフリット
虹鱒のフリットに、バジルペーストを添えて。
白井屋ベーカリーの抹茶パンでバーガーにしていただきますが、バーガー用の紙袋が付いてきます。
バーガーと合わせるのは、ストレートな台湾の金萱茶。
この後は、郷土の味になるとのことで、ペアリングは1回休みだそう。
おきりこみ
元になっているのは、群馬の郷土料理のおきりこみ。
小麦で作った幅広麺を、各家庭にある野菜やきのこなどとともに煮込む麺料理です。
「はもんみなかみ」の生ハムの下を覗くと、「ああ、確かに」という構成になっています。
麺の替わりには、小麦粉とキノコなどを練り込んだピューレに。
ダイコンやニンジンなどの野菜はそのままの形を残し、和風の出汁にとうがらしのオイルで味を決めています。
大岩魚のグリル
切り身でこの大きさなので、サクラマスくらいのサイズがあるということでしょうか?
こんな大岩魚が群馬にはいるんですね。
焦がしバターに浮かせたタプナード、レモンのコンフィチュールをアクセントに。
ドリンクは、トマトのエキスに黒文字の煮汁を足したカクテル。
豚のグリル
群馬のブランド豚を、わらの香りをまとわせているそう。
上はプレゼンテーションで見せてくれた状態、下が仕上がった姿。
玉ねぎ、万願寺唐辛子、ジャガ芋のピューレを添えて。
黒ニンニクと塩をアクセントに。
肉に合わせたワイン代わりのノンアルが、ちょっとしたエンタメ。
西表島で教わったというやり方で、ブラックペッパーをあぶって、グラスに香り付け。
ザクロをベースに、クランベリー、5種のスパイス、お茶で、ワインの持つ酸味やタンニンを代替させるという考え方だそう。
そういいたロジックを聞かなくても、純粋に美味しくて、肉料理との相性も抜群でした。
この美味しさに連られて、「食後酒替わりのノンアルもあるんですけど」というオプションに、迷わず首を縦に振ります。
内容は、コーヒーの皮と実からできるお茶「カスカラ」のアレンジ。
もともとは、エスプレッソのような風味を持つカスカラですが、そこに酵母を加え、独特のとろみとコクを出しています。
デセール
群馬の桃と梨、その下にブランマンジェ、バニラのアイスクリームが添えられています。
食後のドリンク
コーヒー・ハーブティから選べますが、いつものコーヒー。
ローカライズのお手本のようなガストロノミー
名シェフのプロデュース店というと、「あの名店の味を、ここでも」というスタンスを想像しがちなのですが、いい意味で外れました。
上州の食文化、食材をきちんと解釈しなおしたことで、『フロリレージュ』そのままではない、この店ならではの個性というものがしっかりと出ていました。
その裏には、じゅうぶんんあ準備があったからだと想像します。
なにぜ、シェフは、この店のシェフに就任するにあたって、『フロリレージュ』をはじめとした名店で2年間にも及ぶ研修を経たとか。
そこまでやったからこそ、表面をなぞるだけではなく、『フロリレージュ』とフレームとエスプリが血となり肉となり、アウトプットは違うものになったのかな?とも想像します。
ある種、ローカリゼーションの理想型ですね。
とはいえ、台北にある『フロリレージュ』の姉妹店『logy』ともども、川手シェフ流のプロデュースってすごいな、まるで釈迦の手のひらの孫悟空みたいじゃんと、ため息が出ます。
とはいえ、孫悟空は孫悟空。
この『ザ・レストラン』が群馬を代表するファインダイニングであることに変わりはないでしょう。
メニュー
【ディナー】
「シェフお任せディナーコース10品」16,500円
※コース+メインを和牛にアップグレード 18,920円
【ランチ】
「シェフお任せランチコース7品」9,350円
※コース+メインを赤城牛にアップグレード 11,000円
「ランチで楽しむディナーコース」16,500円
*メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください。
予約方法
電話かwebから。 web即時予約は、一休レストラン・食べログで受け付けています。
白井屋ホテルの宿泊はこちら▽
「五感を総動員してアートやデザインをゆっくりと味わい尽くす」というコンセプトのもと、
藤本壮介設計でリフォームされたホテル。
建物の内外には、ローレンス・ ウィナー、リアム・ギリック、杉本 博司などの現代作家の作品が展示され、
ジャスパー・モリソン、レアンドロ・エルリッヒなどがインテリアのデザインなどで参加しています。
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店の地図・アクセス
JR「前橋駅」より徒歩で約15分、タクシーで約5分。
駐車場
宿泊者の方は、提携駐車場「みずほ銀行前橋支店 地下駐車場」を利用可。
宿泊以外は、近隣のコインパーキングなどで。
『the RESTAURANT(ザ・レストラン)』店舗情報
営業時間:ランチ <土日曜・祝日>12:00~14:30(最終入店13:00)、ディナー 18:00~22:00(最終入店 19:30)
定休日:無休
電話番号:027-231-4618
住所:〒371-0023 群馬県前橋市本町2丁目2−15 白井屋ホテル1階
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