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田んぼの真ん中に佇む、ポツンと一軒家レストラン。
お米の可能性をフレンチの技法で追求して注目をあつめる新潟県・糸魚川市の「mûrir(ミュリール)」へ!
平均予算:ランチ 7,000~10,000円、ディナー 10,000~15,000円/「新潟ガストロノミーアワード2024 若手部門30特別優秀賞」
ヒトサラで予約する ※リンク先から「ミュリール」で検索してください
店の特徴
新潟上越~富山にかけての日本海側。
食材の宝庫ではあるこのエリアに、なかなかガストロノミックなレストランが出てこないねーと言われていたのですが、2023年暮れ以降か、周辺のシェフたちに「なんか糸魚川にできたらしいよ」と噂になっていたのです。
能登や富山、長野南信、新潟長岡などの信頼を置く料理人が注目しているとなると、行かないわけにはいきません。
そもそも現在の私の拠点から車で1時間強。
地方在住者の感覚だとご近所さんです。
米をフレンチの技術で現代的な料理に
ネットから予約を入れつつ、いろいろ調べてみます。
コンセプトは、オフィシャルHPに掲載されていた文章が興味深かったので引用しておきます。
海と山に囲まれた、糸魚川の大きな自然の中で生きる私たちは、
この土地で実った食材が持つありのままの美味しさと、
エネルギーを信じています。
ともに過ごす人と収穫を歓ぶように。
その日の香り、風景、味を共有し
大切な一瞬を重ね、熟していきたい。
お米をフレンチのテクニックで
また、店主の渡辺光実さんの経歴も興味深いです。
新潟県糸魚川市で生まれ、東京の調理師学校を卒業して就職したのは帝国ホテルという名門。
鉄板焼『嘉門』やフランス料理『レ・セゾン』と錚々たる部門で修業をさせてもらい、『嘉門』では2年目からカウンターに立ったという。
もともと地元で店をやりたかったからと東京生活を5年ほどで切り上げ、洋風居酒屋の料理長、間借りのキッチンスペースでの『つなぐキッチン レジョン』オーナーシェフを経て、2023年10月12日にこの『mûrir (ミュリール)』をオープン。
『レジョン』時代の2021年に若手料理人の登竜門「RED U-35」でBRONZE EGGを受賞していますが、その自信が、よりガストロノミックな方向に進んでいく背中を押したのかもしれません。
実りを歓ぶガストロノミー
天気のよい初夏の午後。
上越方面から日本海の海岸線に沿って車を走らせ、糸魚川の中心部に入る手前で、内陸に入っていきます。
北には日本海、南には活火山の焼山を眺望する、広大な田んぼの真ん中に佇む一軒家レストラン。
言葉通り、ぽつんと一軒家です。
四季折々の風景もきれいそうだなと思うと、やはり、若葉が芽吹く春、青田が広がる夏、黄金色の稲穂が風になびく秋、山が雪を冠る冬と、時を刻む季節の営みがあるとのこと。
「この場所で過ごす時間も料理の一部になったらなとであると考えています」とはオーナーシェフの弁。
確かに。
農園で収穫した旬の食材や、日本海で水揚げされる新鮮な海産物やジビエなどの地元食材とともに、五感を豊かに満たしてくれそうです。
祖父の代から70年続く米づくり。私たちの原点である”お米”を、フレンチで学んだ技術をベースに新しい形で提供します。
暖炉の薪火で焼き上げるのは、隣接する農園で収穫した旬の食材や、日本海で水揚げされる新鮮な海産物やジビエなどの地元食材。
4品のランチコース
ランチは4品のコース(注:2025年よりランチは7品のコースに変更されています)。
なんでも、この敷地はマダムの実家である農産物の生産販売「清耕園ファーム」の倉庫だったそうで、料理すべてに自社農園のお米を織り込んでいるそう。
加えて、糸魚川で育った野菜、ジビエ、海産物など豊かな食材をふんだんに使い、薪火を使って仕上げるのが特徴です。
まずはドリンク。
ナチュラルワインにもこだわっているそうなので、いつか楽しみたいところですが、ノンアルで。
自家栽培の果実や草花を加工したモクテルが、季節に合わせてオンメニューになっているので、ランダムにノンアルコールを頼むことにします。
たんぽぽとレモンのシロップ
ソーダ割で。
土壌や気候、風土の味わいに思いを馳せてみると、ここでしか味わえない特別感ににんまり。
かぼちゃのキッシュ
ここでは、生地に生米を練り込んでいるそう。
もちろん付け合わせのサラダも自家栽培で、米麹を使ったドレッシングが優しく包み込んでいます。
マスクメロンのガスパチョ
スープは冷製。
日本海側も夏は暑くなっているので、身体を冷ます効果のある瓜系のガスパッチョは、身体に染みていくよう。
ガスパッチョでは通常、パンでとろみをつけるのですが、その役割をお米にも担わせているようです。
いちごのシロップ
新潟県生まれのブランドいちご「越後姫(えちごひめ)」から作ったシロップを、こちらもソーダ割で。
肉料理or魚料理
メインは肉か魚からのチョイス。
肉なら津南ポーク、魚なら鯛とのことだったので、迷わず魚。
日本海側なら魚は美味しいし、そもそも日本ほど魚が美味しい国は世界でも稀なので、積極的に魚を選ぶようにしていますので。
薪火で仕上げた鯛は、トマトソースで。
まろやかなソースだと思ったら、ここにお米を混ぜ込んでいました。
白飯
これまで、とろみを出したり、甘みを出したり、照りを出したりと一品一品で優秀なバイプレイヤー役をこなしていたお米ですが、ここでストレートに登場です。
味噌とともに供されます。
使われているのは、自家栽培の糸魚川産コシヒカリ「ひすいの雫」。
低農薬・減化学肥料で栽培している、新潟県特別栽培農産物の認証米で、香り・つや・ねばり・甘みのバランスがよいことが特徴。
ちなみに、ネーミングの「ひすい」ですが、糸魚川は「日本の国石」に選ばれてい鉱石「ひすい」の産地でしたね。
焼きおにぎり→コンソメ茶漬け
「ひすいの雫」は、ふっくら炊けて、お弁当やおにぎりにもおすすめとされていることを、こそっとスマホで勉強していたら、白米に続いて、焼きおにぎりとして2皿目が出ていきました。
おにぎりをそのまま半分食べ、残りはお茶漬けにというひつまぶし的な展開なのですが、汁はコンソメスープ。
具や薬味を足さなくても、米そのものの味わい、薪焼でまとった香ばしさ、コンソメの旨みだけでじゅうぶん成立しているシンプルの極みですね。
お米のパンタコッタといちじく
〆のデザートも米を混ぜ込んだパンナコッタで。
いちじく、新潟産の美味しんですよね。
食後のドリンクのコーヒーを飲みながら、コースを余韻を楽しみます。
コースで提供される料理すべてのメニューに“お米”を使用するというのは、コンセプト主導で無理あったりして?といぶかう気持ちが全くなかったわけではないのですが、各皿を口にいれてみると、すんなりと様々な調理法で紡ぎ出されたお米のおいしさを堪能できました。
むしろ、一番身近にあるものを工夫して使う、地産地消、ファームトゥテーブルな考え方の一つの答えとも言っていいかもしれません。
旬の食材や日本海で水揚げされる新鮮な海産物を薪火で焼き上げる醍醐味は、今回でも感じられましたが、聞いてみれば、地元産のジビエなども得意だそう。
次回の楽しみに取っておきます。
メニュー
【Seasonal Course / コース料理】
糸魚川の食材を使い季節の移ろいを感じていただくおまかせコースです
・Dinner / ディナー
実り 13皿 ¥11,000(サービス料・税込み)
・Lunch /ランチ
田園 7皿 ¥7,260(サービス料・税込み)
実り 13皿 ¥11,000(サービス料・税込み)
※ランチタイムの「実り」は提供できる日が限られています。オフィシャルHPなどでご確認ください。
※ジビエが苦手な方は、にいがた和牛に変更可(追加料金¥1,980・税込み)
【Drink / お飲み物】
料理にあわせてセレクトした自然派ワインを中心に、アルコール・ノンアルコール各種が用意されています。
*メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください。
予約方法
電話かwebから。 web即時予約は、Tablecheck、ヒトサラで受け付けています。
ヒトサラで予約する ※リンク先から「ミュリール」で検索してください
通信販売
清耕園ファームのこしひかり「ひすいの雫」は、ネットショップでも入手できます
店の地図・アクセス
電車:JR糸魚川駅からタクシー15分
車:能生ICから車で20分、糸魚川ICから車で25分
『mûrir (ミュリール)』店舗情報
営業時間:ランチ 12:00 〜 全席一斉スタート(土日のみ)、ディナー 18:00 〜 全席一斉スタート *それぞれ2日前までの要予約
定休日:火・水曜
電話番号:080-2679-4399
住所:〒941-0021 新潟県糸魚川市東海79-1
オフィシャルwebはこちら 食べログの情報を見る
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