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『カンテサンス』の岸田シェフや元『スブリム』・現『ラルジャン』の加藤シェフなどと同じく、フランスの名店『アストランス』の出身の仲嶺シェフによるコンテンポラリーなフレンチレストラン。
塩やバターを抑えて素材の味を生かす方向性ながら、目に映る皿の姿や食後感は極彩色という世界観を体験してきました。
平均予算:ランチ 20,000~30,000円、ディナー 20,000~30,000円/「ミシュラン大阪 2021」1つ星
極彩色の祝宴
店へのアプローチからして独特です。
南森町から高速沿いに南へ5分ほど。
マンションっぽいビルの1階にエントランスはあります。
一階の路面店なのかな?と思い、ドアを開けようとすると鍵がしまっています。
インターフォンで予約した者だと告げると開錠。
中に入ると、アーティスティックなオブジェが印象的な壁面が目に飛び込みます。
この壁の向こうに席があるかと思えば、オレンジの壁に囲まれた、洞窟っぽい空間が続きます。
その先にエレベーターがあるだけ。
え、これで上がるの?と思ったら、専用エレベーターで店の階のみに止まります。
降りるとスタッフの方がいて、カウンター席へと案内されました。
ちなみに、個室も2部屋あるそうです。
日曜のランチを堪能
メニューはおまかせコースのみ。
ディナーは22,000円 で、ランチは13,200円 (どちらも税込)。
ランチは日曜のみで、1~2皿減り、食材のグレードが落ちる皿もあるようです。
とはいえ、お得ではありますので、今回はランチです。
ドリンクも基本はペアリング。
ランチだしグラスで2~3杯でいいんですが…みたいなことを言っていたら、各グラスの量を通常の3分の1くらいにして、ワインペアリングにしてくれると。
ありがたや。
ちなみに、ティーペアリングもあるそうです。
Amuse
卵黄 カシューナッツ
コンフィした卵黄の上に、カシューナッツのペーストとキャビアの燻製を添えられています。
合わせられたワインは、シャンパーニュ。
Tar Tar
蛤 蕪
ミル貝、ホタテ、ブロッコリーのタルタルを大きな蛤の身で包み、さらに蛤の出汁のジュレで覆っています。
カブ、菜の花、パプリカのソース。
ワインは、ブリュゴーニュアリゴテ。
すっきり感も残しつつ、樽がしっかりきいた方向のもの。
Risotto
毛蟹 烏賊
三色のリゾット。
緑は毛蟹とバジル、黄色はサフランとクエ、黒はイカ墨と烏賊。
混ぜても良しとのことだったので、最初は単体で食べつつ、最後はミックスで。
カレーの3種がけみたいな気分ですが、複数の色を混ぜると、黒になります。中学のときに習った通りでした。
ワインは、リースリング。
パンはしっとりめの食べ心地。
Poisson
雲丹 シャンパーニュ
メニュー名に「どういうこと?」と首を傾げていたのですが、主役は平目でした。
クラシックフレンチなメニューですが、シャンパーニュソースは大好きなメニュー。
個人的には、雲丹がなくても良かったのですが。
付け合わせは、根セロリを載せたフィナンシェ。
ワインは、南アフリカ産のシュナンブラン。
最近の南アフリカワインの質の高さには、驚かされてばかり。
Fricassee
モリーユ茸 筍
モリーユ茸、ホタルイカ、タケノコのこのフリカッセ。
ミルクの泡が載ったカプチーノ仕立てのソースと相まって、苦みを生かした仕上げ。
ワインはフランス産ピノノワール。
Boeuf
ジャガイモ
メインの肉料理は…なななんと、写真を撮り忘れました…。
花山椒とじゃがいもの細切フリットを載せた黒毛和牛のグリル、ジャガイモのピュレを敷いた頬肉の赤ワイン煮、牛肉の生ハムが載ったジャガイモのシューという3部仕立てでした。
ワインは南アフリカ産のグルナッシュ。
Whey
ヨーグルト
ヨーグルトのソースに下に、乳清(ホエイ)のゼリーにフルーツ。
Fromage
桜葉
「洋風桜餅」と供されたメインのデザート。
餅でいえばアンには、マスカルポーネとミカンの風味が効いています。
まとめ
今回は、あえて淡々とコースのメニューを説明していきました。
そんな気分だったのです。
すごくしっかりした技術を持っていることはうかがえるレベルの高さでしたが、『アストランス』仕込みというべきか、味付けは抑えめ。
食べた瞬間に、「これ、すげえ!」と口に出てしまうというよりは、もっとじわじわと脳を侵食していく感じと言った方がいいでしょうか。
このページをつくっている際に、写真を並べてみて、さらに感じたことがあります。
色が、鍵の一つだということです。
かなり独創的な食材の組み合わせをしていることは、食べながらも感じていましたが、色という観点で見ると、非常に意図は感じたな、と。
単色の統一感というより、マルチカラーのイメージですね。
実際の皿の上に、ビビットな色が並んでいたわけではなくとも、思い返すと、脳内でより鮮明に、極彩色のように料理の記憶が広がっていきます。
なかば無駄に贅沢とも思える、あの洞窟のようなエントランスも、色彩感覚をリセットする効果は非常に高かったんだ、と。
そういったことを含めて、料理人としては、不思議な才能を感じさせるレストランでした。
コロナ禍で引きこもりだった2020年、ROTH BART BARONの「極彩 | I G L (S)」という曲がヘビロテだったので、それがフィードバックしてきました。
静かな祝祭と物語が垣間見えたような気がしたんです。
メニュー
【ディナー】
「おまかせコース」22,000円 (税込)
「おまかせコース」13,200円 (税込)
*メニュー・料金はあくまで参考になります。季節や食材の入荷状況によって変わることを前提にご覧ください。
予約方法
電話かwebから。 web即時予約は、OMAKASEで受け付けています。
店の地図・アクセス
JR東西線「南森町駅」より徒歩5分
京阪中之島線「なにわ橋駅」より徒歩5分
地下鉄堺筋線「北浜駅」より徒歩6分
地下鉄「大阪天満宮駅」より徒歩7分
『ラ カンロ(La Kanro)』店舗情報
平均予算:昼=12,000-18,000円、夜=18,000円
営業時間:ランチ <日曜のみ>12:00-13:30 (L.O.)、ディナー 18:00-21:30 (L.O.)
定休日:不定休
電話番号:06-6242-8586
住所:大阪市北区東天満 1-2-3
オフィシャルwebはこちら
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