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韓国のガストロノミック・シーンの先陣を切り拓いていった『チョンシク』。
NYにも店舗をもち、グローバルな評価を徐々に上げていっています。
その礎となった「ニュー・コリアン(新たな韓国料理)」とはいかに?
平均予算:ランチ 10,000~15,000円、ディナー 15,000~20,000円/「ミシュラン ソウル 2020」2つ星
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祭壇とタコ。ファインダイニングとしての韓国料理を洗練させるニュー・コリアン
韓国と言えば、日本人からすれば、美味しい国という印象が強いかもしれませんが、世界から見れば、そうでもないようです。
2015年にCNNが調べた「グルメ旅の世界ランキング」では、台湾や日本、香港など東アジア勢、タイやフィリピン、マレーシア、ベトナムなどの東南アジア勢が欧州勢を押さえてトップ10に入るなか、韓国はランク外。
知人の韓国人からは、「まあ、肉を焼いたり煮たりするだけの料理だから」と自虐的な意見も聞かれるほど。でも、その焼いたり煮たりした肉が美味しいんだけどなぁ、この週末にでも行きたいくらいだと思ったりもしますが。
・現在進行形で躍進著しいソウルのガストロノミー・シーンの先陣
そういった韓国グルメをめぐる状況のなかで、最近ではガストロノミックなレストランも現れてきています。
ソウルでこのシーンを牽引してきた、「ニュー・コリアン」を標榜する『ジョンシク』から紹介していきます(現地語では「チョンシク」の方が近いような気もするのですが、一般的な「ジョンシク」で通します)。
「アジアのベストレストラン50」では、2014年にNo.20でランクイン、’15年はNo.10、’16年はNo.22、’17年はNO.25。また、フレンチ勢が強い「The Best Chef Award 2017」でも着実に#141にランクイン。
「Trip Advisor」でも最近は常に3位以内をキープし、現地の評論家などによるkoreatのランキングでは’16年はNo.2。安定した評価を誇るレストランのようです。
この『ジョンシク』が位置するのは、ハイセンスで高級感溢れるエリア・清潭洞(チョンダムドン)。飲食店・アパレル・カーディーラーなど、ハイエンドなお店が並び、一昔前の六本木も彷彿とさせます。
宣陵(ソンルン)通りから少し東に入ったところにいくと、シックでゴージャスなビルが見えてきて、そこが目的地。1階はバー、2階がレストランです。
ディナータイムの店内は、写真よりもう少し暗めでムーディーな印象。テーブルやチェアーなども低めに設定され、落ち着いた雰囲気に一流店の矜持が感じられます。
・アミューズ、『九節板』と掴みは絶妙
この時は、韓国滞在初日ということもあって、奮発して選んだコースは、8皿の「TASTING MENU』(180,000KRW)。ワインのお任せコース「WINE PARING」(105,000KRW)も付けてみます。
アラカルトで頼むこともできたのですが、どういう料理が出てくるかわからない場合、バランスよくオーダーすることが難しいので、コースを頼むのは定石ですね。
まずは、メニューでは「SIGNATURE」と表記されていたアミューズ。
看板メニューと自ら名乗っているだけあって、のっけからユニークです。勝手に「祭壇」と名付けました。
なんだか壮大なセッティングを始めたなと思いながら待つと、「椎茸のサバイヨン」など4つのフィンガーフード、ちいさなスープなどが立体的に組みあがっていきます。祭壇のように仕立てられたそれらの中央に鎮座するのは、「プルコギ」です。
続く、「九節板」。
和食の「八寸」のように、様々な食材を使った韓国伝統の前菜で、通常は薄焼きにした小麦粉の煎餅で食べるのですが、ここでは堅焼きにした海苔を使っていました。
マグロの大トロにワサビ、付け合わせのカイワレ大根や山芋など日本人の舌にも合う素材が多く出てきます。
・西洋料理のルックスの裏に潜む、韓国伝統の味付け
ここからが前菜で、まずは「Octopas/タコ」。
練り物がフリットにされ、添えられたサバイヨンとともに、爽やかな印象。
そして2つ目の「Octopas/タコ」。
ストレートな炭火焼でしたが、これが絶品。たかがタコ、されどタコ。
コチュジャンをベースとした自家製マヨネーズソースも、いい味を出しています。
「ビビンバ」。
イタリアンのコースであれば、パスタやリゾットが出てくるタイミングで米料理。
韓国風の「ビビンバ」のアレンジとも言えますが、リゾットの方が近いでしょうか。
続くは『甘鯛』。日本風に言えば、うろこ焼きですね。
メインは、「カルビ」で。
今回は焼肉店に行く時間が取れそうにないので、旅行者にはありがたく、現地の人には安心の逸品。
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料理もさることながら、出色だったのが、ワイン。
東南アジアなどでは、酒税が高い影響もあるのか、パフォーマンスの高いワインに出会う機会が少なかったのですが、ここ『ジョンシク』では、ペアリングコースを選んで正解でした。
フランスワインが中心でしたが、注目の産地ジュラのシャルドネからオーストリアのソービニヨンブラン、アルザスのリースリング、そしてオーソドックスなブルゴーニュのぴのノワールまで多様なセレクト。
シャトーのメジャーさではなく、それぞれの料理に合わせながら、マニアも納得する活きの良さも取り込むセレクト・スタイルは日本のお家芸だと思っていたのですが、かなりの満足度の高さです。
・グローバルなセンスと技を身に付けながらも、韓国というアイデンティティは崩さないスタイル
食後の口直しには、「Sujeonggwa(スジョングァ)」。水菓子の意味です。
伝統的には、干し柿などの甘味とショウガ・シナモンの刺激を味わう飲み物だけれども、ソルベにアレンジされたもの。
そして、デザートに、なんと「トルハルバン」。
トルハルバンは、韓国の済州島にある石像で、それを模したケーキもそのまま食べられます。
ざっと見ていったように、アミューズやデザートでは伝統的な韓国料理の姿の中にワールドワイドな味付けも潜み、それ以外のメインのコースではユニバーサルな姿の中に韓国料理の味付けが潜む、そんなクロスオーバーした料理が印象的でした。
それは、シェフのイム・ジョンシク氏のキャリアからもうかがえます。
彼はニューヨークの『Aquavit』で修業をはじめ、スペインの『Akelarre』などで研鑽を積んだ後、まずはニューヨークで『ジョンシク』をオープン。そして、ソウルに開いた同名のお店がここになります。
そういったグローバルなセンスや技を身に付けながらも、あくまで「新しい韓国料理」として自らの料理を切り拓こうとしているところに、彼ならではの、あるいは韓国の料理人のスタンスを紐解くカギがあるような気がしました。
カフェと小菓子はスタンダードな西洋料理スタイル。
ちなみに、1階のバースペースでは、アラカルトの料理が中心ですが、2階のダイニングスペースと基本的に同じ料理とお酒が楽しめるそう。
2階は満席でしたが、こちらは少し余裕もあったよう。次に行くなら、こっちかな。
『正食堂/Jungsik(ジョンシク)』店舗情報
営業時間:18:00~23:00 定休日:不定休
電話番号:+82 2 517 4654
住所:83-24, Cheongdam-dong, Gangnam-gu, Seoul, Korea
オフィシャルHP(英語・韓国語)はこちら
店の雰囲気など
ドレスコードは、「スマートカジュアル」で。食事の間も含めて、英語か韓国語が話せる方なら、コミュニケーションは問題ないでしょう。日本人客もそこそこ来るようでスタッフもある程度慣れているようですが、日本語での対応は難しそうです。
予約の仕方
電話のほか、メールなどで(英語、韓国語)。
外国語でのやり取りが面倒な方は、予約サービスが利用できます。
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店の地図
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