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(*『Le Mout』は、2018年末をもって閉店しました)
隙のない的確な調理が真骨頂
キノコの一皿。良い仕事をするベテラン中継ぎ投手のように、渋いけれども、欠かせない一皿。
実はこれがあるかないかで、コース全体の印象が変わるような気がします。なければ、するっとメインに入ってしまい、単調なリズムに感じたかもしれません。
メインの魚介は、なんとうなぎ。白焼きです。
マスタードのソースとの組み合わせは、新鮮でした。
2-3種から選べるメインの肉は、鴨をセレクトしました。
的確! 火入れも味付けも、付け合わせとのバランスも、その一言に付きます。
私の場合、味覚のストラークゾーンは広めなので、もう少しズレがあっても楽しんでしまうのですが、ここまで出てきた皿は、そんな遊びはなくピシッピシッと収まるべきところに入ってくるイメージです。
かなりの完璧主義者とお見受けしました。このブレのなさが、安定した評価にも繋がっていることがうかがえます。
ハイライトはデセールの絵画シリーズ、この日はモネの「睡蓮」
そう思っていた矢先、遊び心が、デセールでにょきにょきと現れ始めます。
デセール一皿目は、クリームチーズのスイーツに、ワインのジュレを散らしたもの。
そして、やはりここがクライマックスなのでしょう。
ゼリーなどで表現したモネの「睡蓮」。スタッフの方は、このあたりはアートなエリアなので、それにちなんでいつもやっているんです、とのこと。
日本庭園を模したり、名画をモチーフにしたものをつくっているそう。
非常に個人的なことなのですが、大学で美術史を専攻していた私の研究テーマの一つは印象派。とくに、モネとセザンヌだったので、感激も一塩。たしかに、この見た目は「睡蓮」ですが、こんな料理ははじめてです。
プティフールも、青菜を使ったり、チーズのエスプーマなどで変化をつけたり、さりげなく野心的な印象。系列にパティスリーもあるせいか、このあたりの経験値は非常に高いような気がしました。
予算としては、日本円で20,000円越えの店なので、台湾では超が付くほどの高級店。
それを納得させるきちんとした仕事を体験させてもらいました。美しい料理の裏には、熟練の職人のような的確な技が潜んでいるふしぎなレストランでした。
『Le Moût/楽沐法式餐庁(ル・ムー)』店舗情報(*『Le Mout』は、2018年末をもって閉店しました)
平均予算:ランチ 20,000~30,000円、ディナー 25,000~40,000円
営業時間:11:30~15:30、ディナー 18:00分~22:30 定休日:月・火曜
電話番号:+886 4 2375 3002
住所: No. 59, Cunzhong Street, West District, Taichung City
ドレスコードと店の雰囲気
ドレスコードはスマートカジュアルが無難でしょう。食事の間も含めて、コミュニケーションは英語か中国語が話せる方なら、まったく問題ないでしょう。日本人客も多いので、ある程度スタッフも慣れているようですが、日本語での細かな対応は難しそうです。
店の地図
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