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ベスト女性シェフの受賞店、香港の『Tate Dining Room(テート・ダイニングルーム)』。
8皿のコースのそれぞれの皿に盛られたミニアチュールのような小宇宙には、フランスだけではなく、中国も日本も詰まっていました。
平均予算:ディナー 20,000~30,000円 /「ミシュラン香港 2021」2つ星
アジアのベスト女性シェフも受賞した、ミニアチュールのような叙事詩
台中の『ル・ムー』と同じように、ベスト女性シェフ受賞者にして美人シェフとして知られているヴィッキー・ラウさんが率いる香港の『テイト・ダイニングルーム』。こちらも美しい料理が特徴です。
ん、テイト? それって、ロンドンの美術館じゃない?とこの店を知ったときに思ったのですが、あながち的外れではないかもしれません。
ヴィッキーさんは、もともとグラフィックデザイナーとして活躍しながらも料理への想いが断ち切れず、フランスの料理学校に留学し、料理人への道へと進んだ方。確かに、私がこれまで体験したアジアのレストランの中でも、もっともグラフィカルなダイニングの一つでした。
実は2017年の初頭に、うかがおうと思っていたのですが、ちょうど移転のために休業中。年末にようやく香港に行く機会を得たのですが、新店舗でラッキーだったのかもしれません。
かつては、SOHOにあったのですが、ハリウッド・ロード公園の向かいになり、より静かな環境に。そして、店内も広くなったようです。
・「叙事詩」と名づけられた、8皿のコース
メニューは、「All The Odes(すべての叙情詩)」と名づけられた通常コースとベジタリアンコースの2種類のみ。
全部で8皿のコースです。このコースのネーミングはチリの詩人、パブロ・ネルーダからインスパイアされたとのことで、メニュー表も、布張りの本仕立てのボックスのなかに入っています。
ドリンクのワインペアリングは3杯と5杯。その他カクテルなども一通り揃っていました。
メニューには、それぞれ「ODE TO~」、訳せば「~へ捧げる叙事詩」というタイトルが付いていますので、それにならって見ていきます。
INTRO
メニューの最初は、パンと自家製ワカメバター。
オードブルは、コンソメロワイヤルの海葡萄載せ。香港で海葡萄ははじめて食べました。
ODE TO BALANCE
最初はワタリガニの卵黄クリーム。キャビアが載っていますね。
ODE TO SCALLOP
ホタテのエスプーマとマリネ。エディブル・フラワーがライスペーパーに織り込まれてるところがオシャレ。
ブリオッシュには、なんと豆腐のバター。日本にはお忍び(?)で通っているらしく、日本の素材が使われているのですが、和食に無理に合わせようとしないバランス感がいいですね。
外国語で予約をするのが面倒な方は、代行予約が便利です▽
・フランス料理をベースに、中華・和食のエッセンスをグラフィカルに消化
ODE TO CHRISANTHEMUM
マトウダイとアーティチョークのグリルを菊の泡で。
ODE TO HONG KONG
鮑をツナからとったジュで。ワカメのリゾットが敷かれています。
ODE TO SOFTNESS
海老の卵入りのカスタードに桜海老を載せて。カスタードの柔らかさのに包まれるように、桜海老のパリパリ感がアクセントになっています。
ODE TO WARMTH
シャラン鴨、プラムソースで。四川風ピュレとチェリーのキムチを添えて。
冬瓜と鴨のコンソメ。オリジナルは広東料理なのですが、全体のバランスのなかでいただくと、どこでもない無国籍な印象を受けます。
・デザートには、インスタレーションの要素も
ODE TO AGE
蒸し椎茸をロックフォート・クリームとパルメザンチーズで。メインが終わった後のデセールの一皿目とも言えるのですが、椎茸を使っているので、ブリッジ的な役割ですね。このアンニュイな感じも悪くありません。
ODE TO CHESTNUT ON THE GROUND
パッションフルーツのアイスクリーム、栗のアイスクリーム、抹茶のモンブラン。デザートのメイン。ここはオーソドックに美味しいスイーツでした。
ODE TO BEE
食後のお茶とともに出たプティフールはトリッキー。はちみつがテーマらしく、ミツバチにささげる叙事詩ということでしょう。
聴覚に働きかける仕掛けもありました。
とにかく盛りだくさんのコースでした。けれども、小皿が多いですし、バリエーションに富んでいるので、全体の量も、ちょうど良い按配。
・ミニアチュールのような小宇宙
もちろんすべてがそうではないでしょうが、料理において、見た目の色のバランスがいいものは、味や栄養の面でもバランスが取れているということはよく聞きます。
一皿のポーションが小さめの料理ですが、まさにそんな料理でした。ミニアチュールのような小宇宙が細部に宿っていると言ったら、大げさでしょうか。
『Tate Dining Room & Bar』店舗情報
営業時間:ディナー 18:00-23:00
平均予算:30,000~40,000円
電話:+85 (0)2 2555 2172
住所:210 Hollywood Rd, Sheung Wa, Hongkong
オフィシャルwebページはこちら
予約の仕方
オフィシャルHPの予約フォームか電話で。
日本語で予約をしたい場合は予約代行サービスの利用が便利でしょう。
店の地図
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