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バンコク屈指のタイ料理レストランという評価をほしいままにしてきた『ボラン』。
アジアベスト女性シェフも獲得したドゥアンポーン・ソンヴィサヴァ氏とオーストラリア人男性シェフ、ディラン・ジョーンズ氏。
彼らが二人三脚で追求する、懐くて新しいタイ料理の形とは?
平均予算:ランチ 7,000~10,000円、ディナー 15,000~20,000円 / 「ミシュラン バンコク 2021」1つ星、「アジアのベストレストラン50 2020」No.39、「La Liste 2020」No.675
選りすぐりの食材を使った伝統の料理を、ヨーロッパのオート・キュイジーヌ風のプレゼンテーションで
オーセンティックなタイ料理なのに、なんでこんなに新鮮な感覚で楽しめるんだろう?
『ボラン』を訪れるたびに感じるのはそんな驚きです。
ドゥアンポーン・ソンヴィサヴァさんとディラン・ジョーンズのダブルシェフによって生まれた店ですが、この夫妻はどちらも『ナーム』で研鑽を積んでいた身。
確かに伝統的なタイ料理を追求する姿勢は、『ナーム』の系譜を引き継いでいるのでしょうが、やはり斬新さを感じるのは、気のせいではないでしょう。
それが何かを確かめに、何度も訪れてしまうのです。
タイ・バンコク『nahm(ナーム)』オーセンティック・タイ
ちなみに、「アジアのベストレストラン50」では、2013年にドゥアンポーン・ソンヴィサヴァさんがベスト女性シェフを獲得し、NO.36、’14年はNO.28、’15年はNo.37、’16年こそランキングランクインを逃していましたが、’17年に復活、No 19にノミネートされています。
2018年度版から始まったミシュランのバンコク版では、1つ星を獲得。現地の食通に言わせると、そんな評価がなくても、タイ料理店としてトップクラスの1つなのは揺ぎ無い店だよ、とのこと。
[2018年度最新版] アジアの最優秀女性シェフ歴代受賞店に全部行きたい!
また、フードロスやエコシステムへ積極的に取り組んでいて、とくにカーボンフリーに関しては、2018年までにはゼロカーボンを実現する予定とのこと。料理や雰囲気、社会への姿勢など非常に意識の高い店だということがわかります。
・伝統的な建築物をモダンに改装した一軒家で、お洒落な隠れ家感満載
場所は、バンコクの中でも閑静な住宅地トンロー。BTSのトンロー駅から歩いても5分はかかりません。
看板を目印にアプローチを入っていくと、そこに一軒家が現れます。
店内には、じゅうぶん過ぎるスペースをテーブル間に確保。一軒家でゆったりと楽しめる雰囲気も店としての魅力でしょう。
伝統的な建築物でありながら、モダンな雰囲気を醸しだすセンスは、おしゃれに敏感なバンコクっ子にも人気であることが頷けます。
メニューはコースのみで、ディナーでは基本は2タイプ。
「Bo.Lan Balance」というフルコースが2,680タイバーツ(約9,500円)、「Bo.Lan Brief」というショートコースが2,280タイバーツ(約8,000円)。それぞれ同価格で、ベジタリアンコースの「Bo.Lan Botanical」にすることも可能です。
ショートコースでもそれなりの量があるとのことだったので、ここでは「Bo.Lan Brief」をセレクト。
ドリンクはカクテル、ビール、ワイン、ノンアルコールが揃っていて、ワインのペアリングコース(5グラスは2,200タイバーツ、3グラスは1,600タイバーツ)やノンアルコールのペアリングコース(5グラスは1,320タイバーツ、3グラスは870タイバーツ)もありますが、食前にシンハーをたんまり飲んでいたこともあり、軽めにカクテルにしておきます。
そもそもタイも酒税が高いので、ワインは諦めてました。
・香り豊かなワイスワインから前菜で、別世界への誘い
まずは、食前酒にライスワイン。芳醇な香りが五感に染み渡りますが、結構なアルコール度ですね。
「適当に柑橘系で」と頼んだオリジナルカクテル。ジンベースですが、名前はないそう。
オレンジのエッセンスオイル(?)の香り付けもおもしろい演出。
前菜の小皿。香草たっぷりで、身体にいい感じ。
続いて、鶏のサラダ。
実は、オーダーの際に「辛さはどうします?」と訊かれるのですが、唐辛子の辛さが苦手なので、「控えめで」とお願いしていました。それでも、辛い! 「辛めで」と頼むと相当辛いそうです。
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・忘れ去られたタイ宮廷料理を織り交ぜたメインは、まるで満漢全席
辛さがこたえたので、爽やかに「モヒート」で口直し。
スイカベースの、ちょっと変化球。チリで火照った口の中を冷やしてくれて助かります。
そして、メインは、一気に5皿来ました! これだけの数ですが、ポーションも大きめ。いわゆる少量多皿のコースと比べれば、倍くらいあって、まるで満漢全席かと思いました。
このあたりで気づいたのですが、この『ボラン』のディナーは一回転なのですね。
なので、他の席を見ても、時間を気にせず、自分のペースでゆったりと食事の時間と、このオシャレな空間を楽しめていたんだと悟ります。予約がとりにくいわけです。
時間をゆっくりかけ、メインをなんとかお腹に収めきったあとに出てきた、デザートも盛りだくさんです。
スイート・ドリンクとタイ風餅菓子に続いて、デザートも盛り合わせ。マンゴーのシロップ漬けからナッツの揚げ物まで、伝統菓子が所狭しと並んでいます。
ハイセンスなタイ料理と言えば、フレンチやイタリアンからの影響を受け、洗練されたものだとどこかで思い込んでいた私からすれば衝撃のコースでした。
タイ宮廷料理の範疇に入るのでしょうが、欧州料理とのミクスチャーではなく、伝統料理の味を貫くことでかえって独自の高みに上る詰めるイメージ。私が感じていた新鮮さの一つは、こういった「温故知新」的なものだったのかもしれません。
食後にシェフと話したのですが、プレゼンテーションは今に通じるように意識しているけれども、レシピはほとんど伝統的なもので、創作を入れている割合は低いと言っていました。ただ、食材が珍しかったり、調理に手が込んでいたり、あまり一般的にはやらなくなったり、中には歴史のなかで忘れ去られていたメニューもある、と。
なるほど。道理で、これまでタイ料理店で見たこたとがなかったメニューも織り交せられていたんだ、と理解します。
でも、例えばフランス料理で言えば、エスコフィエのメニューのなかに、現在ではつくられていない料理があって、それを食べたら同じような新鮮さを感じるのかな? そんなことを考えながら、生ぬるいバンコクの夜道を帰途に着くのでした。
『Bo.Lan(ボラン)』店舗情報
コース料金:ランチ 1,880 THB(約6,800円)、ディナー 3,260~3,680 THB(約11,500~13,000円)
営業時間:ランチ 12:00-14:30(土日曜)、ディナー 18:30-22:30 定休日:月火曜
電話番号:+66 2 260 2962
住所: 24 Sukhumvit 53 Alley, Khwaeng Khlong Tan Nuea, Khet Watthana, Bangkok
オフィシャルHPはこちら
予約の仕方
予約は電話かオフィシャルHPの予約フォーム(タイ語・英語)から。
外国語でのやり取りが面倒な方は、予約代行サービスが便利です。
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店の地図
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