タイ・チェンマイ『Cuisine de Garden(キュイジーヌ ド ガーデン)』コンテンポラリー・フレンチ

Chiangmai-Cuisine de Garden

 

チェンマイ郊外で、タイの食材にこだわりながら、自然からインスパイアされる料理を独自に紡いできた『キュイジーヌ ド ガーデン』。
デザイナーから転身、師匠を持たずに独立したシェフが築き上げてきた料理とはどんなものでしょうか?
ガストロノミーの一つの理想がここにあるように思えます。

Chiangmai-Cuisine de Garden

平均予算:ランチ 7,000~10,000円、ディナー 10,000~15,000円/「ミシュランガイド チェンマイ 2020」ミシュランプレート掲載

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自然に導かれたコンテンポラリー・ガストロノミー。その理想形を求めて

アジアにあるクリエイティブなレストランの情報は、ある程度、おのずと入ってくるつもりになっていましたが、まだまだ知らない店はあるもんです。

そう思わせてくれたのが、チェンマイにあるこの『キュイジーヌ・ド・ガーデン』。

Chiangmai-Cuisine de Garden

普段はあまりチェックしていないのですが、チェンマイは今年初のミシュラン対象エリアになったこともあり、星獲得でもビブグルマンでもない調査員のおすすめ「ミシュランプレート」のリストを見ていたんです。

そうしたら、なんとなくピンと来たのが、このレストラン。

結果、素晴らしいレストランだったので、こうやって記事にしているのですが、驚いたのはオープンしてから既に9年ほど経っていたことでした。

なんで気づかなかったんでしょう?と、我ながら人生を少し損した気分になります。

場所はチェンマイ中心部から10km強、南へ向かったエリア。空港の先。

店名の通り、庭に囲まれたレストランで雰囲気は抜群。

Chiangmai-Cuisine de Garden

オーナーシェフの実家だった場所を改装し、2011年にオープンとのこと。タイ国内では着実に評価を高めていたようで、2017年にはバンコク店もできています。

・メニューについて

ミシュランでは「European Contemporary」とカテゴライズされていますが、当日は余計な先入観を持たずに席に付いてみます。

カウンターとテーブル席があって、どちらでもいいと言われたので、迷わずカウンターへ。

Chiangmai-Cuisine de Garden

この環境に表れているように「Nature Inspired Cuisine」というコンセプトが貫かれているそうで、メニューは、「12 course of local ingredients」1590++ THB(約6,000円)の一本のみ。

ワインペアリングは、5杯で1,200THB(約4,500円)。すべてバイオダイナミックのオーガニックです。

ランチもディナーも12皿のおまかせコースのみという、郊外にあるレストランとしてはかなり挑戦的なスタイルですが、チェンマイ近郊では、欧州料理ベースで地域性も取り入れたレストランは、ほとんどないのでオンリーワンの存在と言っていいかもしれません。

「自然にインスパイアされた料理」というコンセプトもそうですし、メニューに「~of local ingredients」と書かれていように、タイ国産の食材をフィーチャーすることにこだわっています。

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肉や野菜はチェンマイ近辺や自家菜園から、魚はタイ南部から直送されている食材を使っているとのことで、当日使われる食材が、カウンター上の黒板に描かれています。

・世界最先端のガストロノミーとの同時代性を感じさせる前半

「Amuse Bouche」

12 course of local ingredients which is cost 1590++ THB /person.

おまかせコースの1皿目。

分子ガストロノミーで象徴的だった液体の周りをゼラチン質で覆う「球体化(Spherification)」のテクニックが使われています。

ハーブとエディブルフラワーにタイっぽさが出ていますね。

最初の皿として、ガストロノミーな店だと印象づけるには良いセレクトでしょう。

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グラスで出ていた白ワインは、スペインと南仏だったので、南仏のほうがタイのトロピカルな雰囲気に合いそうな気がしてセレクトしてみました。

「Domaine Chiroulet Terres Blanches 2017」というグロマンサン、ソーヴィニョンブランなどのブレンドです。

「青リンゴ、ライムなどのフルーティーなテイストと、ソーヴィニョンのミネラル感の強さが特徴」だとはスタッフの弁。

間違いないです。そもそもオールマイティに食事に合わせやすいタイプだったので、日本で見つけても飲むかもしれません。

 

「Crustacean and Finger Lime Caviar」

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カニの身の上に、フィンガーライムが載せられ、さらにカニだしの泡で覆われています。

オーストラリアのアボリジニーの食文化だった「フィンガーライム」とは、つぶつぶの実がキャビアみたいだと話題になったことがあるのですが、味はライムでした。

とはいえ、場所によっては希少食材であることは変わりなく、キャビアと同じくらいの高級食材だったりもします。

 

「Oyster and Calamansi」

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「牡蠣とカラマンシー」。

柑橘類「カラマンシー」は庭で採れたものだということ。

 

「Day Catch Fish」

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この日の魚は鯛。

実は今秋、日本を訪れていたそうで、焼津の前田さんに習った鯛の昆布〆を応用しているとか。

醤油を少し、タイのハーブに合わせています。

☆ ☆

第1パートとも言える前半の4皿を食べ終わったところで、失礼なたとえをするなら、最初の2皿は『エルブジ』的、次の2皿は『ノーマ』的だったと言えるかもしれません。

後で調べてみたのですが、過去の記事を見る限り、オープン当初のほうがもっとモラキュラ―なテイストを前面に出していたようです。

現在はより「ナチュラル」な方向に向かっているイメージでしょうか。

 

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・オリジナリティが現れたコース中盤

「Fig and Cat Fish Bacon

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「イチジクとナマズのベーコン」。

タイでナマズはスタミナ料理として大人気なのですが、捨ててしまう部位も多いらしく、それを燻製にしたベーコンが使われています。

マダムいわく「食材は全部使いたい」と。

ゼロ・エミッションまで貫くのは難しいでしょうが、そういう意志を持っていることに好感が持てます。

米のパウダーとはちみつが、隠れた立役者。

 

「Fermented Fish Tartine」

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「発酵魚のタルト」。

左側の発酵魚のペーストとタルトが主役ですが、右のニンジンにも注目です。

プーケットの1つ星『PRU』でもニンジンがスペシャリテになっていますが、こちらも独特なベビーキャロット。

 

「Free Range Chicken and Onsen Egg」

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スペシャリテとして提供された一皿。

鶏の巣に見立てたカゴの中にはポーチド・エッグ、というかメニューにも「温泉卵」と書いてあります。

下には、ほぐしたチキンとクリスピーなパフドライスを胡麻醤油のソース。

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温泉卵を割ると、こんな姿に。

温泉卵とサクサクに揚げたライスヌードルを崩し、しっとりと仕上がったチキンと一緒に味わいます。

この中盤戦が、よりタイの食材の個性を味わえるように捉えられたので、個人的にはもっとも印象的でした。

☆ ☆

メインに行く際にワインを赤に変更。

こちらも、フランス産(ロワール)とスペイン産(トーロ)が各1種ずつグラスで出ていました。

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白はフランスにしたからというだけで、スペイン産の「Alejandro Fernández Dehesa La Granja」に。

外観はかなり濃い目で、深いベリーのようなテイスト。

10年近く熟成したテンプラニーリョでは、手頃に飲める嬉しいボトルですね。

 

「Buk Siam Fish and Green Mustard Leaves」

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こちらもナマズ。グリルで仕上げています。

マスタードの葉と、そのペースト。

 

「Thai Beef and Winter Pumpkin」

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20日熟成のタイビーフ。安定です。

米のフリットで包んだ冬かぼちゃが付け合わせ。

 

「Steamed Rice Ochazuke and Lotus Tea Brot」

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ペーパーで設えられた蓮の花が出てきたと思えば、「お茶漬け」だそうです。

ただし、出汁やお茶ではなく、鶏の骨などから取ったブロースが中心。

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紐をほどき、中から出てくる若めのタイ米にスープを注ぎます。

 

「Milk Variations and Wild Honey」

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デザートは、ミルクをバリエーションを付けた数品の掛け合わせ。

フレッシュミルクのアイスクリームに滑らかな舌触りの牛乳のパンナコッタ、サクサクなドライミルクと食感の違いを堪能できます。

濃厚な蜂蜜の結晶がアクセントとして、存在感があります。

 

「Petit Fours」

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米やマンゴーを使った小菓子に、梅酒とハーブティ。

そして、やはり特筆すべきは、左上の黒い石でしょう。

新北欧系のレストランではアミューズなどでお馴染みですが、こちらはデザート。タイ産のブラックチョコレートです。

Chiangmai-Cuisine de Garden

・つまらない料理人は料理人に学び、優れた料理人は自然に学ぶのか

邪推ではありますが、やはり面白いのは、シェフがもともとデザイナーだったことかな?と思います。

そもそもシェフのLeelawat Mankongtiphanさんは、家具デザイナーである母を持ち、自身も両親が経営する家具メーカーで8年間プロダクトデザイナーとして働いていたそう。

店の佇まいじたい、ウッディなカトラリーにリネンのテーブルクロスからテーブルセッティング1つ1つの小物にまで、店内の隅々までシンプルだけれどこだわりを感じるインテリアに目を見張ります。

そういったセンスは、彼のバックボーンからきているのでしょう。

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その後、料理に目覚め、日本と西洋料理を学ぶチェンマイの料理専門学校へ入学したといいます。

私が興味深く思っているのは、料理に関して、卒業後、とくに誰かに師事したわけではなく、ほぼ独学でやってきたということ。

もちろん実務経験がない方でもレストランをやっている人はたくさんいるでしょうが、アジア全域で見ても、このレベルで料理をつくっているシェフはなかなか見つからないと思います。

もしかしたらデザイナーとしての感性を持っていたのに加え、誰かに師事したことがないことは、既成の料理の概念に捕らわれずにすむというポジティブな結果を生むことがあるのかもしれません。

そう、絵心を感じるんです。

全体的には、新北欧系の流れのなかにあるレストランだとは思いますが、本場で誰かに師事して修行してしまったら、見た目的にもう少し無味乾燥なフィンガーフードを席に座ってコースとして食べているだけのような料理になっていたかもしれません。

けれども、シンプルな白い皿(例えば、デザート)だったとしても、ここには少しイエロー(はちみつ)をアクセントにしたほうがいいだろう?とか、ビジュアル的なバランス感覚が功を奏しているように思えたのです。

優れたデザインとは、ただきれいとか、格好いいというだけではなく、そこに描かれるものに何らかの必然があります。

逆もまた然りで、何らかの必然があるものが描かれれば、それは優れたデザインにもなり得ます。

料理も然りです。

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しかも、『キュイジーヌ・ド・ガーデン』の周囲には、比較的恵まれた自然があります。

この空間でコースを味わっていると、その自然を活かした「Nature Inspired Cuisine」という意味が実感できたような気がします。

ダ・ヴィンチが遺したとされる言葉に「悪い画家は画家に学び、良い画家は自然に学ぶ」というフレーズがありますが、ここのコースを楽しんだあとでは、料理においても同じことが言えることがわかるのではないでしょうか。

 

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『Cuisine de Garden(キュイジーヌ ド ガーデン)』店舗情報

営業時間:12:00~14:00、18:00~22:00 定休日:月曜
電話番号:+66 (0)53 441 599
住所:99 หมู่ที่ 11 Nong Kwai, Hang Dong District, Chiang Mai 50230
オフィシャルwebページはこちら

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予約の仕方

予約必須。電話あるいはオフィシャルwebから(タイ語・英語)。
外国語で予約するのが面倒な方は、代行予約が便利です。
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店の地図

 

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