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バンコクのイノベーティブシーンに新風を吹き込む『Gaa(ガア)』は、あの『ガガン』の姉妹店。
デンマークの『noma(ノマ)』で研鑽を積み、『Gaggan(ガガン)』でスーシェフを務めたインド人シェフ、ガリマ・アローラ女史が革新するガガンのDNAを探ってきました。
平均予算:ディナー 15,000~20,000円 /「ミシュラン バンコク 2020」1つ星、「アジアのベストレストラン50 2020」No.15、
*2020年12月18日追記。
長らく休業状態でしたが、12月18日に移転オープンしたようです。
古民家をモダンに改装した一軒家。
店の雰囲気も含めて、ガリマ・アローラ シェフの新展開に期待です。
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ノルディックキュイジーヌのアプローチ×『ガガン』のチャレンジ精神×タイ食材への信頼
2017年の初旬、バンコクで追っかけているシェフなどが、こぞってSNSでシェアしている店が出てきました。
気になったものの、わかるのは『Gaa(ガア)』という店名のみ。日本語、英語で探してはみたものの、記事は出ておらず、オフィシャルのFBを見つけたものの、まばらな投稿しかされてなく、どんな料理が出されるのかもわからず…。
・謎の店だった『Gaa(ガア)』は、アジアNo.1の『ガガン』の新店
ずっと追っかけて春頃に徐々にわかってきたのはあの『ガガン』の新店で、店は『ガガン』のスーシェフだった女性が任されているらしいということくらい。
調べるより行ってしまったほうが早いと、メッセンジャーからコンタクトを取り、行ってきました。
雨期前のジメッとした暑さの中、店にタクシーで向かいます。場所は『ガガン』の向かいで、こちらもリニューアルされコロニアルスタイルの洋館。
木造一軒家の『ガガン』とは異なり、レンガ造りの建物をリニューアルしているので、ややモダンな雰囲気が漂います。
予定より、早く着きすぎたせいか、オーダーは少しゆっくりめ、テーブルに用意されていたコンセプトブックなどをパラパラめくりながら、汗を落ち着かせます。
スタッフと話してみると、正式なオープンは4月だったとのこと。なので、FBなどもアカウントを作り、試験的に投稿していた時期のものを見つけてしまったようです。道理で、分からないはずだ、と。
・ショートとロングの2コースのみのメニュー
メニューは、10皿(2,000THB)と16皿(2,600THB)の2コースのみ。
スタッフによればボリュームに差はなく、16皿のほうのポーションが各皿で小さめになっているとのこと。それぞれ、4グラス(1,900THB)と5グラス(2,300THB)のワインペアリングのコースもあります。
今回は、10皿+4グラスのメニューをチョイス。「冷製スープ」から始まったコースを一気に紹介していきます。
1皿目は「Chilled Soup of Mango, Pumpkin, Pikles」。・
マンゴーとパンプキンの甘さに、ピクルスの酸味が良い塩梅。
味もさながら、鮮やかな黄色のインパクトも抜群で、1皿目からスペシャリテになり得る料理ですね。
このスープをみて『ガガン』よりは大きめのポーションで出てくるかと思ったら、次のレバーパテは一口サイズ。
「Chicken Liver, Longan」。瞬間冷凍させて面白い食感のレバーパテを食べた後は、「とうもろこし」。
「Corn」。ダイレクトなネーミングですね。日本で言えば、ヤングコーンですが。
皮はスポッと抜けます。特製マヨネーズタイプのソースが美味。
次は、「Cow Milk Tofu, Grilled Leaves of Mustard and Pakchi Farang」。
マスタードの葉をパリパリの食感に。その中には、牛乳から作った豆腐。
豆腐と呼んでいいのか、チーズと言えばいいのか、ちょうど中間くらいのものでしたが、そのまろやかなとろみとピリッとしたマスタードの辛味が程よいハーモニー。
タイ語・英語で予約をするのが面倒な方は、こちらが便利です。
日本語可!『ガア』をグルヤクで予約する
・『ガガン』のDNAにニューノルディックキュイジーヌの現代性をプラスした『ガー』
コースは、さらに続きます。
「Crayfish, Khakhra」。
ザリガニ。プリプリ感がたまりません。
「Cauliflower, Caramelized Whey, Add on Royal Project Cavier」。
キャラメライズドしたカリフラワーに、オプションのキャビア。
「Pork Rib」。
ここまでざっと見ていきましたが、食材を生かした料理が特徴でしょうか。
カリフラワーに付いていたキャビアは、タイ王室がプロデュースしている国産もの。
その他、コーンやザリガニなどの食材のほか、パクチーなどハーブやスパイスの使い方は、タイの食文化を積極的に取り入れようという意志が伺えます。
そういった食材への信頼、地産へのアプローチに、ニューノルディックキュイジーヌの影響も垣間見えたのですが、訊いてみたら、Garima Arora(ガリーマ・アローラ)シェフは『noma』で働いていたこともあったそう。
確かに、「ポークリブ」のプレゼンテーションには、ストレートにその経験が出ているかもしれません。
・ポエティックなセンスも随所に
メインが出た後で、ちょっと一息。
「Caramelized Onion Bread, Homemade Butter」。
包みの中にはメッセージ入り。イギリスの作家ゼイディー・スミスの言葉がタイプされたメッセージ入りの包みには、パン。玉ねぎ入り。
ボソボソ感のある自家製バターも独特です。
「Egg Fruit Icecream」。
デザートはエッグフルーツ(カニステル)のソフトクリーム。
そして、シナモンが効いたインドの小菓子「Bakharwadi/バカルワディ」に、少し変化球で「koji ganache/麹のガナンシュ」。
と、終盤になって、アローラ・シェフのルーツであるインドの食文化が顕著に表現されています。
・バンコクにおける今後のガストロノミー・シーンをリードしていく存在
「青は藍より出でて藍より青し」ということわざがあります。
これを聞くと、どっちが師か弟子か、結局どっちが優れているのか、いつも混乱してしまうのですが、師と弟子の関係を考えるときに、私が基準としているのが、たけし軍団です。
北野武は常々「司会をやらせれば、タカのほうが俺よりうまい。漫才をやらせれば、浅草キッドのほうがうまい。けれど、全部やれるのは俺だけだ」と言っていたと記憶しています。
先のことわざでは、藍が師で、青が弟子なのですが、どちらが優れているかを考えること自体がナンセンスなのかもしれません。
強いて言うなら、一代で何かを築き上げた師は総合力に勝り、そこから出てきた優れた弟子はより特化した才能に恵まれることが多いのではないでしょうか。
この『ガア』も、師のスピリッツを継承しつつも、アプローチはシェフなりに若干シフトしているところが印象的でした。
『ガガン』では、壮大すぎてつかみどころがなかった部分も、ピントがピシッと合った感があります。ニュー・ノルディック・キュイジーヌを通過した料理と私自身が相性がいいということもありますが、『ガガン』だけではなく『ノマ』のDNAを内包するアローマ・シェフの料理は、素直に舌と胃と頭に入ってきます。
まだ、オペレーションなどに、こなれていない面はありましたが、今後、確実のバンコクのガストロノミーシーンをリードしていく存在となるでしょう。とくに『ガガン』がクローズする予定の2020年以降は。
『GAA(ガア)』店舗情報
コース料金:3,2000THB(約11,500円)
営業時間:18:00~L.O. 21:30 定休日:無休
電話番号:+66 91 419 2424
住所:68/4 Soi Langsuan, Ploenchit Road Lumpini, Phathumwan, Bangkok 10330
オフィシャルwebページ(英語)はこちら
ドレスコードと店の雰囲気
カジュアルな店ですが、いわゆる「スマートカジュアル」が無難でしょう。食事の間も含めて、英語かタイ語が話せる方なら、まったく問題ありません。日本語でのコミュニケーションは難しいと考えた方がいいでしょう。
予約の仕方
予約はオフィシャルHPから(英語、タイ語)。英語などでの予約が苦手な方は、下記のサイトなど日本語で予約代行をしてくれるサービスを利用するのもいいと思います。
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店の地図
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