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「アジアのベストレストラン50」ではNo.13位内をキープ、「ミシュラン」では2019年度に2つ星に昇格、「ラ・リスト」では世界でNo.258と、オープン2年を前にして、バンコクで絶大なる評価を誇るのが、『Sühring(ズーリング)』です。
タイでなぜドイツ料理?っていう素朴な疑問が吹っ飛ぶくらいの説得力を持つ、ディナーコースを堪能。
平均予算:ランチ 7,000~10,000円、ディナー 15,000~20,000円 / 「ミシュランガイド バンコク 2020」2つ星、「アジアのベストレストラン50 2020」No.6、「La Liste 2020」No.268
モダン・ガストロノミーの緻密な技とおばあちゃんの料理のハイブリッド
ちょうど1年くらい前の2月下旬のこと。「アジアのベストレストラン50 2017」の発表で、もっとも驚いたのが、この『ズーリング』。2016年2月にオープンし、1年足らずで、アジアのNo.13を獲得したのです。
恥ずかしながら、そのリストに載るまで存在さえ知りませんでした。バンコクの知人に問い合わせると、「まあ、それくらいの力はあるでしょ。『メッツァルーナ』のシェフをしていた二人だから」との返答。
『メッツァルーナ』は、バンコク随一のグランメゾンともいえる店なので、相当なことなのは確かですが、フレンチの店。でも、ズーリングは現代ドイツ料理ということになっています。点と線が繋がらず、頭の片隅に「?」マークを残したまま……。
その後の躍進を知れば、そんな1年前が遠い昔のことに思えます。12月に発表された「ミシュラン」でも順当に1つ星を獲り、評価に時間がかかる「La Liste」でも難なく世界で258位。世界のレビューサイトで、フーディーズ向けにはバンコク最高だろう、という評で溢れています。
そんな名店を1年で築き上げたのが、兄トーマス、弟マティアスのベルリン出身のツインズシェフ。
ふたりはそれぞれスペインやスウェーデン、デンマーク、イタリアなど、さまざまな国で研鑽を積み、『メッツァルーナ』のシェフにとバンコクに招聘され、移住します。
・バンコクなのにドイツの森のひっそり佇むようなガラス張りの一軒家
オープンのコンセプトは、「これまではフレンチなど他国の料理を作ってきたけれど、自分たちのルーツを見せる機会がなかった。ビールとソーセージだけじゃないドイツ料理を知ってほしかった」と伝え聞きます。
それは料理だけではなく、店のトータルコンセプトにも通じているのでしょう。
メトロなどの交通機関から、歩けば30分はかかるイェンアカートの住宅街の中、『ズーリング』はぽつんと佇んでいます。
近づいてみると、「バンコクの中にこんな森があるんだ?」と驚く、緑溢れる一軒家。まるでドイツの森にひっそり佇むガラスの館です。体感温度が5度くらい涼しくなった気分になります。
・ディナーのみの営業。8品か12品の2つのコースからセレクト
メニューは、ディナーコースが2つのみ。ランチもやっていません。
8品コースは2,900バーツ~(約10,500円~)と12品コースは3,400バーツ~(約12,000円~)。結果から言うと、料理だけで考えれば、少しお得感があるくらいの値付けだと思います。
でも、タイはワインが高いので、ペアリングコース(コース料理とほぼ同額)を頼むと、ちと高いかな?くらいな印象になるのですが。
一品目は、Appetithäppchen(前菜)で、一口サイズの「プルッツエル & オバツダ」。
ドリンクは、ドイツビールとレモネードが入ったカクテル。
ドイツ感満載な、半ばユーモアかと思ったのですが、プルッツエルの美味しさに、これは本気だ!と思い直します。オバツダは付け合せのディップのことで、ここではオレンジ色でした。
二品目も一口サイズで、ニシンのバーガーやらオニオンケーキ、ナックルブラウン。
ああ、こういう感じなんだとイメージがつかめて来たので、ワインリストにあったオレンジワインをグラスで合わせます。
ドイツ、オーストリアを中心のワインもツボを押さえている印象。
でも、リストで「オーガニック・ワイン」と「ビオダイナミック・ワイン」、「ナチュラル・ワイン」がきちんと区別されていました。そんな店、初めてです。
次もサンドイッチ。
ライ麦パンに、ハムや生海老などお好みに合わせて、客自らが仕上げます。なんだかこれもドイツっぽい。
シェフのどちらか(双子なのでどっちがどっちだか)がテーブルに挨拶に来てくれたので、いろいろ話していたら、「ドイツ料理なんか習ったことがない」と笑っていました。
「おばあちゃんが、こんなのつくってたなぁ」と記憶の断片を繋ぎ合わせて、プロになってから築いた技術で再現しているようなものだとか。
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・少量多皿で満足感いっぱい、おなかもいっぱい
そんなやり取りをしている間に、サービススタッフがなにやら用意を始めます。
お、黒トリュフ。いい香りが漂います。そして出てきたのがドイツ風パスタ。その上に手際よくトリュフを摺っていきます。
正確に言えば「シュペッツレ」というドイツの玉子麺。トリュフと玉子は合いますね。麺の太さがドイツっぽい。
メインの肉料理は日本の「のざき牛の肩肉」。
バンコクで高級食材と言えば、日本産なので、使い方を熟知しているのでしょう。海外で日本産だとありがたみが薄れてしまうこともあるのですが、これは美味しかったです。
・まるでドイツ車のような緻密な料理
ここまで食べると、デザートのアイスに添えられたベリーでさえもドイツっぽく思えてきました。ドイツっぽさが何かを熟知しているわけではないんですが。
最後は、小菓子とザバイオーネで締めます。
ザバイオーネは卵黄とマルサラ酒で仕上げられるデザートですが、その濃厚な甘みがまたドイツっぽい……と言いたくなりますが、これは北イタリア、ピエモンテの発祥。
パスタ、肉料理と最後にハイライトをつけていますが、一口サイズの小皿中心なので、サクッサク食べて行きましたが、最後には結構お腹がパンパンになってました。
・クラシック派からもイノベーティブ派からも支持される料理の説得力
全体的に精密な隙のない料理で、その緻密さにこそ、ドイツっぽさを感じていたのでしょう。さすが工業大国のドイツ人が精密さにこだわると、とんでもないことになるなぁという印象です。
この『ズーリング』、評価がこの上ないことは冒頭でも挙げましたが、面白いのは、どんなタイプの人からも嫌われないこと。クラシックとイノベーティブとそれぞれ好きな人の間で、評価のギャップができることが多いのですが、そのどちらからも愛され始めている珍しい存在です。
今後ますます凄味も増していきそうな匂いがプンプンする、つまり数年後にはレジェンドにもなる可能性が高そうな注目店です。
『Sühring(ズーリング)』店舗情報
コース料金:ランチ 3,600~4,400 THB(約12,800~15,800円)、ディナー 4,400 THB(約15,800円)
営業時間:ランチ<土日曜>11:30~L.O. 12:30、ディナー 18:00~L.O. 21:30
定休日:無休
電話番号:+66 2 287 1799
住所:No.10, Yen Akat Soi 3,, Chongnonsi, Yannawa, Bangkok
オフィシャルwebページはこちら
店の雰囲気など
ドレスコードは、「スマートカジュアル」で。食事の間も含めて、英語かタイ語が話せる方なら、コミュニケーションは問題ないでしょう。日本人客も多いので、ある程度スタッフも慣れているようですが、日本語での対応は難しそうです。
予約の仕方
電話、オフィシャルweb(タイ語、英語)から。
日本語での予約は予約代行サービスなどが便利です。
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店の地図
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