韓国・ソウル『TocToc/톡톡(トク トク)』イノベーティブ ☆

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

 

ソウル発、「アジアのベストレストラン50」の特別賞「One to Watch」を2017年に獲得し(2018年度はNo.42にランクイン)、韓国にとどまらずアジアの次世代を担うホープに躍り出た『TocToc(トクトク)』。
元音楽家のシェフが徹底的に食材にこだわり、奏で出すオリジナリティはどこからくるのでしょうか。
初夏のソウルに駆けつけました。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

平均予算:ディナー 10,000~15,000円 /「アジアのベストレストラン50 2020」No.27、「La Liste 2020」No.1101


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国産食材への徹底とプレゼンテーションのハーモニーから導かれる新感覚ガストロノミー

フランス語でノックの音を意味する『TocToc(トクトク)』。

シェフのキム・テチュン氏によれば、ゲストの「味覚をノックする」という想いが込められているとのことですが、訪れた客を通して、アジア全域への扉を開けたのが、2017年春のことでした。

 

・2017「One to Watch」受賞で、韓国の人気店から一気にアジアの注目店へ

2013年4月にソウルの狎鴎亭(アックジョン)にオープン。アッと言う間に、韓国内の旬の食材の魅力を引き出した料理を提供する店として、評判となっていたのですが、その名を国外にも轟かせたのが、2017年春のこと。

「アジアのベスト・レストラン50」の「One to Watch」を獲得したのです。

ベスト50には入りませんでしたが、この賞は「次に来る店」という特別賞なので、むしろランク内よりも目立ったりします。

実際、韓国の創作フレンチが「One to Watch」を獲ったといういくつかのニュースが日本にも配信されていました。
(*追記:2018年はNo.42にランクイン)

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

2013年はシンガポールの『JAAN(ジャーン)』、’14年は香港の『天空龍吟(Tenku RyuGin)』、’15年はソウルの『羅宴(La Yeon)』、そして、’16年は東京の『フロリレージュ』がこの賞を獲得しています。

これらのレストランが、その後アジアレベルの人気を獲得していったことを見ると、この『トクトク』の成功も約束されたようにも思えますが、さてどうなのでしょうか? 実際に訪れてみました。

 

 

 

・フランス料理をメインに、和食、イタリア料理など様々な技法を縦横無尽に駆使

店は、『Mingles(ミングルス)』『Jungsik(チョンシク)』などの実力店がある狎鴎亭(アックジョン)エリアにあります。

いかにも雑居ビル風な建物の古びたエレベーターに乗り、3階まで上がると、そこにはカフェ風の店が広がっています。ビルの外観とは異なり店内は清潔で、インテリアもきちんと選ばれたことがすぐわかるような調和の取れたものなので、まずは好印象。

メニューはコースが2種で「TOC NOMY」(120,000韓国ウォン)と「THE SIGNATURES」(100,000韓国ウォン)。アラカルトもあります。今回は「TOC NOMY」で。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

アミューズから「結構、大きいのが来たな」と思ったら、液体窒素の白煙が立ちました。

アミューズはそもそも「口を楽しませるもの」という意味ですが、「目も楽しませたい」ということでしょうか。

「牛の刺身」「うなぎの白焼き」「エビの唐揚げ」など、ちゃんと口も楽しませてもらいました。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

なんとなく「お酒はいいか」と思っていた夜なのですが、料理とワインリストの良さにつられて、仏ロワールの「Château Pierre-Bise/Anjou – Les Rouannières 2014」で。

また、アミューズのあとに出てきたケークサレのようなパンにさることながら、バターには昆布が! 細かいところにこだわっています。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

続いて前菜は「真鯛のタルタル」から始まり、夏尽くし。

訪れたのが、7月でしたので、まさに旬の食材揃い踏みです。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

続いて「鮎」。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

そして。西瓜が効いた夏バージョンの「ガスパッチョ」。

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・メインの魚→パスタ→メインの肉と盛りだくさんでアジア的な展開

コースはまだまだ続きます。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

一般的なコースであれば、メインの魚になるのでしょうか。「スズキのグリル」。大麦と濃厚なクリームソースが添えられています。

中華でもそうですが、韓国もスズキやハタなど白身の大型魚は美味しいですね。

次は肉かな?と思ったら、パスタとのこと。意外な展開。3種から選べるようですが、スペシャリテは「トリュフオイルの冷製パスタ」とのことだったので、迷わずそれで。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

このパスタ、少し面白くて、味付けはイタリアンなのですが、韓国冷麺のニュアンスがあります。なんでだろう?

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今度こそ、肉かと、グルナッシュメインの仏ローヌの「Gigondas rouge – Pierre Aiguille」。しっかりめの赤で。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

そして、「熟成韓国牛のステーキ」。やはり韓国の牛肉は安定していますね。

 

・国産食材への徹底的なこだわりとプレゼンテーションのハーモニーから導かれる新感覚

駆け足でコースディテールの紹介をしてきましたが、和食、フレンチ、スパニッシュ、イタリアンと縦横無尽。でも、散漫なイメージをまったく感じなかったのが印象的です。

おそらくそれは、調理法ではなく、食材への情熱から生まれるような気がします。

これはキム・シェフに限らず、イノベーティブな料理を追求するシェフに共通することかもしれませんが、高品質な素材を前に、それをどう活かすを考えるプロセスを取るシェフが多いからではないでしょうか。

彼にしてみれば、韓国産の海産食材の最高の使い手の一人だということは理解できましたし、素材の目利きとしてかなりのレベル。

しかも、日本円にして、1万円強でこれだけの皿数を出していますので、それほど高級な食材を多用しているわけではないでしょう。でも高品質なのです。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

先にも挙げた『ミングルス』『チョンシク』など確固たる地位を築いたシェフたちが海外での修行経験を生かして、それらを新しい「韓国料理」に落とし込もうとしているのとは反対のスタンスなのも、面白いところです。

この『トクトク』や『リュニーク』などは、さらに韓国産の食材に徹底的にこだわり、そして信頼していることがわかります。

だからこそなのでしょうか、様々な技法を使いつつも、アウトプットがフレンチやイタリアンなど西洋料理になっても、無理をしている印象を感じさせない料理を仕上げてきます。

 

・日本で音楽家から料理家に転身したキム・テチュン・シェフ

デザートが終わった後、シェフが挨拶にきてくれました。

「日本の方ですか」と日本語で訊ねられ、「私は、『ランベリー』で修行しました」と付け加えます。あ、岸本シェフのところだったんだ? だとしたら、食材はこだわるわけだと膝を打ちました。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

遅い時間だったので、さらに話し込むと、もともとシェフは音楽家としてのキャリアを積むために来日したのが、日本滞在中に料理の魅力に目覚め、料理専門学校に入学。

その後、日本の様々なレストランでフランス料理、イタリア料理、日本料理の技術を身につけたとか。さらに納得。

韓国・ソウル『トク トク(TocToc/톡톡)』イノベーティブ

そこまでは直接話せませんでしたが、彼は音楽家としても、日本にくるくらいですから、一つのスタイルに固執するタイプではなかったのでしょう。

自分が奏でたいイメージがあって、それを実現するのに必要なら、西洋の音階だろうが、日本の楽器だろうが、躊躇なく駆使するクリエイターだったのではないか?と思います。

音楽で、その形を見ることはありませんでしたが、そのスタンスを料理で成就したのは想像に固くありません。彼の料理は、少なくとも私に、そう語っていました。

 

 

 

 

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『TocToc/톡톡(トク・トク)』店舗情報

平均予算:8,000~15,000円
営業時間:ランチ <火~日>12:00~15:00(L.O.14:00)、ディナー <火~土>17:30~22:00(L.O.21:00)<日>17:30~21:30(L.O.20:30) 定休日:月曜
電話番号:+82-2-542-3030
住所:A. 3F, Rodeo Bldg., 33, Dosan-daero 51-gil, Gangnam-gu, Seoul 
オフィシャルwebページはこちら

ドレスコードと店の雰囲気

カジュアルな店ですが、いわゆる「スマートカジュアル」が無難でしょう。食事の間も含めて、英語か韓国語が話せる方なら、まったく問題ないでしょう。シェフは日本語を話せますが、スタッフは片言なので、細かなコミュニケーションは期待しない方がいいかもしれません。

予約の仕方

予約はオフィシャルHPから(韓国語、英語)。
英語での予約が苦手な方は、予約代行サービスを利用するのもいいと思います。

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ソウルのレストランランキングから店を探すなら、こちらの記事がおすすめ▽

 

 

 



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