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長野の代表的な食文化として、外せないのがやはり蕎麦。もはや“そば県”と名付けたいエリアですが、面白いのは、長野県でも地域によって、蕎麦も特徴があること。
今回は南信州のおすすめそば店をピックアップしてみました。
メインの地域である伊那谷には、『行者そば』『高遠そば』など田舎蕎麦タイプが主流。そこから少し足を伸ばせば、各店によって様々なバリエーションが楽しめます。
『行者そば』『高遠そば』など力強い田舎蕎麦を中心に、バラエティに富んだ名店が揃う南信エリア
東京方面からJR中央線や中央自動車道で中央アルプスを越え、諏訪湖あたりから南へ進んだ地域が「南信州」です。
このエリアにあるオススメのそば店を北から順に紹介していきます。
おすすめ店①:辰野町『そば処 さくら』
辰野にある人気そば店。女性のご主人が打っているせいか、優しく繊細な味と食感の十割そばが楽しめます。
田舎蕎麦など力強いテイストが多い伊那谷の中では、貴重な存在と言えるかもしれません。
また、サイドメニューも豊富。
つまみや甘味などの女性らしい優しい味わいのメニューが揃うことも特徴です。
例えば『蕎麦プリン』。たまごベースのプリンではありますが、その奥にしっかりとそばが練り込められ、香りがアクセントになっています。
『そば処 さくら』店舗情報
営業時間:11:00~14:30、17:30~20:00(要予約)
定休日:火曜
電話番号:0266-44-2507
住所:長野県上伊那郡 辰野町大字辰野上辰野1472−4
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おすすめ店②:伊那市『行者そば梅庵』
信州そばのルーツと言われることも多い『行者そば』。その歴史は奈良時代に遡り、修験者たちがもたらした蕎麦に由来するという説があるからです。
伊那市から駒ケ岳方面に向かった「内の萱」という部落があります。
その里人たちにもてなしを受けた修験者がお礼にそばの種を渡し、蕎麦を楽しむ文化が生まれたとのこと。
そんな由緒ある「内の萱」の蕎麦店が、この『梅庵』です。
味の特徴は、そばつゆにもあります。焼き味噌を溶いて入れた辛つゆに辛子大根おろしと葱を薬味に添えて、食べることでも知られています。
かなり薬味が効いていますので、太切りの蕎麦とちょうどよい相性ということでしょう。
「鴨の鋤焼き」「焼き味噌」などもおすすめです。
木曽駒ヶ岳の登山道の一つ黒川林道の途中という、決してアクセスの良い場所ではありませんが、そば通には知られた人気店。
木曽駒登山の途中だけでなく、わざわざ行きたいお店です。
『行者そば梅庵』店舗情報
営業時間:月・火・土・日曜:11:00~15:00、金曜:11:00~14:00
定休日:水・木曜日(祝日と重なった場合は営業)
電話番号:0265-76-5534
住所:長野県伊那市荒井内の萱7088−2
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おすすめ店③:高遠町『壱刻』
先程、紹介した「行者そば」から派生したのが「高遠そば」と言われています。
高遠というと、戦国時代の交通の要所だった歴史ある土地ですが、この「高遠そば」というネーミングの歴史は、実は浅く、1980年頃とされています。
高遠では、単に「蕎麦」や「行者そば」と呼ばれていたのですが、会津ではこの「行者そば」が「高遠そば」と呼ばれていることが判明。
それを逆輸入するかたちで、「高遠そば」というネーミングが長野でも使われるようになりました。
高遠町を代表する蕎麦店と言えば まずは『壱刻』が挙げられます。
従来の「高遠そば」も堪能できますが、変わり種の蕎麦も人気があります。その一つが、まるでフェットチーネのような平打ち蕎麦。好みによっては、オリーブオイルと絡めて食べることもできます。
喉ごしよりも香り。そういった傾向の蕎麦好きにはたまらない逸品です。
『一刻』店舗情報
営業時間:11:00~15:30(L.O.15:00) ※売り切れ次第終了
定休日:木曜日(但し、木曜が祝日の場合は営業)
電話番号:0265-94-2221
住所:長野県伊那市高遠町西高遠 396-0211
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おすすめ店④:高遠町『日々茶寮 連』
高遠の中心部から茅野方面に伸びる杖突街道(152号線)に車を走らせること約20分。
藤沢の集落の裏手にひっそりと佇む和食店がこの『日日茶寮 連』です。
ご主人が体調を崩されたことで、鎌倉で同名の人気割烹を閉じたのが、5年前。
ひっそりと営業してきましたが、根強いファンは多く、隠れた名店になっています。
食事すべてが、一手間かけた逸品なのですが、長野に移住してから磨き上げた蕎麦が、やはり絶品。
ピリッとメリハリのある蕎麦が堪能できます。
セットメニューにすると、鎌倉時代の仕入れ先から直送されるという魚を使った、絶品の寿司なども付いてきます。
『日々茶寮 連(にちにちさりょう れん)』店舗情報
営業時間:11:30~14:00、17:30~21:00(夜は予約制)
定休日:月曜
電話番号:0265-98-6671
住所:長野県伊那市高遠町藤澤3905
おすすめ店⑤:駒ヶ根市『丸富』
伊那から駒ヶ根に下ると、また文化圏が微妙に変わります。
そもそも駒ヶ根に蕎麦の名店はあまり存在していなかったのですが、この『丸富』が飯田市から移転してきました。
飯田で人気店として確立していたのですが、店主がさらに「きれいな水を求めた」というように、蕎麦つくりの地として駒ヶ根のポテンシャルは実は高かったのかもしれません。
この店の蕎麦のクオリティを味わえば、その水の良さなどの環境は一目瞭然と言えるかもしれません。
季節によって変わる蕎麦も数種メニューに並びますが、代表的なシグネチャーは『しらびそそば』。
下栗の里で採れる蕎麦粉を使った10割蕎麦です。
おそらくそば粉自体に強い香りがあるからでしょうが、細打ちで仕上げられています。香りと喉ごしのバランスを取った蕎麦としては、全国でも有数のレベルだと思います。
蕎麦もさることながら、それだけではもったいないサイドメニューが揃います。
とくに『旬野菜の盛り合わせ』などで、蕎麦前に地酒を傾けるのもいいでしょう。
駅から歩いていこうとすると、かなり距離はありますが、心地よい空間であることも見逃せません。
昭和初期に建てられた学校をリフォームしたそうで、ゆとりのある広々とした古民家でゆったりと蕎麦に向き合えます。
『丸富』店舗情報
営業時間:11:30~15:00 夜は予約制
定休日:火曜
電話番号:0265-83-3809
住所:長野県駒ヶ根市 赤穂23−180
おすすめ店⑥:松川町『そば打ち にっぱち庵』
さらに南に下ります。伊那大島駅近く、松川町元大島にある人気店がこの『にっぱち庵』。
他のそば店と比べると、駅から徒歩で行きやすいので、車を使わない、お酒を呑む方にはおすすめできます。
一番人気の『季節の天ざる』。あらびきで粒の見える透明感が特徴。素直な蕎麦ですが、プリプリとコシがある食感には職人技が光っています。
さらにこの店の特徴は、料理の質の高さとバリエーションが多いこと。店としてもオススメで、一番人気なのは、『季節の天ざる』で旬の野菜などが堪能できます。
そのほか、特製の焼き味噌、自家製のもろみを使った豆腐など、山の恵みを活かした逸品が揃います。
現地の人のみならず、登山客、遠方からの蕎麦通にも愛される隠れた名店と言えるでしょう。
『にっぱち庵』店舗情報
営業時間:[月・水・金]11:30~14:30(L.O.14:15)、[木・土~日]11:30~14:30(L.O.14:15) 18:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:火曜
電話番号:0265-36-2457
住所:長野県下伊那郡松川町元大島1447−13
おすすめ店⑦:阿智村『そば処おにひら』
さて、更に下って岐阜に近づいた阿智村。ここで最も人気の蕎麦店が『そば処おにひら』です。
かなり山奥に分け入ったところでも、いつも行列ができる人気店。とにかく豪快さが売り。
『そば処おにひら本店』店舗情報
営業時間:10:00~16:00
定休日:無休
電話番号:0265-43-3398
住所:長野県下伊那郡阿智村智里4405−1
オフィシャルHPはこちら
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さて、いかがだったでしょうか。
南信州に良質な蕎麦店が多くあることが、あらためて実感できます。
新蕎麦の季節も佳境、12月下旬になると雪が積もり、動きにくくなるので、このあたりの蕎麦を食べるのに最も良い季節は今なのかもしれません。
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