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『nahm(ナーム)』とともに「アジアのベストレストラン50」でタイ料理を牽引するこの『Issaya Siamese Club(イッサヤ・サイアミーズ・クラブ)』。
イノベーティヴなスタンスとは少し異なるアプローチで、伝統料理を再構築するセンスに脱帽しまくり。
平均予算:ランチ 5,000~7,000円、ディナー 10,000~15,000円
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タイ版「料理の鉄人」シェフ、イアン・キットチャイ氏が率いる創作タイ料理店
タイ料理のカテゴリーで、前回紹介した『nahm(ナーム)』とともに、「アジアのベストレストラン50」にノミネートされているのが、この『Issaya Siamese Club(イッサヤ・サイアミーズ・クラブ、以下『イッサヤ』に)』。
2013年のランク外から、’14年のNo.31、’15年のNo.39、’16年のNo.19、’17年のNo.21と着々と評価を上げているレストランです。
『ナーム』が外国人シェフがタイ料理を次のフェーズに押し上げたのであるならば、この『イッサヤ』は、タイ人のシェフが、インターナショナルな経験を原動力に、自国の料理を新しい境地に導いたとも言えます。
どちらも「モダン・タイ・キュイジーヌ」と呼べますが、キャリアのプロセスがまったく逆。出てくる料理もそのバックボーンを反映した違いが楽しめそうです。
・イアン・キットチャイ氏とは?
オーナーシェフのイアン・キットチャイ氏(Ian Kittchai)は、現地では、タイ版「料理の鉄人」(Iron Chef Thailand)で知られる人気シェフ。
もともとシドニーにあるフランス料理店で頭角を現し、タイに帰国してからは「フォーシーズンズホテル」でエグゼクティブシェフに。2004年にはアメリカ・ニューヨークに拠点を移し、手がけたレストランが成功を収めるなど、華々しいキャリアを誇るシェフです。
’10年からタイでも精力的に活動再開。その彼がプロデュースしたタイレストランが、この『イッサヤ』です。
バンコクで展開する初のタイ料理レストランということで「HOME」と呼ばれることが多いそう。その後、キットチャイ氏は、バンコクにオープンしたガストロバー『HYDE&SEEK』やダイニングバー『SMITH』の経営に携わっています。
『イッサヤ』は、メトロ(MRT)の「Khlong Toei Station」から徒歩10分弱のところに位置しますが、ややわかりづらいところにありますし、スクムビットの中心部からでも、道が空いていれば10分ぐらいで到着するので、タクシー利用が便利でしょう。
高速の下の「Chuea Phloeng Road」から「Soi Sri Aksorn」に入って少し行くと見えてくる一軒家がレストランです。
築100年の一軒家を改装したとのことで、建物自体にも趣があります。
店内もハワイのおしゃれなB&Bなどにありそうなカラフルなリゾートスタイルが心地よい空間です。
・メニューは伝統的、料理は革新的
ランチでもコースはありますが、この日はアラカルトで。「3皿くらいかな?」と伝えると、流暢な英語を話すマネージャー女史が相談に乗ってくれます。
ちなみに、コースは1500バーツ(約5,000円)と2500バーツ(約8,250円)の2種類で、2名から。
私が選んだのは、1皿目が「コームーヤーン」。日本語に訳すと「豚喉肉の焼きもの」で、タイでは屋台でもよく見られる料理です。
一般的に、日本で言えば牛タン焼きのようにシンプルなグリルとして出てくることが多いこの「コームーヤーン」ですが、ここではまったく趣が違いました。
豚喉肉のグリルというより、サラダのような佇まい。酸味の利いたドレッシングと青唐辛子の辛みが味の決め手となり、火を入れたジャスミンライスのパリッとした食感に、パクチーファランのシャキシャキ感が加わります。
「あれ、普通のタイ料理と違うなぁ」と思いながらも、これはこれで絶妙な味。
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・論理ではなく感覚で、唯一無二の伝統料理の再構築
「コームーヤーン」の摩訶不思議な美味しさに、飲まないと決めていたのですが、やはりアルコールが欲しくなってしまいます。
自家栽培のマルベリーのシャーベットとスパークリングのロゼワインをミックスしたシグネチャー「Le Issaya Cocktail」を。
夏らしい爽やかなカクテルです。
そして、野菜が欲しかったので、2皿目は「パッド・カヤ」。空芯菜炒めですね。
これはどこで食べても不味かった試しはないのですが、ここの特徴は食材でしょうか。広い庭で葉物野菜やハーブは自家栽培しているそうで、シャキッとした新鮮さが楽しめます。味付けはシンプル。
メインの3皿目は「子羊のマッサマン・カレー」。
そもそもはタイ南部のムスリム(イスラム教徒)が食べていたカレーです。
辛みが前面に出た一般的なタイ・カレーとは違い、豊饒な甘みが特徴のカレーですが、ここで出されたものは、以前タイ南部で食べたものとは異なった趣の旨みが出ているような気がします。
ベースとなる出汁の取り方がまったく違うのでしょうか。裏ごししたコンソメを使ったような、透き通ったテイストに近いものを感じます。
・世界的にも珍しい「美味しい創作料理」
こういった従来の料理からズラしたいくつかの皿を味わうと、キットチャイ氏が手がけるのは、やはり「創作タイ料理」ということになるのでしょうか。
タイ人のシェフではありますが、本来専門はタイ料理ではなかった方です。既に親しまれている自国の料理の伝統的なレシピをいったん白紙にして、「自分だったらこうつくる」とそれぞれ提案をしているようにも思えます。
「デザートなしで」と伝えたら、お土産をくれました。
そもそもこれまでの人生の中で「創作~」という料理で、「そこそこ」こそあれど、「本当に」美味しい料理に出会ったことはないのですが、この『イッサヤ』のものは、いちいち美味しかったことが印象的でした。
それだけで、世界的にも希少なレストランだと言い切ってもいいでしょう。
それは、キットチャイ氏の腕がなせる技なのか、ほかの理由があるのか、今の私にはまだわかりません。
その「謎」を求めて、バンコクに来たら、通い続けることになりそうな気がしています。
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『Issaya Siamese Club』店舗情報
営業時間:ランチ 11:30~14:30 ディナー 18:00~22:30 定休日:無休
電話番号:+65 2 672 9040
email:contact@issaya.com
住所:4 Soi Sri Aksorn, Chuea Phloeng Road, Sathorn, Bangkok 10120
オフィシャルHP(英文)はこちら
ドレスコードと店の雰囲気
ドレスコードは特にありません。実際、開放感に溢れたお店なので、あまりビジネスマンっぽすぎるフォーマルは浮いてしまうような気がします。女性のパーティ・フォーマルはしっくりきますが、いわゆる「スマートカジュアル」が無難でしょう。
食事の間も含めて、コミュニケーションは英語かタイ語が話せる方なら、まったく問題ないでしょう。日本人客も多いので、ある程度スタッフも慣れているようですが、日本語での細かな対応は難しそうです。
予約の仕方
予約は電話かメールまたは予約サービスで。平日のランチなどは比較的空いていることも多いようですが、週末やハイ・シーズンには、ディナー・ランチとも予約を入れたほうがよさそうです。
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店の地図
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