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フレンチをベースにしたガストロノミックな料理で、「ミシュランガイド東京」での1つ星、「ゴ・エ・ミヨ」での「明日のグランシェフ賞」獲得など抜群の評価を誇る広尾の『Ode(オード)』。
インテリアだけではなくシグネチャーディッシュからユニフォーム、カトラリーなどまでグレーに統一されるなどコンセプチュアルなスタイルでも好評を呼んでいますが、意外やクラシカルな一面も?
いやいや、かなり尖ってますよ。でも、ポップでしょ?と、聞く人によって刺さるポイントが違う万華鏡のような評判の、その実態は? ランチに伺い、探ってみました。
平均予算:ランチ 15,000~20,000円、ディナー 20,000~30,000円 /「ミシュラン東京 2022」1つ星、「アジアのベストレストラン50 2022」No.13
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心・技・体をともなったコンテンポラリーなガストロノミー
東京、いや日本の食通の間では、もう知らない人はいないくらいの人気レストランでしょうが、ようやく来れたというのが、私の実感。
ここの生井シェフとは面識はなかったものの、台湾・屏東の『AKAME』に行けば「先月、生井シェフが来てましたよ」と言われ、台中の『JLスタジオ』に行けば「先月コラボしました」と彼が残していったレアな日本酒を振る舞われ、お盆にシンガポールの『META』に行っても、また然り。
9月も台北の『logy』に予約を入れたら、その後instaでコラボディナーの告知が出てました。
何たるシンクロニシティか因縁か……。
いやいや、アンテナの張り方が近いということだと、勝手に親近感を持つにいたり、そりゃ行かなくちゃだめだな、と。
そういった感覚的な部分もあるのは確かですが、実際に伺ってもっとも印象的だったのは、実は美味しさ。
私自身、このサイトでは、美味しいことは当たり前くらいのお店をセレクトしていますし、人それぞれでその感覚は違うことは承知していますので、あまり「美味しい」という言葉は使わないようにしているのですが、ここは率直に美味しかったことが一番印象に残りました。
店や料理のトータルな見せ方、カジュアルながら心地よいサービスなどを含めて、心技体が揃っていると言えばいいでしょうか。
・メニューはおまかせコースのみ
今回はお昼にうかがったので、「LUNCHコース」(¥7,000+税サ)で。季節の食材をつかった9皿前後のお料理という説明。
ちなみに、夜は、13皿前後の「DINNERコース」(¥15,000+税サ)です。
この日は、休日のランチでしたが、後に打ち合わせを控えていたので、ノンアルコールペアリングで。
すべてお茶だということ。
最初に出してもらったは、スパークリングのお茶。このパターンは初めてでしたが、かなり面白いですね。
・名物料理が目白押しの前半
最初に丸い器が出てきたところで、初めて来る私でさえ「あ、あれか」という料理から、ランチコースはスタートです。
「ドラ○ンボール」
シグネチャーよりも有名になっていると言えるかもしれないアミューズ。
「一星球(イーシンチュウ)」ですね。
オマール海老のビスクに、コアントローの衣。カレーの風味も漂います。
合わせるのは、ホットミルクに台湾の麻を入れたもの。
「きゅうり 梅干し トマト」
岩牡蠣を使ったアイスクリーム。
きゅうり、トマト、梅干しなどが使われたソース。紫蘇も入ってるかな。
「フォアグラ 生姜」
フォアグラをタルトに。新生姜の香りも漂います。
フォアグラですが、あっさりした美味しさなので、何個でもいきたいくらい。
「グレー 2019」
スペシャリテですね。
提供されたときは、この記事のトップの写真のようなスタイルですが、中を覗いてみるとこんな感じ。
青魚に尾崎牛のタルタルを合わせるのが定番ですが、この時期の魚は鰯でした。
メレンゲも、鰯の皮や骨からとった素材を使っているそう。
魚肉とも濃厚な旨味がありますが、それを受け止めるマヨネーズや玉ねぎの爽やかな酸味とのバランスも抜群。
「ムール貝 つるむらさき」
夏バージョンのリゾット。
ツルムラサキのフリットやモロヘイヤ、コーンなどの夏野菜の下に北海道産のムール貝が潜んでいます。
ただ、コンテンポラリーだけど、しっかりとしたフレンチという誰かの説明を信じ込んでいたので、こういったリゾットが出てくることが、ちょっと意外でした。
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そういった意外さがスルッと納得できたのが、中座したときに、ふと店に流れている音楽が尋常じゃないことに気づいたときです。
かかっていたのは、一風堂の「すみれ September Love」。なんとなくレディオヘッドが流れているなぁくらいにBGMを意識していたのですが、え、一風堂?!
40オーバーの世代ではかなり知っている方も多いだろうヒット曲ですが、ちょっと説明すると、この一風堂というアーティストは、評価が難しいアーティストでもあります。
一般的には、土屋昌巳の中性的な美貌と、「ザ・ベストテン」にも登場していたようなお茶の間での人気から、ロック歌謡的な扱いを受けることのほうが多いかもしれません。
けれども、アルバムなどをよくよく聴くと、レゲエなどのルーツ・ミュージックも世界同時進行のニューウェーブ的なフィルターを通して表現。かなり高度なことをやっていたバンドの一つでもあります。
いつもの悪いクセかもしれませんが、そこに気づいてしまうと、『Ode』がやろうとしている世界観と同期しているような気がしてなりません。
そんな考察はいったん置いておいて、コースは後半のメイン料理へと進んでいきます。
・繊細さと力強さが共存したメインへ
「夏鱈 アンチョヴィ」
函館の夏ダラ。ふんわりした火入れが心地よいです。
泡には鯛の香りが含められ、下のソースにはアンチョビ。
ソースや付け合せも含めた組み合わせは繊細なのですが、これも鱈の身そのものがもつ力強さが受け止めているように思えました。
「金華豚 プラム ひまわり」
山形の金華豚のロースト。
魚に続いて泡のソースですが、こちらはジャガイモを入れて立体的にしたペシャメルソースとテクスチャーは変えています。
肩の脂身はソーセージに。
「白桃 ヨーグルト」
デザート。ここにも新生姜の爽やかさが。
「小さな菓子」
プティフールは、店名の「Ode」の紋が入ったチョコクッキーと、日本酒のボンボンチョコレート。
・まとめ
冒頭にも書きましたが、私にとっては“逆輸入”のようなかたちで出会ったこの『Ode』でしたが、料理の味、そのセンス、インテリアやBGMの選び方まで、さらに勝手に親近感を抱きたくなるような内容で、ほんとしっくりきました!
ルーツでありつつコンテポラリーでもある、マニアックでありつつポップでもある、フレンチでありつつ東京でしかありえない料理でもある。
言葉で説明するとこんな両義性をはらんでしまいますが、この空間に佇んで、目の前の料理を楽しんでいると、すべてが非常に自然に流れていきます。
料理に限らず音楽でもデザインでもアートでも、一見相反するテーマさえも包み込んでいくのが、クリエイティブの楽しさであるのはここで改めるまでもありませんが、東京では、そういった空気感を醸せる稀有なレストラン一つであることは確かでしょう。
予約方法
電話かwebから。 web即時予約は、ヒトサラで受け付けています。一休レストランに席が出ていることもあります。
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店の地図・アクセス
東京メトロ日比谷線「広尾駅」2番出口より徒歩5分。
『Ode(オード)』店舗情報
営業時間:ランチ 12:00〜L.O.13:00、ディナー 18:00〜L.O. 21:00 定休日:日曜・祝日
電話番号:03-6447-7480
住所:東京都渋谷区広尾5丁目1−32 ST広尾2F
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