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2013年から始まった「アジアのベストレストラン50」も’21年で9回目。
本編のランキングが3月25日にリリースされる前に、特別賞「最優秀女性シェフ(ベスト フィメール シェフ)」が発表されました。
2021年度は中国・上海の『Obscura(オブスキュラ)』の譚綺文(DeAille Tam)さんが受賞。
過去の受賞者すべてのお店を含めて一気に紹介します!
ベスト女性シェフ受賞店を全店制覇したい!
ベストレストラン50には、いくつかの部門賞があるのですが、その中で個人的に好きなのが、「one to watch(ランク外だけれども、今後注目すべきお店)」とともに、この「best female chef(最優秀女性シェフ)」です。
女性シェフというカテゴリーをつくるのに、異論を唱える方も少なくないとは思いますが、私がこの部門賞が好きなのは、ベスト50ランク外から受賞することも多い、すなわち、人気投票であるベスト50ランキングとは違った視点でアジアの注目店を知ることができるからです。
2021年は、中国・上海の『Obscura(オブスキュラ)』の譚綺文(DeAille Tam)さんが受賞。
2021年受賞:譚綺文さん from 上海『Obscura(オブスキュラ)』
上海からの受賞ですが、もともとは香港出身のシェフ。
10才の時にカナダに移住し、大学在学中に料理の道を志した。
2014年に香港に帰国すると『ボー・イノヴェーション(厨魔/Bo Innovation)』で働き、上海に姉妹店『ボー・シャンハイ(Bo Shanghai)』がOPENすると共同総料理長に就任。
2018年にはミシュラン1つ星を獲得したのですが、これは中国メインランドにおける女性シェフとしては史上初の快挙でした。
現在は夫でありパートナーのサイモン・ウォン(Simon Wong)とともに『オブスクラ』のシェフ兼共同経営者を務めています。
『Obscura(オブスキュラ)』の店舗情報
営業時間:- 定休日:-
電話:+86 191 2147 1147
住所:Obscura, No. 2, Lane 538 Xikang Lu, near Kangding Lu, Jing’an District, Shanghai, China
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予約の仕方
基本は電話で。
店の地図
2020年受賞:チョー・ヒスクさん from ソウル『韓食空間(ハンシクゴンガン)』
今回の受賞者を聞いたときに、正直驚きました。
それは、「最優秀女性シェフ」を“これからの活躍が期待できる女性シェフ”に贈られると、私が思い込んでいたのかもしれません。
一方で、このチョー・ヒスクさんは、例えば『ミングルス』のミンガー・シェフなどから「オモニ(お母さん)」と呼ばれ、韓国料理の師と仰がれてきた方です。
なので、勝手に別格扱いだと捉えていたのですが、単に女性シェフということであれば、じゅうぶんすぎる実力の持ち主であることはたしかです。
実は、まだ行っていないのですが。
そのあたりの国際的に活躍する若手シェフたちのメンターとなった役割も、今回の受賞に結びついたのでしょう。
『韓食空間/HANSIKGONGGAN』の店舗情報
営業時間:ランチ 12:00〜15:00、ディナー 18:00-22:00(L.O.) 定休日:日曜
電話:+82 (0)2-747-8104
住所:Seoul, Jongno-gu, Wonseo-dong, Yulgok-ro, 83 공간사옥 4층
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予約の仕方
基本は電話で。韓国語が基本。
店の地図
2019年受賞:アローマ・ガリーナさん from バンコク『GAA(ガー)』
ここ数年のアジア全域で活躍した女性シェフということでは、妥当な受賞でしょう。
アジア4連覇中の『GAGGAN(ガガン)』の姉妹店で、ガリーナシェフはスーシェフを勤めた後に、2017年春にオープンしたこの『GAA』を任されることになります。
インド出身の彼女のそれ以前のキャリアで特筆すべき点は、『noma(ノーマ)』で研鑽を積んでいること。
インド料理をベースとしながらも、タイの食材を使い、現代的な表現に昇華させるのが、彼女の真骨頂でもありますが、『ガガン』よりも風通しのいい軽やかさを感じさせるのは、新北欧料理の洗礼を現地で浴びていることによるかもしれません。
洋館風の店内の雰囲気も心地よいお店なので、バンコクにいらっしゃる場合は、ぜひ試してください。
というか、言われなくても、一段と予約が取りづらい人気店になりそうですが。
『GAA(ガア)』店舗情報
平均予算:3,000~6,000THB(約10,000~20,000円)
営業時間:18:00~L.O. 21:30 定休日:無休
電話番号:+66 91 419 2424
住所:68/4 Soi Langsuan, Ploenchit Road Lumpini, Phathumwan, Bangkok 10330
オフィシャルwebページ(英語)はこちら
日本語可!『ガア』をグルヤクで予約する
2018年受賞:ビー・サトンガンさん from バンコク『paste(ペースト)』
2018年の受賞者は、バンコクのモダンタイ料理『ペースト』のシェフを務めるビー・サトンガンさん。
『ボラン』のドゥアンポーン・ソンヴィサヴァさんに続き、2人目のタイ料理からの受賞となりました。
彼女の特徴は、自身も語っているように、伝統的なタイ料理の味を最大限にリスペクトしながら、モダンなプレゼンテーションと両立させていることでしょう。
基本的には、優しい味です。
『paste(ペースト)』店舗情報
営業時間:ランチ 12:00~14:00、ディナー 18:30~23:00 定休日:日曜
電話番号:+66 2 656 1003
住所:3rd. fl, Gaysorn Shopping Centre 999 Ploenchit Road, Lumpin, Bangrak, Bangkok
オフィシャルwebページ(英語)はこちら
2017年受賞:メイ・チョウさん from 香港『Littile Bao(リトル・バオ)』
部門賞を含めた、「アジアベストレストラン50」のなかで、もっとも驚いたのが、ベスト女性シェフのこのメイ・チョウさんでした。
彼女は、香港とバンコクに2店舗を展開する『リトル・バオ』を率いるシェフです。
なぜ意外だったかというと、ハイエンドなコースを提供するレストランではなく、中華風蒸しパンをバーガーにしたメニューがシグネチャー。
そして、キューピーちゃんのようなキャラを前面に押し出した、アメリカン・ポップなスタンスが特徴のお店だからです。
香港の本店には、タイミング合わなくて行けなかったのですが(でも、前を通ったら、満席で入る余地はなさそうでした)、2月下旬、バンコク店で件の『バオ・バーガー』を楽しむことができました。
具は、「ポークベリー(豚バラのトンポーロー)」や「魚の天ぷら」など約4種のバリエーションがありますが、この日選んだのは、「四川風チキン」。と、淡々と書き進めてしまいましたが、これが本当に面白いものでした。
蒸しパンと具のバランス、そして複雑に絡み合むその他の具材やソース。中華とも洋食とも割り切れない小宇宙が、この小さなバオの中に詰まっています。
イノベーティヴなレストランが、合間に挟むユーモアの利いた一品が切り出されたようなイメージです。
デザートは、アイスクリームを挟んだ”揚げバオ”。
メディアでの発言などを調べてみると、イノベーティヴ中国料理の先駆者『Bo Innovation(ボ・イノヴェイション)』や新感覚の焼き鳥店『Yardbird(ヤードバード)』などをリスペクトしているとのこと。それを知ると、「道理で」と彼女の料理の面白さに膝を打ちました。
ドリンクはカクテルが中心。アメリカン・クラシックなものから『HK to BKK』(写真)といったオリジナルレシピまで多種にわたります。
ストリート・カルチャーを出発点にガストロミーを経由し、アメリカン・ポップなテイストでパッケージする――そんなセンスと才能が彼女の真骨頂のよう。
日本への出店も既に計画に入れていると公言していますので、これからも要注目のシェフです。
『Littile Bao(リトル・バオ)香港』店舗情報
営業時間:<月~金>18:00~23:00 <土>12:00~16:00、18:00 – 23:00 <日>12:00~16:00、18:00 – 22:00 定休日:無休
電話番号:+852-2194-0202
住所:66 Staunton Street, SoHo, Hong Kong
2016年受賞:マルガリータ・フォレスさん from マニラ『Cibo(チボ)』『Lusso(ルッソ)』etc
2017年の『リトル・バオ』のメイ・チョウさんの受賞を驚いたと書いてしまいましたが、実はその流れはこの2016年から始まっていたのかもしれません。受賞者はフィリピンのシェフ、マルガリータ・フォレスさん。
アーティスティックだったり、職人的だったりするシェフとは異なり、プロデューサー的なセンスに長けたシェフだという印象を持っています。
そんなところまで、目配せをしているのんだ?と、アジアベストレストラン50の審査基準に、若干の驚きを隠せずにいました。
マニラに滞在する機会があったので、彼女の店の一つ『LUSSO(ルッソ)』を訪れてみました。
マカティ・エリアにある商業施設「グリーンヴェルト」内にあるこのイタリアン。小ぢんまりしてはいますが、庭園を望むオープンエアのテラスもあり、開放的な雰囲気が印象的です。
パスタやサラダなど、一通り味わってみたところ、けれんみのないシンプルな味付けが好印象です。
二度のがん治療を克服した彼女。本人が語っていることによると、その闘病を経験したことにより、オーガニック食材の重要性を実感し、それらを各店舗で実践しているとのこと。その食材の良さも実感できました。
マサチューセッツの大学で国際経済学、会計学を学び、アメリカと香港の企業数社で働いたキャリアウーマンだったフォレスさん。
その経験が生きているのでしょう、ケータリングや料理教室からスタートした料理のキャリアも順調です。
最初にオープンした『CIBO』ブランドは、現在10店舗を展開。カフェ『GRACE PARK(グレース・パーク)』、高級ラインの『LUSSO(ルッソ)』『Alta(アルタ)』をはじめ、食材やコンセプトレストランなど、現在10のブランドを運営。
フィリピンにイタリア料理を根づかせた立役者です。
『LUSSO(ルッソ)』店舗情報
営業時間:11:00~24:00 定休日:無休
電話番号:+63 2 756 5893
住所:Ground Floor, Greenbelt 5, Legaspi St., Legazpi Village, Makati, Manila
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2015年受賞:ヴィッキー・ラウさん from 香港『Tate Dining Room(テート・ダイニング・ルーム)』
日本語可!『ate Dining Room』をグルヤクで予約する
実はこれ以前の2年は、ベスト50のノミネート店の中から受賞していたのが、この年に受賞したヴィッキー・ラウ氏から、ベスト50以外からセレクトされています。
その意味で「one to watch」とともに、ベスト50には入っている超人気店・実力店とは少し違った視点で、新たな注目店を見つける楽しさがあります。
フレンチをベースに、中華や和のエッセンスをクロスオーバーさせたという彼女の料理。
2017年前半には、広いスペースに移転し、店としてさらなる飛躍を果たしています。
『Tete Dining Room』店舗情報
営業時間:19:00~1:00 定休日:日曜
電話番号:+852 2555 2172
住所:210 Hollywood Road, Sheung Wan, Hong Kong
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日本語可!『Tate Dining Room』をグルヤクで予約する
2014年受賞:ランシュー・チェンさん from 台中『Le Mout(ル・ムー)』(*2018年に閉店)
このアジアン・ビューティーなチェンさんですが、美しすぎる女性シェフという以前に実力派シェフとして捉えるべき存在。
彼女がシェフを務める『Le Mout』はアジアのベストレストラン50には、2014年のNo.24にノミネートして以降、’15年はNo26、’16年はNo. 30、’17年はNo.28とコンスタントに評価され続けているフランス料理店です。
華やかでありながら、モダンフレンチを体現した凛とした料理が印象的でした。
この店がある台中市は、台湾第三の都市ではありますが、豊かな歴史文化と自然、そしてアートなどに溢れた街。美食都市でもあるこの街の食文化を、フランス料理として担っているクオリティを誇っています。
『Le Mout』店舗情報(*2018年に閉店)
営業時間:11:30~15:30、18:00~22:30 定休日:月・火曜
電話番号:+886 4 2375 3002
住所:59, Cunzhong St., Taichung 403, Taiwan
2013年受賞:ドゥアンポーン・ソンヴィサヴァさん from バンコク『Bo.Lan(ボラン)』
最後になりましたが、栄えある第一回の受賞シェフは、バンコク『ボラン』のソンヴィサヴァさん。
かのモダンタイ料理の名店『ナーム』で研鑽を積み、パートナーであるオーストラリア出身のディラン・ジョーンズさんと共同シェフを務めています。
タイ・バンコク『nahm(ナーム)』の記事はこちら
徹底的に伝統的、古典的なタイ料理にこだわりながら、アイデアやプレゼンテーションの新鮮さが特徴と言えます。
バンコクの中でも閑静な住宅地トンローの一軒家でゆったりと楽しめる雰囲気も店としての魅力でしょう。
さらにカーボンフリーにも取り組んでいて、2018年までにはゼロカーボンを実現する予定とのこと。料理や雰囲気、姿勢など非常にバランスの取れたオススメ店です。
『Bo.Lan(ボーラーン)』店舗情報
営業時間:ディナー 18:00~22:30(L.O.)、ランチ(土日のみ) 12:00~14:30(L.O.) 定休日:月
電話番号:+66(2) 260 2961
住所:House number 24 Soi Sukhumvit 53 (Soi Pai dee ma dee) Klong Toey Nua Wattana Bangkok
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日本語可!『ボラン レストラン』をグルヤクで予約する
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